那珂研究所

ITER Award 2023 授与式

掲載日:2024年1月16日更新
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ITER Award 2023 授与式

ITER Award 2023を受賞したITER TFコイル プロジェクトチームに対する授与式を、2023年12月21日に那珂研究所で行いました。受賞者に対して、量子エネルギー部門の石田真一部門長から盾が授与されました。

この賞は、ITER計画に多大な貢献をしたチームを褒賞するもので、ITER機構及び各極職員の投票により選出されます。2023年12月4日、ITER機構において、ピエトロ・バラバスキITER機構長より、ITER TFコイル プロジェクトチームが「トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献」でITER Award 2023を受賞しました。

受賞した内容は以下の通りです。

業績名:トロイダル磁場(TF)コイルの機器調達への貢献
受賞者:ITER TFコイル プロジェクトチーム(欧州と共同で、QST、三菱重工業(株)、三菱電機(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)など多くの研究機関、企業の研究者、技術者から構成されるITER TFコイル プロジェクトチーム)

 

石田部門長(右)より盾を受け取る辺見グループリーダー
写真1 石田部門長(右)より盾を受け取る辺見グループリーダー

 

那珂研での授与式の様子
写真2 那珂研での授与式の様子(上段左から、清水辰也、川崎勉、竹林圭哉技術員、井上多加志ITERプロジェクト部部長、杉本誠副所長、正木圭グループリーダー、諏訪友音主任研究員、田中信彦、宇野康弘。下段左から、馬場貴志協力研究員、濱田一弥グループリーダー、中本美緒主幹技術員、中平昌隆ITERプロジェクト部次長、石田真一部門長、辺見努グループリーダー、櫻井武尊主任研究員、河野勝己技術統括、阪本和幸)

 

なお、フランス駐在や異動などの理由で全員が授与式に参加いただくことができませんでしたが、本当に多くの方がITER TFコイル プロジェクトチームに参加し、多大な貢献をされました。

 

ITER トロイダル磁場コイルの開発

核融合実験炉ITER(イーター)計画では、量子科学技術研究開発機構(QST)はITER日本国内機関として、我が国が調達責任を有する9機のトロイダル磁場(TF)コイルを担当している。ITER TFコイルは、これまでに前例のない世界最大(高さ16.5m、幅9.2m、総重量310トン)のNb3Sn(ニオブ・スズ)超伝導コイルである。

TFコイルの製作は、110トンの巻線部をインボード(直線側)で6万トンの電磁力に耐えるため、極低温用ステンレス鋼製の構造物に収め、隙間を樹脂で含浸することで、巻線部と構造物を一体化し、コイルの最終機械加工を経て、完了となる。巻線部は7枚のダブル・パンケーキを積層し、対地絶縁を樹脂で含浸して製作される。それぞれのダブル・パンケーキはD型に巻いた超伝導導体を超伝導体を生成する熱処理を実施した後、ラジアルプレートと呼ばれる溝付きのステンレス板に絶縁した導体を挿入し、ダブル・パンケーキの周りに絶縁を巻いて樹脂を含浸して製作される。(図1)

 

ITER TFコイルの構造
図1 ITER TFコイルの構造

 

ITER TFコイルは、巨大な超伝導コイルであるにもかかわらず、高性能なプラズマを閉じ込めるため、インボード(直線側)で電流中心を直径2.6mmの円筒の中に収めることが要求されるとともに、高性能なNb3Sn超伝導導体の開発、6万トンを超える巨大な電磁力を支える構造物の開発、耐放射線性電気絶縁技術の開発など数多くの技術的な困難を乗り越えて、達成したものである。

2023年11月にTFコイル最終号機がITER建設サイトに到着し、受入時のチェックを実施した後、QSTからITER機構に引き渡した(図2)。これにより、ITER TFコイルの調達取決めが署名された2008年から15年間に及ぶ全ての作業が完了することとなり、ITER TFコイルの製作を完遂した。これは、日本の技術力を結集し、徹底した品質管理に加えて、三菱重工業(株)、三菱電機(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)など多くの研究機関、企業の研究者、技術者の核融合エネルギーに対する情熱と継続的な努力によって、無理とも言われた厳しい要求を達成して、完遂したものである。

 

QSTからITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機1QSTからITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機2
図2 QSTからITER機構に引き渡されるTFコイル最終号機

 

トカマクの所定位置に組み付けられたTFコイル初号機と2号機(写真 ITER機構提供)
図3 トカマクの所定位置に組み付けられたTFコイル初号機と2号機(写真 ITER機構提供)