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千葉地区共通情報

内部被ばく実験棟に係る核燃料使用施設変更許可手続き等の違反について

掲載日:2018年12月26日更新
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1.概要

核燃料使用施設である内部被ばく実験棟のフード及び排風機について「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」第55条第1項及び第55条の2第1項の規定により許可を受けずに実施し、その後、検査を受けずに一部使用したことが判明し、本日文部科学省に報告いたしました。
本件については、法令を的確に遵守できなかった重大な問題と認識しており、誠に遺憾です。当研究所としましては、今後の再発防止に真摯に取り組む所存です。

2.違反の内容

  1. 使用変更許可が必要であった事項(原子炉等規制法第55条第1項)
    1. 既設フードの1台を排気系統から除外した。
    2. 新設したフード4台のうち、1台は既設の排気系統に接続した。残りの3台のフードについては、現許可で「汚染拡大防止等措置し、停止状態とし配管、ダクトともに管理する」とされている排気系統に接続した。
    3. 既設の排風機6台を排気能力の低い排風機に更新したことに伴い、排気総量を減少させた。
  2. 施設検査が必要であった事項(原子炉等規制法第55条の2第1項)
    更新したグローブボックス用の排風機2台については、検査を受けずに保安維持(負圧維持)のため使用を開始した。

3.発生原因

今回の発生原因については、以下のように考えています。

  1. 安全管理意識の醸成の不足から、組織としての業務管理、特にスケジュール管理ができておらず、事前に行うべき許可申請作業が遅れているにも関わらず、工事発注の手続きを行った。
  2. コンプライアンス意識の不足から、組織として本件を重大問題と認識できず、十分にフォローせず、現場と管理職の情報共有が中途半端なままとなり、管理職は未申請着工を避けるための機会を見逃した。

4.環境への影響

排風機の工事によりフード系統の排風機が全て停止したと仮定しても、排気の出口濃度は、法で定める濃度限度の240万分の1と、大きく下回っており、環境への影響はありません。なお、工事期間中も含め常時排気筒出口のモニタリングは行っており、異常値は検出されておりません。

5.今後の対応

当研究所は、文部科学省の指示を受け、以下の対応を図ります。

  1. 速やかに変更許可申請書を提出します。
  2. 変更許可を受けた後、速やかに施設検査申請書を提出します。
  3. 変更許可を受け、施設検査に合格するまでの間、内部被ばく実験棟におけるすべての核燃料物質の使用の停止をします。

6.再発防止対策

再発防止策として、当研究所では以下の方策を実施します。

  1. 業務管理(特にスケジュール管理)の改善及び情報共有
    許可後の着工を確実なものとする手段として、全体の作業の進捗状況を適宜確認する工程管理表を作成し、関係者の間で情報を共有し、相互に注意を喚起する環境を整備します。
    また、変更申請が必要な工事の起票(発注)の手続きにあたっては、許可後又は申請後であることをチェックする項目を設けます。
  2. 適切な業務運営現場が業務過多の状況に至らないような業務運営に努めます。また、経営陣は単に現場に業務の計画的遂行のみを求めるのではなく現場における業務遂行能力を勘案の上、計画変更等の適切な判断を与えることとします。
  3. 職員に対する教育・啓蒙上記1、2を行うに当たっては、コンプライアンス意識、安全管理意識の向上が重要であり、このため全職員に対し、教育・啓蒙を行うとともに再発防止策の徹底を図ります。

(参考)

内部被ばく実験棟について

1.施設概要

  • 被ばく実験棟名称:内部被ばく実験棟
  • 構造:鉄筋コンクリート8階建て
  • 建築面積:1875平米
  • 延べ床面積:13000平米
  • 建築年度:1985年7月
  • 所在地:千葉市稲毛区穴川4-9-1

2.研究目的

内部被ばく実験棟は、人体内部に入ったプルトニウム等の放射性物質の挙動やその放射線影響等について、把握・分析することを目的として、1985年に整備された。中心的な研究である大型吸入曝露実験が平成17年度をもって終了し、今後は、少量核燃料物質使用施設として、線量評価等に必要なデータの取得、緊急時の線量評価等に関する研究を実施する予定である。
本建屋は、研究目的の変更から建屋の構造変更計画が進行中であり、平成19年度から改修工事を進めているところである。本件の工事は、その一環としてなされたものである。

問い合わせ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 広報課
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp