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千葉地区共通情報

アジア初、緊急被ばく医療支援チームREMATを結成―放医研、海外の原子力災害等に迅速に対応―

掲載日:2018年12月26日更新
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概要

独立行政法人放射線医学総合研究所(米倉義晴理事長以下、放医研)は、海外での放射線被ばくや放射性物質による汚染事故などが起きた時に、現場で初期医療を支援する、緊急被ばく医療支援チームREMAT(Radiation Emergency Medical Assistance Team)を結成、本年1月より本格的な活動を開始しました。被ばく医療の分野で支援が可能なチームは世界的にも極めて珍しく、アジア初となります。このチーム結成により、被ばく医療における放医研の人的・物的資源を積極的に活かした国際的な支援活動が可能になりました。

このチームは、被ばく医療の専門医師や被ばく線量評価の専門家などで組織され、携帯性に富んだ先進の放射線計測機器や汚染事故等に対応する特殊な医薬品などを装備し、また被ばくに関するデータ解析を衛星回線使ってリアルタイムに行うシステムも新たに開発し、機動性を兼ね備えながら幅広い原子力災害に対応可能です。

今後、原子力災害が発生した当該国政府やIAEAなど国際機関等から派遣要請が受けた時に、迅速に放医研から派遣されることになり、万が一の場合での活躍が期待されます。

放医研・緊急被ばく医療支援チームREMATの 隊員装備 ロゴマ ーク
放医研・緊急被ばく医療支援チームREMATの隊員装備(左)およびロゴマーク(右)

設立の背景と経緯

放射線は原子力発電のみならず、医療、工業、農業に多く利用されており、現代人の生活には欠かせないものとなっています。しかし、ひとたび放射線関係の事故が発生すれば、被ばくした人だけでなく、その周囲の人々にも大きな恐怖を与えます。この様な事故では、素早く汚染核種を特定すると共に被ばく量を測定し、除染剤の投与など最適な医療を施すこと、また、正確な情報を伝達することが重要です。放医研は我が国の緊急被ばく医療体制の中心的機関で、これらの分野で十分な実績と人材を擁していることから、要請を受けて国内だけでなく海外での放射線事故などに専門家を派遣してきた実績があります。しかし、これらは主として個人レベルでの対応であり、また放射線計測機器などの機材も海外での活動に対応できる物ではなく、行うことができる活動に限界がありました。

今回放医研では、海外派遣に関する所内規定を整備し、新たにREMATを結成しました。これにより派遣要請の受諾から撤収に至るまでの活動について組織的な対応を取ることが可能となります。また装備の面でも、海外での支援活動に適した小型の計測機器等や、世界中の何れの場所からもデータを送信でき、日本からデータ解析を支援するシステムを導入する等の充実を図りました。

現在アジア諸国で、今後多くの原発の建設計画がありますが、それらの国が安全体制を整えるには未だ時間がかかります。同じアジアに住む者として、国境を越えて人々の安心・安全に寄与することは原子力安全の先進国としての日本の責務です。

万が一の放射線事故の際、日本の国際社会への協力の観点から、このREMATが大きく貢献すると考えます。

組織・体制等

放医研理事長の下に設置された緊急被ばく医療支援チームREMATは、被ばく医療、被ばく線量評価を中心とした職員で組織構成され、以下に示すような体制下で任務を果たします。

REMATは、現地責任当局の要請を受けて派遣され、放射線被ばく事故の初期医療に関する支援を行います。派遣は、放医研の職務命令を前提とし、災害補償は放医研が行います。事故現場に派遣される派遣班の要員構成や要員数は、事故の規模や内容によって適宜判断されますが、5-10名が概ね想定されます。事故発生の緊急時においては、予め指名されていた要員リストから派遣要員が選抜されます。

また、海外に派遣されたREMATは、IAEA等と連携し、その活動を補完することになります。国内における事故に関しては、従前の体制で対処することになりますが、その際の対応についてはREMATの枠組みも活用し、迅速に対応できるようにしたいと考えています。

  1. 指令本部
    REMAT活動の全体統括
  2. 派遣班
    現場リーダー:現場の指揮
    緊急被ばく医療要員:応急対応、トリアージおよび医学的助言
    線量評価要員:計測、分析試料採取、簡易解析・評価と助言
    放射線防護要員:現地の被ばく・汚染管理
    連絡調整要員:資機材の搬送、設営、現場の情報収集・発信
  3. 後方支援班
    医療班:被ばく患者・汚染患者の受け入れ治療
    線量評価班:詳細分析・解析および線量評価
  4. 事務局
    運営・企画に関する事務処理

問い合わせ先

国立研究開発法人 放射線医学総合研究所 企画部 広報課
Tel:043-206-3026
Fax:043-206-4062
E-mail:05;nfo@nirs.go.jp