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千葉地区共通情報

緊急被ばく医療支援チームREMATが初の海外訓練

掲載日:2018年12月26日更新
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緊急被ばく医療支援チームREMATが初の海外訓練
―12日から、ウクライナのキエフ近郊地域で―

平成22年6月10日
独立行政法人 放射線医学総合研究所(理事長:米倉 義晴)
緊急被ばく医療研究センター
明石真言 センター長

概要

独立行政法人放射線医学総合研究所(以下、放医研)は、海外での実践的な訓練を目的に、緊急被ばく医療支援チームREMAT(リーマット;Radiation Emergency Medical Assistance Team)の要員3名をウクライナのキエフ近郊地域にて行われる第14回夏期訓練:放射線事故後の測定技術(Post-Accidental Radiation Monitoring Techniques)に参加します。これはREMAT結成後、初の海外訓練です。
REMATは、海外での放射線被ばくや放射性物質による汚染事故などが起きた時に、現場で初期医療を支援するチームですが、事故そのものは頻繁に起こるものではなく、平時の準備と訓練が重要です。
本訓練では、REMATが所有する最先端の放射線測定機器や通信設備等をキエフ近郊地域に持ち込み、放射線測定などの実際的な訓練を行います。また衛星回線等による通信システムを通して現地と日本(放医研)間で測定とデータ分析を行い、測定データに関する双方向伝達システム機能をテストします。
本訓練により、要員が実務的な経験を積むと共に、ポータブル機器の性能や実用上の問題点などを解決し、今後の万が一の事態に的確に対応できることが期待されています。

概要の画像

放医研、緊急被ばく医療支援チームREMAT海外訓練の概要

訓練期間

平成22年6月12日~6月21日
6月12日 成田発
6月13日 キエフ着
6月14日 TESECにて全体説明・個人防護方法解説・日本大使館訪問
6月16日 TESECにて各種測定器実習・日本との衛星回線確保・REMAT資機材起動
6月17日 チェルノブイリ汚染地区にてREMAT資機材を用いた放射能測定
6月18日 TESECにて取得データの検証、討議
6月19日 訓練終了
6月21日 成田着

訓練地域

ウクライナ キエフ市近郊
参考資料(1)参照

訓練受け入れ機関

European Centre of Technological Safety(TESEC)
TESECはチェルノブイリ事故を教訓として、国際基準に沿った原子力安全の教育と研究を目的にウクライナ政府が設立した機関である。

派遣要員数

3名

主な携行装備(参考資料(2)参照)

  • CsI(Tl)高感度空間γ線測定器 1台
  • LaBr3高分解能γ線スペクトロメータ 1台
  • 個人用空気汚染モニタ 1台
  • 半導体個人線量計 3台
  • α・β・γ線統合型表面汚染モニタ 3台
  • 広帯域γ線サーベイメータ 3台

REMATについて

設立の背景と経緯

放射線は原子力発電のみならず、医療、工業、農業に多く利用されており、現代人の生活には欠かせないものとなっています。しかし、ひとたび放射線関係の事故が発生すれば、被ばくした人だけでなく、その周囲の人々にも大きな恐怖を与えます。この様な事故では、素早く汚染核種を特定すると共に被ばく量を測定し、除染剤の投与など最適な医療を施すこと、また、正確な情報を伝達することが重要です。放医研は我が国の緊急被ばく医療体制の中心的機関で、これらの分野で十分な実績と人材を擁していることから、要請を受けて国内だけでなく海外での放射線事故などに専門家を派遣してきた実績があります。しかし、これらは主として個人レベルでの対応であり、また放射線計測機器などの機材も海外での使用に対応できず、その活動に限界がありました。
平成22年1月、放医研では、海外派遣に関する所内規定を整備し、新たにREMATを結成しました。これにより派遣要請の受諾から撤収に至るまでの活動について組織的な対応を取ることが可能となります。また装備の面では、海外での支援活動に適した小型の計測機器や、世界中からデータを日本に送信し、解析を支援する双方向伝達システムを導入する等の充実を図りました。
現在アジア諸国で、多くの原発の建設計画がありますが、それらの国が安全体制を整えるには未だ時間がかかります。同じアジアに住む者として、国境を越えて人々の安心・安全に寄与することは原子力安全の先進国としての日本の責務です。万が一の放射線事故の際、日本の国際社会への協力の観点から、このREMATが大きく貢献すると考えます。

組織・体制等

放医研理事長の下に設置された緊急被ばく医療支援チームREMATは、被ばく医療、被ばく線量評価を中心とした職員で組織構成され、以下に示すような体制下で任務を果たします。
REMATは、現地責任当局の要請を受けて派遣され、放射線被ばく事故の初期医療に関する支援を行います。派遣は、放医研の職務命令を前提とし、派遣員の災害補償は放医研が行います。事故現場に派遣される派遣班の要員構成や要員数は、事故の規模や内容によって適宜判断されますが、5~10名が概ね想定されます。事故発生の緊急時においては、予め指名されていた要員リストから派遣要員が選抜されます。
また、海外に派遣されたREMATは、IAEA等と連携し、その活動を補完することになります。国内における事故に関しては、従来より国が定めている体制で対処することになりますが、その際の放医研としての対応についてはREMATの枠組みも活用し、迅速に対応できるようにしたいと考えています。

  1. 指令本部
    REMAT活動の全体統括
  2. 派遣班
    現場リーダー:現場の指揮
    緊急被ばく医療要員:応急対応、トリアージおよび医学的助言
    線量評価要員:計測、分析試料採取、簡易解析・評価と助言
    放射線防護要員:現地の被ばく・汚染管理
    連絡調整要員:資機材の搬送、設営、現場の情報収集・発信
  3. 後方支援班
    医療班:被ばく患者・汚染患者の受け入れ治療
    線量評価班:詳細分析・解析および線量評価
  4. 事務局
    運営・企画に関する事務処理

European Centre of Technological Safety (TESEC)における訓練の様子
参考資料1:European Centre of Technological Safety(TESEC)における訓練の様子
(今回の訓練の写真ではありません)。

REMAT隊員の装備(一部)
参考資料2:REMAT隊員の装備(一部)

プレスリリースのお問い合わせ

ご意見やご質問は下記の連絡先までお問い合わせください。

独立行政法人 放射線医学総合研究所 企画部 広報課
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp