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量子生命・医学部門

令和3年度文部科学大臣表彰 科学技術賞授与式

掲載日:2021年4月30日更新
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令和3年度文部科学大臣表彰 科学技術賞を受賞した量子生命・医学部門 量子医科学研究所のグループリーダー 南本敬史、研究員 永井裕司に対する授与式を、4月27日に量子生命・医学部門で行いました。

この賞は、文部科学省が日本の科学技術水準の向上への貢献を目的として定めているもので、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に贈られます。

受賞者に対しては、文部科学省への推薦機関において科学技術週間の行事の一環として科学技術週間中に伝達することになっており、量子生命・医学部門の部門長 中野隆史が2人に賞状とメダルを授与しました。

受賞した内容は以下のとおりです。

氏 名:南本 敬史 年齢:49

    永井 裕司 年齢:44

所 属:量子生命・医学部門 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部 システム神経回路研究グループ

業績名:霊長類の神経活動を調節する技術の確立と応用研究

科学技術賞授与式

令和3年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞した南本グループリーダー(左から2人目)と永井研究員(左から3人目)。中野部門長(左端)、脳機能イメージング研究部​の樋口真人部長(右端)と​​

業績の内容

記憶や意思決定などの高次脳機能は、脳内の一千億を超える「神経細胞」がそれぞれ複雑につながった「神経回路」を形成し「システム」として正しく活動することで成り立っています。このシステムの不調は、「うつ」などの精神・神経疾患で見られるさまざまな症状を引き起こす原因と考えられています。

高次脳機能や精神・神経疾患の理解のため、特定の神経細胞集団の活動をピンポイントで調節する技術がマウスなどの小動物で用いられていましたが、ヒトへの応用前段階の試験で重視されるサルへの適用は課題となっていました。

そこで本研究では、サルの脳内の特定の神経細胞集団に「スイッチ」の役割をする人工受容体を導入し、それをリアルタイムで画像化する技術を開発しました。また、導入した人工受容体にピンポイントで作用する作動薬候補を見出し、特定の神経細胞集団の活動を素早く繰り返し「オン/オフ」することに成功しました。

本成果は、例えば、うつ病で見られる脳活動状態を再現するモデル動物に応用することで、新規の診断法開発や治療薬評価の他、症状が現れたときにその原因となる異常な神経細胞集団の活動を調節して症状を緩和するなどの革新的治療法の開発治療薬などを開発するなどへの寄与が期待されます。

研究に取り組む南本グループリーダーと永井研究員

研究に取り組む南本グループリーダー(右)と永井研究員(左)

南本敬史グループリーダーの喜びのひとこと

このような名誉ある賞を受賞でき、大変嬉しく思います。脳内に機能分子を導入して、それを生体イメージングで見て操作するというアイデアを着想したのは約10年前になります。脳機能イメージング研究部や先進核医学基盤研究部のメンバーや国内外の共同研究者のサポートのもと、永井さんの頑張りが大きく実を結び、霊長類に応用できる技術として確立できました。改めまして皆さまのご協力に心より感謝申し上げます。現在私たちの研究グループを中心に、この技術を活用してより複雑な脳の仕組みを理解し、脳疾患でみられる症状の原因を突き止めるなど、これまで解決できなかった難題に挑んでいます。今回の受賞を励みに、今後もより一層精進して参りたいと思います。

永井裕司研究員の喜びのひとこと

この度は令和3年度文部科学大臣表彰 科学技術賞を賜り、大変光栄に存じます。遺伝子導入技術のサルへの応用にPETによる画像化は必須だと考えていたため、最初はなかなかうまくいかず途方に暮れることもありましたが、初めて画像が得られたときの感動は忘れられません。本研究にご指導・ご協力くださいました先生方に感謝申し上げるとともに、その感動を今後も得られるよう精進して参りたいと思います。​