2019年6月5日(水曜日)に東京国際フォーラム(東京都)にて、HIMAC25周年記念講演会 重粒子線がん治療~がん死ゼロ健康長寿社会を目指しHIMACから「量子メス:Quantum Scalpel」へ~を開催しました。
QSTからは、国内外の重粒子線がん治療施設の拡がりや、臨床試験の開始から保険診療に至るまでの25年間のあゆみと、さらなる普及のためにQSTが取り組む超小型で高性能の量子メスと標的アイソトープ治療を組み合わせた、がん死ゼロ健康長寿社会実現のための戦略を紹介しました。
特別講演では、日本対がん協会会長でご自身もがんサバイバーである垣添忠生先生から「高齢社会をイキイキと生きる」と題し、がん患者にとって患者自身が病気を受け入れ前向きになることが重要であるというお話がありました。その中でも特に食に焦点を当て、口から物を食べられることは人を鼓舞し、生きる力になること、そして重粒子線がん治療は、そのような治療後の生活の質(QOL)を支える一翼を担う治療であるという、QSTにとり大変励みになるお言葉をいただきました。
パネルディスカッションでは、国内で重粒子線がん治療を行っている施設、行政、マスメディア、患者、それぞれの立場から活発に意見交換がなされました。九州国際重粒子線がん治療センター(HIMAT)では、全体の4分の3が保険診療となり患者数も増えて重粒子線がん治療が社会的にも認められたという良い面がある一方で、収入とコストのバランス、施設や設備、放射線科の医師の確保などの問題もあるといった治療施設の現状の紹介がありました。これに対し、コストを抑えるための一つの方策として、少ない照射回数で治療できることを国内の施設が共同して臨床研究を進めていくことが重要であるという意見がありました。また、例えばQOLを指標化する研究を進め、それにより重粒子線がん治療の価値を評価して、費用対効果を示すことを考えてはどうか、という意見もいただき、重粒子線がん治療を今後も発展、普及させていくために有意義なパネルディスカッションとなりました。
約630名もの沢山の方にご来場をいただき、誠にありがとうございました。
QSTでは、がん死ゼロ健康長寿社会の実現を目指し、重粒子線がん治療研究をさらに進めて量子メス、標的アイソトープ治療などの革新的な治療技術の研究開発を加速していきます。
会場の様子
垣添忠生先生による特別講演
パネルディスカッションの様子