次世代放射光施設の放射光設備設置状況
次世代放射光施設は、宮城県仙台市の東北⼤学⻘葉⼭新キャンパス内において、平成31年3月より整備が開始されました。また、令和3年12月には基本建屋の一部が完成するとともに、次世代放射光施設の中枢部である加速器の整備が現地で開始され、令和5年度からの施設運用開始を目指し放射光設備の設置が行われています。
1)加速器設備の設置状況
線型加速器棟
線型加速器の主加速部である加速管の設置が開始されました。線型加速器は、30MeV電子入射部、入射部直後のビームエネルギー測定のためのシケイン部(BC1)、20台のCバンド高電場加速ユニットで構成されます。Cバンド高電場加速ユニットでは50MWクライストロン、RFパルス圧縮器、Cバンド加速管を使い42MV/mの加速電場を発生させ、加速管内で電子を加速させます。
(令和4年5月20日)
クライストロンギャラリーに高周波パルス圧縮器が設置され、トンネル内部には導波管架台(壁際の棒状の架台)及び電磁石架台(手前の矩形架台)の設置が開始されました。クライストロンにて発生するRF電力は、高周波パルス圧縮器にて約4倍に高めた後、導波管を通じて加速管に供給され電子ビームを加速します。
(令和4年4月28日)
加速管架台(Cバンド)の設置が開始されました。架台は上下ニ分割式で、下部架台である緑色の丸鋼管架台80台をトンネル内部の一部(約100m)に水準±1mm以下の精度で設置します。また、上部架台は加速管(Cバンド・ディスクロード型)の曲りを抑制(±0.1mm以下)するため、あらかじめ加速管を組上けた後に架台に設置します。
(令和4年4月14日)
蓄積リング棟
実験ホール温調ブースでの電磁石架台上のアライメントを終えた電磁石及び架台が、蓄積リングトンネル内部へ搬入され、設置作業が開始されました。蓄積リングの電磁石は、電子の方向を曲げる4 台の偏向磁石、電子を集束する 10 台の四極磁石、集束電子の収差を補正する10 台の六極磁石で構成される磁石列を基本単位(セル)として 16 セルで構成され、附帯機器を含めて約1年の長い時間をかけて設置します。
(令和4年5月13日)
2)共用ビームライン(3本)の設置状況
フロントエンドはビームラインの先端部に位置し、挿入光源において生成される放射光を安全かつ安定的に光学・輸送系に導くための超高真空装置であり、QSTが整備を担当する共用ビームライン3本のうち、BL02Uより架台及び真空機器の設置が開始されました。
(令和4年5月13日)
実験ホールのハッチ設置のための計測、罫書作業及び関係機器の搬入を実施しました。
(令和4年4月22日)
3)基本建屋の整備状況
現地の造成工事及び建物建設工事は民間・地域のパートナーが担当し、放射光施設の加速器設置は量子科学技術研究開発機構が担当しています。