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NanoTerasu Center

制御/control (Beamline Group)

掲載日:2025年7月3日更新
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ビームライングループでは、NanoTerasuのビームラインの共用インターロック・制御を整備、運用しています。ビームラインインターロックは、放射線防護、基幹部機器保護、輸送部機器保護を独立したプログラマブルロジックコントローラーにより実現しています。ビームライン制御は、挿入光源、基幹部機器、輸送部機器の制御システムを整備しています。

NanoTerasuではビームラインのインターロック・制御の整備において、積極的な既存技術の導入及び共通化を行いました。それにより、ビームラインインターロック・制御の基本構成は全BLで共通です。

Control

The schematic view of the beamline interlock & control system.

インターロック /Interlock

NanoTerasuのビームラインインターロックは放射線防護(BL-Safety),基幹部(Front-End:FE)機器保護,輸送部(Transport Channel:TC)機器保護をそれぞれのプログラマブルロジックコントローラー(PLC)により実現しています。FE-PLC、BL-Safety-PLC、BL-TC-PLCはハードウェア接点のみで接続しており、ロジックは完全に独立しています。

Interlock

The schematic diagram of the beamline interlock system.  FCS: First closing shutter, ABS: absorber, BS: beam shutter, VG: Vacuum gage, GV: gate valve, SCM: screen monitor, MBS: main beam shutter, DSS: down stream shutter.

放射線防護と機器保護のインターロックが独立しているため、ビームライン機器の構成変更に伴う機器保護ロジック変更に際して、放射線防護のロジックは影響を受けません。これにより、ロジック変更後の確認作業は機器保護インターロックのみを対象とすることが可能になり、変更後の確認作業が大幅に削減されています。

また、FE機器保護を独立したため、従来よりも早期にメインビームシャッター(MBS)上流部へ放射光を導入することが可能になり、そのセクションに設置されたフィルターやスクリーンモニターを用いた挿入光源・FEのコミッショニングが可能になりました。

放射線防護と機器保護のビームアボートリクエストも独立しています。FEからの機器保護アボートリクエストはAbort Request Interconnect System(ARIS)を経由して直接リング加速空胴に送信され、ビームが廃棄されます。放射線防護のアボートリクエストは加速器安全インターロックシステムへ伝えられ、加速器安全インターロックシステムが運転許可信号を遮断することでビームが廃棄されます。

NanoTerasuの実験ホールは一般区域、ハッチ内が放射線管理区域であるため、ハッチ扉が管理区域境界となっています。これのため、ハッチ扉の操作の際に操作者が放射線作業従事者か否かの確認が必要になっています。この確認は個人線量計付属のQRコード認証により行われます。確認を経たことをBL-Safety-PLCが認識してハッチ扉制御盤に開閉許可を出すロジックになっています。

制御/Control

NanoTerasuの挿入光源(Insertion Device:ID)およびFEは加速器制御機器の一部として制御されています。NanoTerasu加速器制御システムはSPring-8/SACLAで開発された制御フレームワークを採用しています1,2)。IDおよびFEの機器はこの制御フレームワークの機器制御プログラム(Equipment Manager:EM)を使用して、中央制御室(Central Control Room:CCR)の制御端末(Work Station:WS)上のグラフィカルユーザーインターフェース(Graphical User Interface:GUI)やビームラインの制御フレームワーク(BL-774)から操作が可能です。FE機器のうち、シャッターやバルブはFE-PLCが備えるタッチパネルからも操作可能です。このタッチパネルはVNCサーバー機能を持ち、VNC接続によりタッチパネルと同等の操作をネットワーク越しに行うことが可能です。

TCについては、SPring-8で開発されたBL-774により制御されています。BL-774はSPring-8のビームライン機器の標準的な制御手法として構築された制御プラットフォームで、現在SPring-8内で多くのビームラインに適用が進められています3)。TCのモーター駆動機構には、複雑な同期制御を可能にするため、EtherCAT4)を採用しました。BL-Safety-PLC、BL-TC-PLCもEtherCATで接続され、産業用PC(Industrial PC:IPC)をEtherCATマスターとしてBL-774と接続しています。

ビームラインのBL-774からIDおよびFEを制御するため、加速器制御内に中継プログラム(Command Interpreter:CI)が走っています。BL-774が送信した制御コマンドは加速器制御ファイヤーウォールを経由してCCR-WS上のCIが受信し、加速器制御フレームワークのプロトコルに変換、IDおよびEMに送られ、実行されます。CIは蓄積リング入射時のID操作禁止機能も持ちます。

Connection

References

1)   T. Fukui, et al., “Status of the Control System for the SACLA/SPring-8 Accelerator Complex”, Proceedings of ICALEPCS 2017, Barcelona, Spain, 2017

2)   T. Sugimoto, et al., “Status of the Control System for Fully Integrated SACLA/SPring-8 Accelerator Complex and New 3GeV Light Source being Constructed at Tohoku, Japan”, Proceedings of ICALEPCS 2019, New York, USA, 2019

3)  K. Nakajima, K. Motomura, Y. Joti, T. Hatsui, M. Yabashi et.al., Proceedings of SRI 2021, Hamburg, Germany, 2022

4)  https://www.ethercat.org/default.htm

5) 放射光学会誌「放射光」Mar. 2024 Vol.37 No.2 p112-116

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