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関西光科学研究所 | 第2-2回KPSIセミナー パルスパワー・レーザーを用いたプラズマ物理・加速器科学研究

掲載日:2018年12月28日更新
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セミナー

第2-2回KPSIセミナー

パルスパワー・レーザーを用いたプラズマ物理・加速器科学研究

 

講演者 近藤 康太郎
(関西光科学研究所 光量子科学部 高強度レーザー科学グループ)
職位 研究員
場所 関西光科学研究所 ITBL棟 G201号室
日時 5月11日(水曜日)14時00分~15時00分
使用言語 日本語

パルスパワー・レーザーを用いたプラズマ物理・加速器科学研究

近藤 康太郎
(関西光科学研究所 光量子科学部 高強度レーザー科学グループ)

概要

これまで取り組んできたパルスパワー技術を用いたプラズマ衝撃波の緩和領域の研究およびレーザーを用いたイオン源の研究開発について紹介する.

電離や輻射輸送を伴った高速な衝撃波は宇宙空間中に存在する普遍的な現象である.しかし,それら衝撃波の内部構造はイオン-電子のエネルギー緩和,電離緩和,輻射過程やそれらの相互作用といった様々な時間・空間スケールの物理過程が混在しており,定量的な構造の解明が難しい.それらを明らかにするためには,定常でかつ形状が単純であることが望まれる.そこで、テーパー状電極とガイディングチューブをもった小型電磁パルス装置を試作し,定常でかつ1次元のプラズマ衝撃波を形成し,その緩和構造を明らかにすることを目指した.

ガイディングチューブ内を高速度フレーミング・ストリークカメラで撮影したところ,比較的低密度のXeガス中 (1016 cm-3) に衝撃波マッハ数100を超える高速な1次元衝撃波が形成されていることが確認された.電離・再結合過程を考慮した定常1次元の数値計算モデルによる計算結果および衝撃波内部の分光計測による実験結果と比較し,小型電磁パルス装置で駆動されたプラズマ衝撃波の緩和構造について議論する.

近年粒子加速器は素粒子・原子核物理学だけではなく,物質科学や放射線医学など多くの分野で利用されており,さらなるビームの大強度化が望まれている.しかし,特に重イオンビームは加速器システムの最上流に位置するイオン源での多価イオン生成が要求されるために,その大強度化が困難であった.一方でレーザーイオン源は固体ターゲットを用い,ドリフトしたプラズマフラックスから引き出されるため,そのビームは大電流でかつ質が高く,この課題を克服することができると期待されている有力なイオン源である.我々はそのレーザーイオン源の高度化に関する研究に取り組んできた.

本講演では,Nd:YAGレーザー(パルス幅:~ ns,強度: 1012 W/cm2)によって生成された多価イオンを含むプラズマを低エネルギー領域でのビーム収束性に優れるRFQ線形加速器に直接入射させる直接プラズマ入射方式によるイオンビームの長パルス化に関する実験について重点的に述べる.

 

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