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「粒子線がん治療の臨床上の諸問題」に関する放医研とMDアンダーソン癌センター (米国) との合同シンポジウムを開催

掲載日:2018年12月26日更新
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独立行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉 義晴以下、放医研)は去る3月21日・22日、米国ヒューストンにおいてMDアンダーソン癌センターとの共催による「粒子線がん治療の臨床上の諸問題」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。

今回のシンポジウムは、放医研第2期中期計画047重粒子がん治療研究:成果の普及及び応用047および047国際協力及び国内外の機関、大学等との連携の推進047に基づき、放医研の重粒子線治療の成績を米国の専門家に広めることなどを目的として開催されました。本シンポジウムはMDアンダーソン癌センターとの合同で開催され、放医研における重粒子線治療およびMDアンダーソン癌センターにおける陽子線治療について、その成果や現状について討論が行われました。

放医研(患者数3,819人(2008年2月))とMDアンダーソン癌センター(患者数527人(2006年5月開始、2008年1月1日まで))における部位別治療成績について、それぞれ報告するとともに、前立腺腫瘍、肺癌および頭蓋底腫瘍、さらに全体的な治療成績の評価と比較、照射システムの研究開発をはじめとする物理学的研究や生物学的研究の現状や成果について、活溌な討論が行われました。重粒子線治療の患者数と良好な治療成績には説得力があり、米国の放射線腫瘍学者に強いインパクトを与えるものとなりました。

今回のシンポジウムの開催により、今後の国内および米国における重粒子線治療の発展・普及に貢献し、両国の粒子線による癌治療成績や研究成果の向上に役立つものと考えられます。

癌治療については、基礎から臨床に至る放射線科学分野の全般的な研究では、米国は世界をリードしていると言えますが、米国における粒子線治療は日本およびヨーロッパに比べ必ずしも進んでいるとは言えません。今回、本シンポジウム開催を機会に粒子線の物理学的および生物学的知見から臨床成績を日米の専門家間で討論が行われたことにより、放医研の重粒子線治療の成果やその有用性を米国の放射線治療関連の医師や研究者に発表し情報を共有することができ意義は大きいものがあります。

今後は、本シンポジウム開催を契機として、あるいは成果を基にしてMDアンダーソン癌センターを始めとする米国の放射線癌治療関連施設と放医研との研究協力体制構築に取り組み、重粒子線治療のグローバルな展開を目指すこととしています。

(参考)MDアンダーソン癌センターについて:

MDアンダーソン癌センターは、米国・テキサス州のヒューストンに1941年に設立され、癌の発生要因、治療および予防に関する研究に特化された米国最大の専門医療機関です。本センターは癌治療や研究のための専門医療機関としては米国内でトップレベルにあり、また世界的にも評判の高い癌治療・研究の医療機関となっています。

本件の問い合わせ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 広報課
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp