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NIRS 韓国医療従事者向け緊急被ばく医療トレーニングコースを開催

掲載日:2018年12月26日更新
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NIRS韓国医療従事者向け
緊急被ばく医療トレーニングコースを開催
-アジアにおける緊急被ばく医療の人材の育成を目指して-

2014年8月19日
独立行政法人放射線医学総合研究所

概要

 放射線や放射性物質に関連した事故に備える上で、被ばく・汚染患者への適切な医療対応ができる医療従事者(以下、被ばく医療従事者)の育成と人材層の確保は不可欠であり、我が国のみならず、世界各国においても被ばく医療従事者の育成に関する様々な取り組みが行われています。
 独立行政法人放射線医学総合研究所(以下、放医研)は、緊急被ばく医療に関する専門機関として、放射線障害の診断や治療などの研究を行うとともに、独自の専門性を生かした国際貢献活動の一環として、放医研の被ばく医療の経験や知識のアジアへの発信や、アジアを中心に諸外国の被ばく医療従事者の育成に取り組んでいます。
 このたび放医研において、韓国の被ばく医療従事者30名(予定)を対象とした「NIRS-KIRAMS緊急被ばく医療トレーニングコース2014」を8月25日~27日の日程で開催します。放医研と韓国原子力医学院(Korea Institute of Radiological & Medical Sciences,以下、KIRAMS)とは2004年、被ばく医療をはじめとした幅広い分野における人材育成・交流、及び研究活動等に関する協力覚書を交わしており、本コースへの受入れについても本覚書に基づき、KIRAMSからの依頼により行われております。KIRAMSへの講習会は、今回で8回目となります。
 今回の講習会は、既に被ばく医療の基礎を習得した被ばく医療従事者を対象とした上級コースです。東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、東電福島原発事故)から3年を経た今、実際の対応経験を持つ日本の専門家による情報発信は世界的に需要が高くなっており、本プログラムにおいても、被ばく医療の理解をより深めるために、過去の主な事故例における実践的な被ばく患者への対応を学ぶようになっています。
 このトレーニングコースの一部をマスコミ向けに公開いたします。取材を御希望される方は、整理の都合上、以下の「取材を希望される皆様へのお願い」をお読みいただき、8月21日(木曜日)15時までにFaxで御登録くださいますよう、お願い申し上げます。

取材に関する問合せ先

独立行政法人 放射線医学総合研究所 企画部 広報課
Tel:043-206-3026/Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp

取材を希望される皆様へのお願い[PDFファイル/70KB]

開催の背景と目的

 放射線が医療・農業・工業等の幅広い分野で利用される中、万が一の事故のための備えが必要であり、海外では、“Dirty bomb(汚い爆弾)”等の放射性物質を使ったテロへの備えとしても注目されています。このため、被ばく医療従事者の人材育成は、平時から継続的に取り組むべき重要な課題のひとつです。
 被ばく医療の大きな特徴として、通常の医療分野と異なり、必要とされる事案が少なく、臨床経験による習得が困難なことが挙げられます。このため、被ばく医療の現場の人々にとって、講習会・研修、訓練等が果たす役割は非常に大きく、こうした取組を地道かつ継続的に実施し、被ばく医療全体を絶えず発展させていく努力が重要です。また、希少な被ばく医療の経験を共有していくことも、被ばく医療に対応する人材を育成する上で重要な取組です。
 放医研は、我が国の被ばく医療の中枢機関として培ってきた、独自の専門性を生かした国際貢献を展開しています。特に、放射線の利用が急増するアジア地域における被ばく医療の普及の必要性、被ばく医療従事者の人材育成の必要性、放射線事故発生時に機能する顔の見える緊急相互支援関係構築の必要性に着目した、様々な国際事業*1を実施しています。

 2004年に放医研と韓国側の主催者であるKIRAMS*2が締結した覚書があり、ここでは、緊急被ばく医療、放射線腫瘍学、核医学、医学物理学、加速器物理学等の幅広い分野における人材育成・交流、科学的情報の交換などの協力がうたわれています。この覚書に基づく韓国の被ばく医療従事者向け講習会は、2005年の初回以降、KIRAMSからの依頼に基づき開催されており、今回で8回目を迎えています。
 放医研は、韓国の被ばく医療の中枢機関であるKIRAMSとの間に構築してきた緊密な協力関係を基に、我々が持つ被ばく医療の知見と経験を情報発信・共有することで、韓国における被ばく医療従事者の育成と被ばく医療の発展に貢献し、両国の相互支援関係構築につなげていきたいと考えています。

コースの内容

 本コースのカリキュラムは、被ばく医療に関する基礎知識を有する医療従事者を対象に組まれています。講義では、より専門的な被ばく医療の知識を学ぶとともに、KIRAMS側のニーズも踏まえ、過去の被ばく事故事例及び実践的な被ばく・汚染患者対応や、東電福島原発事故における被ばく医療の経験も学ぶことで、被ばく医療の理解が深められるように構成されています。

今後の展開について

 放医研は、独自の専門性を生かした国際貢献として、今後もアジア地域における被ばく医療従事者の育成に貢献し、両国の相互支援関係構築につなげていきたいと考えています。本講習会は、個別の国が持つニーズに沿った人材育成事業の一形態であるとともに、被ばく医療という専門分野における息の長い地道な協力活動として、継続的に実施したいと考えております。

補足説明

※1 被ばく医療分野における放医研の国際貢献事業:

 放医研は、2001年以降、アジアを主軸とした数多くの被ばく医療に関する国際ワークショップや講習会を開催し、アジアにおける被ばく医療従事者の人材育成と被ばく医療に関する情報の発信・共有を継続的に行っている。これらの事業の中には、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency,IAEA)や世界保健機構(World Health Organization,以下、WHO)等の国際機関と連携したものや、本トレーニングコースを始め海外機関からの講習会開催の依頼を受けて実施したものも多く含まれる。放医研で被ばく医療を学んだ海外の被ばく医療従事者は、2001年以降、延べ444名にのぼる(2014年6月30日現在)。また2010年1月、放医研は、アジア初となる現地派遣型の被ばく医療支援専門チームREMAT®(Radiation Emergency Medical Assistance Team)を独自の組織として発足させた。これにより、海外における放射線事故に対しても即時対応可能となり、長期的な人材育成に加え、緊急時の直接的な支援も可能となった。

※2 韓国原子力医学院(KIRAMS)

 韓国における放射線医学に関する国立研究所。緊急時被ばく医療センターの他に、放射線医科学研究所、がん病院、重粒子加速器部などを有する。また、韓国国内の被ばく医療従事者養成を担う機関でもある。

プレスリリースのお問い合わせ

ご意見やご質問は下記の連絡先までお問い合わせください。

独立行政法人 放射線医学総合研究所 企画部 広報課
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:info@nirs.go.jp

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