日本初の高輝度3GeV放射光施設
本施設は日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設であり2023年度中の稼働を目指して整備が進んでいます。最新加速器設計のラティスを採用した低エミッタンス蓄積リングにより、軟X線からテンダーX線領域で高コヒーレンス・高輝度光を提供します。(日本放射光学会トピックス「3 GeV次世代放射光施設計画の加速器システム」についてはこちら)
加速器の特徴
- 軟X線領域に主眼を置いた次世代高輝度放射光を周長350 m以下のコンパクトサイズで実現
- 高性能線形加速器と次世代ビーム入射技術を融合し、安定なTop-up運転を実現
- 輝度だけでなく、安定度・信頼度を重視した光源を高いコストパフォーマンスで実現
3GeV次世代放射光施設加速器デザインレポート(2020年9月24日)
英文版はこちら(Link to the English version) [PDFファイル/2.21MB]
次世代放射光施設と国内の既存施設の輝度の比較
加速器概念図
蓄積リング
基本単位(セル)の構成
- 偏向電磁石(電子の方向を曲げる)4台
- 4極磁石(電子を集束する)10台
- 6極磁石(集束電子の収差を補正する)10台
- マルチベントアークロマートラティス採用によりビーム広がり抑制(水平120 μm x 垂直6 μm)
アンジュレータ位置でのビームサイズ
4ベントアークロマートラティスのビーム光学におけるラティス関数
赤線: 水平方向のβ関数
青線: 垂直方向のβ関数
緑線: 水平方向のエネルギー分散関数
蓄積リングの主要パラメータ
電子ビームエネルギー | E | 2.998 GeV |
ラティス構造 | 4-Bend Achromat | |
周長 | C | 348.843 m |
セル数(偏向磁石数) | Ncell | 16 (64) |
長直線部 | LSS | 5.44 m × 16 |
短直線部 | SSS | 1.64 m × 16 |
ベータトロンチューン | (νx, νy) | (28.17, 9.23) |
自然クロマティシティ | (ξx, ξy) | (−60.50, −40.99) |
自然水平エミッタンス | εx | 1.14 nmrad |
運動量収縮因子 | α0 | 0.00043 |
自然エネルギー広がり | σE/E | 0.0843% |
長直線部中央のラティス関数 | (βx, βy, ηx) | (13.0, 3.0, 0.0) m |
短直線部中央のラティス関数 | (βx, βy, ηx) | (4.1, 3.0, 0.05) m |
減衰分配数 | (Jx, Jy, Je) | (1.389, 1.0, 1.611) |
減衰時間 | (τx, τy, τe) | (8.1, 11.2, 7.0) ms |
偏向磁石でのエネルギー損失 | U0 | 0.621 MeV/turn |
高周波加速周波数 | fRF | 508.759 MHz |
ハーモニック数 | h | 592 |
SPring-8実験ホールでの試験の様子
磁石・真空技術
- 強磁場磁石設計・試作
- 安定で故障の少ない電源の開発
- 高精度アライメント法の確立
- コンパクトな真空システムの設計・試作
入射器・入射技術
- C-band 加速管をはじめ、SACLAで得られた知見を最大限に活かしたコンパクト、高性能線形加速器
- 次世代光源においても安定なTop-up運転を実現する新規ビーム入射システムの開発
- 電子源の開発に関する詳細(American Physical Society [PHYSICAL REVIEW ACCELERATORS AND BEAMS])はこちら