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セミナー
第1回KPSIセミナー
欧州の高繰り返しレーザー(1〜10PW級)とXFELの現状と研究の展開
講演者 | 高部 英明 (ドイツ・ヘルムホルツ研究機構ドレスデン(HZDR)) |
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職位 | 教授 |
場所 | 関西光科学研究所 管理棟 大会議室(A119) |
日時 | 4月4日(月曜日)13時30分 ~ 14時30分 |
使用言語 | 英語 |
欧州の高繰り返しレーザー(1〜10PW級)とXFELの現状と研究の展開
高部 英明
(ドイツ・ヘルムホルツ研究機構ドレスデン(HZDR))
概要
早期退職し、ドイツに移住して約7ヶ月。その間に目で確かめ、聞いたり、集めたり、また私自身が展開関与している表題の内容を紹介したい。
欧州でELIプロジェクトが推進されている[1]。年額20兆円の欧州予算から合計約2千億円を獲得。EUの方針で、東欧への科学インフラとして、チェコ、ルーマニア、ハンガリーに10PWと複数のレーザーを建設、国際利用施設として運用する。その後、ELI-ERIC・200PWレーザーを建設予定である。前者3極は2017年の実験開始を目指している。仏国は国のプロジェクトApollonとして10PWレーザーを建設中であり、長距離集光でレーザー加速の原理実証を目指す。やはり、2017年試運転の予定。
一方、ドイツのハンブルグDESY(日本のKEKに相当)には、1.5千億円の欧州XFEL装置が完成し、2017年の運用開始を目指して準備が進んでいる[2]。現在は以下のHIBEFを含む3本のXFELビーム、6実験施設の建設中である。1月末の利用者会議では千人を超える利用予定者がDESYに集結した。
その施設の一つが私の関与するHIBEFプロジェクトである[3]。XFELにPWレーザーと1kJ, nsのレーザー(英国RALが制作)、90Teslaのパルス磁場、動的ダイアモンド・アンビルを最終的に取り付け、ユニークな基礎学術研究を行う。高繰り返し1-10Hzを目指す。第1期は2017年完成。中国からは複数のレーザー工学者の常駐、米国からは多数の計測器が国際協力で支援される。日本は阪大とも協力協定を提携進行中。世界に開かれた施設とすべく、国際コンソーシアムを設立。アジア・太平洋は高部が議長で第1回の利用者の会を6月23-24の両日、上海光機所(SIOM)で開催する。
2年後にはすべてが稼働する時代が来る。世界中の利用者が欧州に集まると予想される。さらに、欧州での加速器科学と光科学の密接な連携や、欧州の20カ所の放射光の連携など、利用者第1主義の協力体制についても触れたい。
HIBEFやELIsで私が責任者である実験室宇宙物理の推進戦略、現状、計画を紹介。また、NIFによる最新の実験結果も含め紹介したい。
参照: