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プレスリリース

プラズマ加熱実験に向けたJT-60SA統合試験運転の開始 ~世界最大のトカマク型装置として本格始動~

掲載日:2026年3月13日更新
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QST横ロゴロゴ2026年3月13日
​国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
Fusion For Energy


 

【発表のポイント】

  • 日欧共同で茨城県那珂市に建設したトカマク型超伝導プラズマ実験装置JT-60SA(以下「JT-60SA」)において、世界最大のトカマクとして、初めてのプラズマ加熱実験に向けた統合試験運転を開始。大きなマイルストーンを達成。
  • 新たに設置した真空容器内の制御コイルの通電試験から始まり、年内のプラズマ加熱実験の開始を目指す。
  • フランスに建設中のイーターや、発電実証を目指した原型炉に向けて、高温・高圧力プラズマの制御に向けた初期試験を先行。世界に先駆けて超伝導大型トカマクの運転技術を獲得。

【概要】

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 小安重夫、以下「QST」という。)とFusion for Energy(代表 マーク・ラシェーズ、以下「F4E」という。)は、日欧共同で実施している幅広いアプローチ活動等を通じて、JT-60SA※1計画を進めてきました。今般、QSTとF4Eはプラズマ加熱実験に向けたJT-60SA統合試験運転※2を開始しました。
 JT-60SAは、フュージョンエネルギーの早期実用化を目指し、イーター計画※3と並行して日欧が共同建設した世界最大のトカマク※4型超伝導プラズマ実験装置です。JT-60SAは、令和5年の初プラズマ生成及び超伝導コイルによる世界最大プラズマの制御の成功を踏まえ、プラズマ加熱実験の開始が切望されていました。そこで、令和6年からは、粒子ビームや高周波を用いてプラズマを高温に加熱する装置、高温プラズマを制御する真空容器内のコイル、高温プラズマから流れ出る熱を受け止める機器、高温プラズマの状態を分析する計測器等、本格的なプラズマ加熱実験に向けた装置増強作業を進めてきました。
 今般、日本と欧州の関係機関が技術を結集し、数々の技術課題を乗り越え、装置増強のために据え付けした機器をJT-60SAの設備として統合する統合試験運転を、令和8年2月27日(金)から開始しました。真空容器内に設置したコイルの試験運転は、大型トカマクとして世界で初めての経験であり、イーターや原型炉※5に向けた運転技術の礎となります。今後は、本年内のプラズマ加熱実験を目指して試験運転を進め、世界に先駆けて超伝導大型トカマクの運転技術を獲得します。
 QSTとF4Eは、JT-60SAで得られた知見をイーター及び将来の原型炉に積極的に活かすとともに、フュージョンエネルギーの早期実用化に向けて引き続き邁進いたします。

JT-60SA全景
​JT-60SA全景

統合試験運転の様子
​統合試験運転の様子
左:中央制御室、右:通電したコイル

【用語解説】

※1…JT-60SA(JT-60 Super Advanced、ジェーティーロクジュウ スーパー アドバンス)

 幅広いアプローチ(BA)活動として日欧共同で実施するサテライト・トカマク計画と我が国で検討を進めてきたトカマク国内重点化装置計画の合同計画として、茨城県那珂市のQST施設に建設された、現時点では世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置となります。その目的は、イーターの技術目標達成のための支援研究、原型炉に向けたイーターの補完研究、人材育成です。JT-60SAは、約-269℃(絶対温度約4K)に冷却された強力な超伝導コイルを使用して1億℃にも達するプラズマを閉じ込めます。
 URL:https://www.qst.go.jp/site/jt60/5150.html (日本語)

※2…統合試験運転

 JT-60SAの動作を確認するために行う一連の運転。具体的には、JT-60SAの各設備の運転や、真空排気、超伝導コイルの冷却と通電試験、その後実際にプラズマを発生させ、その制御も含めて、JT-60SA全体の動作を確認する一連の運転を指します。

※3…イーター(ITER)計画

 日本、欧州、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7極の国際協力の下、その建設・運転を通じてフュージョンエネルギーの科学的・技術的実現可能性を実証する計画であり、加熱システムによる入力エネルギーの10倍のフュージョンエネルギー(Q≧10)を得ることが目標です。現在、サイトがあるフランスのサン・ポール・レ・デュランスにおいて、プロジェクト実施のための国際機関であるイーター機構を中心に運転開始に向けた建屋の建設や機器の組立が行われるとともに、各極において担当する様々なイーター構成機器の製作が進められています。
 URL:https://www.fusion.qst.go.jp/ITER/ (日本語)

※4…トカマク

 高温プラズマを磁場により閉じ込める方式の一つ。外部コイルによって作られる主たる磁場である周方向のトロイダル磁場と、プラズマ中に周方向の電流を流すことにより作られる径方向のポロイダル磁場を組み合わせ、高温プラズマを閉じ込めます。イーターもトカマク型の装置です。

※5…原型炉

 原型炉とは、JT-60SAやイーターの成果に基づいて建設される次期装置であり、フュージョンエネルギーによる発電と経済性を実証する装置です。現在、世界各国で原型炉の概念設計が進められています。