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量研について

QSTダイバーシティ推進室 NEWS

掲載日:2021年4月1日更新
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2021年4月1日 新・次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画を策定しました

             新次世代育成行動計画2021

令和2年度3月31日までの行動計画終了にあたり、新しい次世育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画を策定しました。

QST次世代育成支援対策法に基づく一般事業主行動計画 令和2年4月1日から令和5年3月31日 [PDFファイル/66KB]

『Harmony -QSTダイバーシティ通信-』No.2 発行のおしらせ

QSTダイバーシティ推進室の2020年度の活動報告、ダイバー担当木村理事インタビュー、瀧原監事インタビュー、支援制度利用者の声、「新しい生活様式とワークライフバランス」アンケート結果の抜粋版、育児コラム、ノー残業デーについて等、8ページにギッシリ詰め込んだ冊子を作成いたしました。

               「Harmony -QSTダイバーシティ通信-」第2号表紙画像

「Harmony -QSTダイバーシティ通信-」第2号 [PDFファイル/1.08MB]

QSTダイバーシティ担当 木村理事インタビュー

木村理事と柿沼室長

----まず、木村理事にとってダイバーシティとはどのようなものかお聞かせください。

ダイバーシティは「あたりまえのもの」だと思っています。色々なことがあり、色々な人がいて、色々なものがある。だからこそ健全な社会が成り立ち、また健全に発展しているのだと思います。その一方で、この「あたりまえのもの」を組織や人間関係といった狭い世界でのダイバーシティに当てはめたときに、「違い」が「差」になってしまいます。これによって差別や偏見が生まれてしまうことは悲しく、またそのことに疑問を抱いています。例えばヒトにおいては、37兆個の個性あふれる細胞が集まって特定の役割を持った組織、そして臓器を構成し、最終的に一つの個体を形成しています。私たちは通常その細胞一個一個を意識せずに生きている、つまり当たり前の世界ですが、このことは社会におけるダイバーシティにも通底するのではないでしょうか。個人の属性や思想信条は様々で。完璧な人などいません。各々ができることを活かして、各々の不足を補い合っていくことが、より良い社会の構築に貢献するのではないでしょうか。それぞれが違っていることを尊重し、違っている中でどのようにグループや組織、社会にどう貢献していくのかを考えていくことが大事だと思います。ダイバースの対義語はユニバースです。ユニバース(宇宙)は普遍的であり、調和がとれ、秩序だっているように見えますが、実際には個々の星はバラバラに動いていて、それでいて全体としては調和し他状態を構築しています。ダイバースとユニバースは逆のことを言っているようで、実は同じことを言っているのではないでしょうか。バラバラな個人も、組織として同じ目的に向かっていくことはできるはずです。

----では、組織を一つのユニバースとしてとらえたとき、ダイバーシティを推進する意義はどこにあると考えられるでしょうか?

適材適所で人材を配置できることだと思っています。それぞれの人に得意なところがあり、またそれを活かして果たすべき役割があるはずです。そこで、それぞれの人の様々な能力を客観的な視点で評価し、適材適所で人材を配置することで、組織は秩序だって機能していきますし、うまく補う関係ができることで、より創造的な成果を創出することができる組織へと進化していくと思います。同質性の高い組織ではそういった成果は必ずしも発生しません。ダイバーシティがあるからこそ、組織は発展していくものと考えています。

----確かに研究系では多様性を確保することで様々な視点が得られ、研究の広がりが得られます。一方、事務系ではどうでしょう。

研究系・技術系・事務系のいずれにおいても、様々な業務の進め方があり、得手不得手にはやはり個人差があります。事務系業務の進め方にしても、議論を提起することが得意な人もいれば、まとめることが得意な人もいますし、視覚的に表現することが得意な人もいれば、論理的に表現することが得意な人もいます。しかし、そのどれもが業務遂行に欠かせない能力ですので、多様な職員により補う関係を構築することは重要です。多様さの一例として性別がありますが、生物である以上、一定の性差はあるのでしょうし、これを完全にフラットにしようとすることには無理があります。無理に均一にしようとするのではなく、互いの良いところを活かし、相互に補うしながら業務を進めることがとても重要だと考えています。

----木村理事はダイバーシティに関する取組として、LGBTQや障害をお持ちの方を対象としたイベントの開催等、精力的に活動されてきたと伺っております。具体的にどのような活動をされてきたのかご紹介ください。

文科省在籍時に「子どもたちの希望あふれる未来を考える研究会(みら研)」を設立しました。文科省が内向きになってしまわないよう、仕事から離れて様々な方々と議論し、様々な知見を得て将来の施策の方向性を探るとともに、将来に生かせるネットワークを構築しようというものです。まずは色々な人を呼んで話を聞こう、ということで色々な人の話を聞いていき、色々な見方があることを認識する中で、これらをどうまとめていくとより良い方向性が生まれるのか考えると、やはりダイバーシティは避けて通れないものでした。色々な人の中には様々な性的志向を持つ方、障害を持つ方、外国人の方…と多様な人がいます。LGBTQの問題が著しくですが、これまで無意識に、あるいは意識的に避けて通ってしまっていたダイバーシティについて、真正面から議論するきっかけを作ろうということで「ともいき(ともにいきる)プロジェクト」を開始しました。

このプロジェクトの本来の趣旨は「ふつう」とは何か?というものです。冒頭でダイバーシティは当たり前、とお話ししましたが、そもそも私たちは何をもって「ふつう」の線引きをしているのでしょうか。例えば、障害を持つ方の中には、障害のない分野ではとても優れた能力を発揮する方々もいらっしゃいますが、障害を理由に「ふつう」の範疇から外され、社会の隅に追いやられてしまっています。こういった自分たちと異なる人を除外しようという動きが、いじめや差別、偏見といった問題の根源になっているわけですが、自分たちと異なる人たちを知ろうとしていないことにその原因があるのではないでしょうか。一方で、実際にそういった人たちの価値観や感性、アウトプットに触れることは大きな刺激になり、思考や活動の範囲を拡げます。色々な個性があるからこそ新しいものが生まれるということを体感し、その上で自分たちに何ができるか考え、一歩踏み出し、小さなことでも実現していこう、ということで、様々な人と触れ合う場として「ともいきイベント」を開催してきました。色々な人がいるのが当たり前と認識するようになると、今度は自分自身が何者かを考えるきっかけが得られます。そうして自分自身の軸を考えることで、自分の能力を一層高める機会を、未来を担う子供たちに持ってほしいという考えから活動してきました。同質な社会にいては自分が何者か考えることもなく、流されるままに生きていくことになります。思考放棄、思考停止は楽かもしれませんが、それでは自分の活動範囲が狭まってしまい、それ以上の発展はあり得ません。

----他者を理解するためにまず自分自身を理解することが肝要ということですね。QSTでも活動の幅を広げていくにあたり、どういったところから取り掛かるのが良いか、ご意見をお聞かせください。

今はある意味取り組みの幅を広げるチャンスです。次期中長期計画策定まであと2年です。第一期中長期計画期間は異なる機関を統合して試行錯誤していく7年間、第二期中長期計画期間は統合を果たしたQSTが、単一組織としての目標を掲げる7年間だと考えています。このため、これからの2年間は未来に向けて職員のベクトルを合わせていけるような取組を実施できるといいと思います。これに当たっては、第二期の7年だけでなく、更にその先、10年~20年の長期的視点で、またQSTをどうするかというところを超えて、もっと大きな視点で目標を立てるような、未来志向の議論を若い方々が中心となって進めてほしいと思いますし、そういったワークショップのお手伝いはいくらでもします。

----一方で、どうしても中長期計画の中で動いていくと、短期的な成果を追いかけてしまい、長期的な目標を見失いがちになります。長期的な目標設定を行うには、トップダウンでの目標設定ももちろんあるでしょうが、職員全体がボトムアップで目標設定をしていくことが重要ということでしょうか。

バランスが大事だと思います。QSTが国の研究開発機関である以上、国からの短期的な目標設定はどうしても存在します。しかし、その目標を達成していくには、やはり普段から長期的な目標に基づき、多様性を醸成しておくことが重要です。組織として色々なことをやっているからこそ、国から指示された目標も知恵を結集して成功に導くことができるのです。

そういった中でダイバーシティ推進室においては、例えば日々の業務を進めていく中で、働き辛そうにしている人がいれば一緒に解決策を探るだとか、面白そうなことがあれば室内で共有してみるだとか、そういった意見共有の場をつくっていってはどうでしょうか。ダイバーシティ推進室は併任だからこそ成り立っている組織だと思っています。普段の仕事の中で気づいたことを持ち寄って議論することで、広い範囲の気づきを拾うことができます。職員の皆さん一人一人を見ると、皆さんやりたいことやアイデアをお持ちですが、それを表に出すきっかけがなかなかありません。そこで、声をかけてみると案外面白いアイデアが出てくるものですから、意見を拾い、実現に向けて動いてみることが重要だと思います。まずやってみることで案外前に進みますので、積極的に第一歩を踏み出してみてもらいたいと思います。

----これまでのご経験を踏まえた上で、ダイバーシティ推進室の取組状況についてご評価いただきたいと思います。

ダイバーシティ推進室は併任者のみの組織ですので、できることには限りがあると思いますが、そのような中でもファンドを獲得して色々な活動を行ってきており、十分成果を挙げていると思います。とはいえ、やはり現在のところ男女共同参画といういささか古いコンセプトにとらわれ過ぎているように思いますので、これをもう一段高みに上げていくために、やはり機構全体で色々なマイノリティの方の声を拾って議論を進め、できるだけ皆さんが満足して仕事ができる環境づくりを進めていけるような提案を出していっていただきたいと思います。次期中長期計画期間に向けてQSTが一つになって動き出すための多様性を確保するため、千葉地区だけではなく、他の拠点の持つ様々な個性を取り込み、それぞれの組織の持つ個性のいいとこどりをしながらQSTという組織として一つの目標に向かってベクトルを合わせていくためにはどうしたら良いのか、議論していってほしいと思います。

もちろん、これまで実施してきた男女共同参画に関する取組においても、これまで女性研究者の比率を高めてきたところ、今度はマネジメントができる人材の育成に力を入れていくとか、次のステップに進む必要があるでしょう。そしてさらに取組を広げていって、より広い意味でのダイバーシティの実現を目指していってほしいと思います。そうした取組を続けていくことが、QSTの理念にある「調和ある多様性の創造」につながるのではないでしょうか。バラバラであることを尊重しつつ、それらをコーディネートし、調和させて一つの目標に向かっていくというのは、それぞれの拠点の中で閉じていたのでは成し得ないものです。なぜQSTという組織があるのか、QSTには何ができるのかということを考えていく2年間にしてもらいたいと思います。

また、今までの価値観も大事ではありますが、当たり前だと思っていたことを一度立ち止まって考えてみて、壊す必要があるものは壊していくことが大事だと思います。かつて文科省で小中学校の子供たちに一人一台IT機器を配布して授業を行うGIGAスクール構想が立ち上がった時、多数の学校現場では単に教科書をタブレットに置き換えただけということが起きてしまいました。これでは媒体が変わっただけで、やり方は何一つ変わっていません。そもそも求められているものが変わってきているのだから、土台から変えていかないと意味がありませんし、それどころか歪みが生じてしまいます。先ほどのGIGAスクールの話でいえば、色々な可能性を持ったデバイスが教室の中に入り、できることが格段に広がったはずなのに、相も変わらずタブレットを教科書代わりにして先生が一方的に講義をしている状況を見て愕然としたものです。男女共同参画に立ち返ってみれば、既存の男性社会に無理やり女性を入れようとして無理が生じてしまっています。

さて、今般の新型コロナウィルス感染症の拡大により、期せずして生活様式が大きく変わってしまいました。まさに土台から大きく変わってきているわけですが、意外と皆さんも多かれ少なかれ変化に慣れてきたのではないでしょうか。この点を思い返してみても、コロナ禍があったからこそ変わることができた部分もあると思いますので、これをチャンスと思って様々な改革に取り組んでいかなければならないと思います。テレワークやWeb会議がそうですが、「無理」と思っていたことでも実際にやってみると案外できてしまったということも多いのではないでしょうか。もちろん文書管理の問題等々解決しなければならない問題はありますが、これが当たり前になっていくと、究極的にはこれまで考えもしなかった、「機構という物理的な存在が必要なのか」といったことも考えていくことになるのではないでしょうか。現在はまさに今ないものをまた新しく生み出していく、自分たちが働く上で何がベストな環境なのか、ゼロベースで考えていく絶好のチャンスにあると思います。新しいことに困難はつきものですが、いきなりベストを求める必要はなく、あちこち迷走しながらでもいいので少しずつ良いものにしていければ良いと思います。

----コロナ禍の影響もあり、大きな変革を迎えている状況にありますが、今後ダイバーシティ推進室が組織としてどのようにあるべきか、また、どのように事業を進めていくべきか、担当理事としてのご意見をいただきたいと思います。

併任スタイルのままで構いませんが、各拠点にまで規模を広げて色々な情報を収集しながら、より良い組織に変わっていくための具体性のある提言をまとめ、実行されるよう各担当部署に働きかけていってもらいたいと思います。ダイバーシティ推進室は理事長直轄の本部組織ですから、その提言はQSTの経営方針に直結することになります。それほどのポテンシャルを有する組織ですので、これを最大限に生かすためにも、各拠点から様々な人を集めて、多様な人の属する組織にすることが重要だと思います。

----部署の壁を越えて、提言をより実効性のあるものにするためにはどのようにしたらよいでしょうか。

やはり提言を実行するのは経営判断ですので、合理性、有効性、実行可能性といった条件を満たし、どのような効果があるのかまできっちり詰めた提言を上げていってください。また、一部の人たちの声だけを聴いていたのでは多数の納得は得られません。職員の皆さんが納得できるような提言を上げるためにもウイングを広げていって、様々な方々から様々な意見を拾う必要があります。現在(1月7日)WLBアンケートを実施していますが、とても多様な意見が出てくると思いますし、それら意見についても「無理」と切って捨てるのではなく、工夫すれば思いのほか色々なことができると思います。できない理由を探すくらいなら、どうやったらできるかを考えた方が生産的ですし、精神衛生上も良いと思います。もちろん最終的にできないという結論に至ることもあるでしょうが、そこに至るまでに色々な可能性を考えることは無駄ではないと思います。

----採用された人たちが楽しく仕事ができ、ここにいたいと思ってもらえる、定着率の高い組織にしたいと思っています。今後様々な提言を行い、中から改善することで少しでも働きやすい環境に変えていきたいと思います。

QSTは研究者が中心の組織なので、どうしても新陳代謝は激しいとは思います。それであっても、もう一度ここで働きたいだとか、ふるさとのように思ってもらえる組織になるとよいと思っています。そのためによく意見を聴取し、抜本的な改善を続けていく必要があります。

ルールにせよなんにせよ、所詮は人の作ったものですので、変えられないものはありません。こんなことを学校組織に言うと150年間これでやってきた!といった反発を受けたりしますが、いざ変えられるとわかると案外あっさり変化してしまうものです。その点、今回のコロナ禍では「変えればできる」という体験の共有がありましたので、スムーズに変化していけたのではないかと思います。

文句であれ何であれ、声が上がるということは「変わってほしい」という思いをまだ諦めていないということですので、組織としてはまだ健全な証拠です。その声をしっかり上げられる環境を作った上で、職員の皆さんの声をどれだけ受け止められるか、また受け止めた上でどのように応えていけるかが、健全な組織の維持にとってとても重要だと思いますので、羽を広げて頑張ってください。

瀧原監事インタビュー

                          瀧原圭子監事

----まず、ダイバーシティに対するご認識をお聞かせください。

ダイバーシティは組織が発展するための要と考えています。いまや国際的に認知されるためのツールでもあり、疎かにするとドメスティックな組織の域を出られません。海外では学会等でも参加者や座長に多くの女性が見られますし、委員会にも複数名女性が参加しています。日本の大学や学会でも女性の数は増えていますが、役員会や委員会の委員にまでなっている人は非常に少なく、せいぜい一人、場合によると男性だけの組織で重要な事項が決められてしまっています。これでは多様な発想も生まれず、組織としての発展性がありませんので、やはり委員会メンバーなど、意思決定の場に参加する女性を増やしていくことが重要だと思っています。

----QSTにおいても瀧原監事は久しぶりの女性役員ということになりました。

委員会に参加できたとしても女性1人では会議で意見を述べるのも容易ではありません。「1人いればいい」ではトレンドにはなり得ないのです。2020年に女性管理職30%という数値目標が掲げられてましたが、これは妥当な目標で、一人だけでは意見が黙殺されかねませんが、30%いれば存在感を示すことができます。ちなみに、QSTにおいては私と柿沼ダイバーシティ推進室長の2人が理事会議に参加していますが、まだまだ少ないと思います。

現在QSTでは男性委員だけの委員会が多数あります。ごく限られた女性管理職がすべての委員会に入るわけにもいかないでしょうが、教育の機会を与えるためにも、まずは委員会に女性を参加させることから初めてはいかがでしょうか。さらに言えば、国際的な研究組織を目指すなら、女性のみならず外国人もこういった委員会に加えていくことが必要になります。

----大阪大学で色々な取組を進めてこられたと承知しております。大学と研究所との違いもあると思いますが、良好事例をご紹介いただきたいと思います。

放医研の方が大阪大学より1年早く文科省科学技術人材育成費補助事業に採択されたと認識しています。大阪大学で実施した保育所のサポートや論文提出のサポートといった、研究者支援事業はQSTで既に実施されていました。千葉大学、東邦大学から大学組織のいいところを吸収して上手く取り組んでこられたのだと思っています。大学組織では文系・理工系・医療系とでそれぞれ置かれている状況が大きく異なるため、必要とする支援がバラバラで、まとめるのが容易ではありません。QSTでも少なからず同様のことが言えると思いますので、よく調整して進める必要があります。

QSTで実施していない取組の一つとして、大阪大学では、本部で3年間ポストを提供し、女性を優先的に採用してサポートしつつ、テニュアにするかどうかを学部が判断するといった制度を運用しています。批判もあり扱いは容易ではありませんが、文系学部では公募を女性限定で行うといった取組も始めています。

----採用の女性枠創設については人事部に相談したこともありますが、まずは能力として同等かどうかで判断したいということで、女性枠の実現には至っていません。一方で、入口の段階でもっと早く候補者を見つけてリクルートしていかなければ、そもそもの人材が多くありません。大学での講義や学会への出展は女子学生のリクルートに行くようなものだと思い、力を入れているところです。

研究分野の関係で高崎地区や那珂地区が女性のリクルートに苦労するのは理解できるところもありますが、この点からは千葉地区はもっと女性を増えてもおかしくないのではないかと思います。ここがQSTの今後の取組みに関する一つのポイントだと思っています。

----任期制職員には女性が多いのですが、労働契約法上の問題もあり、QSTに残ってもらうのが難しいというのが実情です。

ダイバーシティ推進室には女性の応募を増やす取組を強化してほしいと思っています。裾野を広げなければ女性上位職は増えませんが、任期制職員で裾野を広げたところで委員会に参加できる女性が増えるわけではありません。難しいところもあるかとは思いますが、女性に優先的にテニュアに入ってもらったり、優先的に上位職に就けたりといった試みを行うべきだと思います。先にも述べましたが、女性職員にはリーダー教育や管理者教育が行き届いていないという面もありますので、まずは機会を与えることが重要です。任期制職員を委員会に参加させるのは難しいかもしれませんが、部長級・課長級職員から成る委員会の中に、女性なら係長級でも加えるといったことを試してみるのもいいかもしれません。実際に機会を与えてみると開花する能力もあると思います。各委員会には役職指定を外す形で最低限女性を一人入れて欲しいといった提言を続けていくとよいと思います。負荷をかけることで発揮される能力もあると思いますし、それでうまくいかなかったならら外せばいいのですから。

----私(柿沼室長)は長い間任期制職員として勤務しておりました。以前は任期制でもTLなどができるという制度があり、様々な経験を積むことができました。そういった経験が人を育てますので、機会を与えるのはとても重要なことだと思っています。

私が理事を務める循環器学会は男性社会ではありますが、それでも会員13%は女性で、学会発表の15%は女性演者です。糖尿病学会等に比べると少ないとはいえ、それだけの割合で女性が活躍しているのなら、座長の15%、また評議員の13%を女性にしてはどうか、と理事会で提案しました。昨今、このような提案が理事会で否定されることはほぼありません。評議員数を女性の会員数に則した数にすることに決めると、女性評議員が50人ほどに増え、各種委員会に女性を入れることができるようになりました。学会員である以上、委員会での決議には性別にかかわらず参画する権利があるはずです。QSTにおいても同様で、女性職員が15%いるならすべての場面で女性が15%いてもおかしくありません。

ダイバーシティ推進室は様々な取組を進めていますが、一方で意識が千葉だけに向いていないでしょうか。各拠点の隅々まで意識が届くように努めていただきたいと思っています。

----現在はコロナ禍のため実施できておりませんが、これまで各拠点の女性研究者やその上司と意見交換を実施してきました。コロナ禍が終息しましたら再開したいと思っています。

ダイバーシティ推進の3つのキーワードはロールモデル、メンター、ネットワークです。QSTのような女性の少ない研究機関であれば、まずはネットワークを構築するのがよいと思います。Web上でもいいので、現在少数派である女性の間で情報交換を行うネットワークを構築していくことで、悩みの共有もできますし、相談することで解決策も見つかるかもしれません。

----直接会ったことがある人とWeb上で話すのと、一度会ったことのある人とWeb上で話すのとでは意識も変わってくるように思っています。できれば一回集まってみて、その上でその後のネットワーク構築はWeb上でやる等、うまく組み合わせていきたいと思います。

これまで旧放医研の女性上位職の方と旧原研の女性上位職の方との接点はあまりなかったのではないでしょうか。

----シンポジウム等での接点はありましたが、あまり機会はありませんでした。そういった機会は今後増やしていきたいと思います。各拠点にそれぞれ女性研究者がいらっしゃいますし、その方々が自分より若い女性職員の面倒を見ながら研究所内でキーパーソンとして動いていらっしゃいますので、今後は横のつながりを強化していくことが課題ですね。

そうして女性職員の会合という形で横のつながりもできますと、現場の声を拾いやすくなりますし、現場も言いやすくなります。もちろん日本全体が成熟していくと女性だけの会は要らなくなると思いますが、現状ではまずは女性間で共通認識を持って、職位に関係なく情報交換を行いつつ、情報の集約を行っていく場としてネットワークを活用するとよいと思います。

----QSTにはメンターに相当する方はあまりいないように思っています。どのように広げていくとよいでしょうか。

最初は部下の女性を筆頭著者で論文を書くところまで育てたとか、ライフイベントを支えたとか、女性を上手に育てたような人をQSTベストメンター賞として表彰するような取組を行うとよいのではないでしょうか。個人を表彰するだけでなく、女性が多く、かつ優れた研究成果を創出した部門を表彰するといった形でもよいとは思いますが、まずはモデルを作り、「育てる」ことに注力することが大事だと思います。

委員会への女性枠創設についても反発はあると思います。しかし、まずは「育てる」という目的をしっかり伝え、意識付けを行う必要があると思います。

----大阪大学ではダイバーシティに関する取組が進んでいるように思いますが、学生たちの意識はどうでしょうか。また、どのようにアプローチしていくのが効果的でしょうか。

ダイバーシティに対する認識には世代間での差が大きいように思います。最近の若い人はあまり意識していないようで、女子学生リーダーのもと男子学生がついて行く、ということもしばしば見られます。ただ、女子学生の方が仕事や結婚についてよく考えていて、5

-10歳くらい上の人達の働き方をよく見ている印象があります。採用説明等に当たっては、身近な存在として年齢の近い女性職員が参加されるのがよいと思います。働き方に対する意識も「自分がハッピーに働けるか」というところに重点を置いているため、身近な女性職員が明るく、楽しく働けているかどうかで女子学生の職場に対する印象は大きく変わっていくと思います。

----男女共同参画社会はまだスタートラインにすぎず、民間企業はさらにその先のLGBTQやSDGsへの対応に進んでいっています。これに追いついていくに当たり、今後QSTはどういったものから取り組んでいくべきでしょうか。

循環器学会でも10年以上前に「男女共同参画委員会」という組織が出来て、大阪大学でも最初にできた組織の名称は「男女共同参画推進室」でした。しかし、4,5年前から「ダイバーシティ推進」に切り替わり、「男女共同参画」という語は姿を消していっています。多様性はもはや性別だけではなく、今や外国の方も含まれているのです。労働人口が減っていく中で男性だけを求めていては、母数が減っていくので組織の能力は低下しています。維持するためには女性もどんどん取り入れていかなければなりません。同様に、人口全体が減るなら外国の方も入れていかねばなりません。国際的な競争力を維持するためには、そういった方々が働きやすい職場環境整備が重要です。QSTでは女性職員が働きやすい環境は他の機関と比べると整備されているように思います。しかし、アウトプット、つまり実際に女性職員が増加したかどうかというとどうでしょうか。女性職員・外国人職員を増やすことがゴールであって、それぞれの取組はツールで合ってゴールではないはずです。ゴールをよく見て数値目標を設定し、様々な施策を考えていってください。

----QSTで働き続けたい、一度離れてもQSTに戻ってきたいというような職場にしていきたいと思っています。現在コロナ禍で非常に困難な状況にありますが、一方でWebを使って繋がることができるという新しいいい経験ができたとも思っていますので、有効に取り入れて様々な取組を先に進めていきたいと思います。ありがとうござました。

 


 

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