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次世代放射光施設整備開発センター

ビームライン

掲載日:2020年8月20日更新
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次世代放射光施設のビームラインの特徴

 ビームラインとは、蓄積リング内を周回する電子から発生した放射光を取り出し、さまざまな実験に利用するために、リングの周囲に接線方向に設置される設備です。

 ビームラインを川に例えると、上流に放射光を発生させる「挿入光源」があり、中流の「ビームライン光学系」を経て、最下流に「エンドステーション」が配置されます。

 エンドステーションには、物質の性質や機能などを明らかにする実験装置を整備します。ここで、科学的研究による学理解明や、創薬、スピントロニクス、触媒化学等の研究・開発を進めます。

 次世代放射光施設は、最大28本(アンジュレータ14本+多極ウィグラー14本)のビームラインが整備できるように設計されています。そのうち10本が2024年度運用開始を目指して先行的に整備されます。その内訳は、国(QST)が3本、パートナー(代表機関:光科学イノベーションセンター)が7本です。

ビームライン構成機器の概略図

BL構成機器

QSTが整備する3本のビームライン

 QSTが初期に整備するビームラインは、光源の性質の有効利用、学術及び産業界のニーズ、国内の既存の放射光施設との相補利用の観点から国の報告書により策定され、軟エックス(X)線を利用し分光実験を行う以下の3本のビームラインを整備し、各ビームラインの特徴を活かした相補的な利用で学術研究と産業利用の充実を目指します。

  • BL02U: 軟X線超高分解能共鳴非弾性散乱ビームライン (RIXS)
  • BL06U: 軟X線ナノ光電子分光ビームライン (ARPES)
  • BL13U: 軟X線ナノ吸収分光ビームライン (XMCD)

QSTが整備するビームラインで測定に利用する光と物質の相互作用

3機能

ビームラインの配置

BL配置図

BL02U: ​軟X線超高分解能共鳴非弾性散乱ビームライン (RIXS)

 エンドステーションとして超高性能の共鳴非弾性散乱測定装置(Resonant Inelastic X-ray Scattering: RIXS)を整備します。世界最高のエネルギー分解能を持つ軟X線を用いて、10meV以下(目標値)のエネルギー分解能により、電荷・軌道・スピン・格子の素励起を直接観測できます。

 物質にX線を照射すると、X線は持っていたエネルギーの一部を物質に与え、エネルギーが少し小さくなったX線になって物質から散乱されます。この光のエネルギー差を測定することで物質がどれだけのエネルギーを受けとったのかが分かります。

 これにより、物質の電子状態や、固体や分子の振動状態、スピンのエネルギー状態を知ることができ、ロスの少ない電池の研究や、植物の光合成のしくみをまねた省エネルギーデバイスの開発、高温超電導発現機構の解明、タンパク質中の特定元素付近の電子状態の解明、溶液中での化学反応プロセスの解明などにも成果が期待されます。

分子の振動状態の観察
BL02U用途

ビームライン構成イメージ図

BL02U

BL06U: 軟X線ナノ光電子分光ビームライン (ARPES)

 エンドステーションとして高性能の軟X線角度分解光電子分光測定装置(Angle-Resolved Photoemission Spectroscopy: ARPES)を整備します。

 数十ナノメートルまで絞った軟X線ビームにより、物質の極微小な領域にのみ存在する新しい電子状態の物質を探し出す、デバイス中のナノ空間に閉じ込められた電子の特殊な状態を明らかにする、場所によって異なる動きをしている電子の分布を描き出すことが可能になり、これまでにない高温超伝導体、トポロジカル絶縁体、特異物性を持つグラフェン等の新しい性質を持つ物質の発見や高性能なデバイスの開発などに役立てることができます。

BL06U用途

ビームライン構成イメージ図

BL06U

BL13U: 軟X線ナノ吸収分光ビームライン (XMCD)

 エンドステーションとして高性能の軟X線磁気円二色性吸収測定装置 (X-ray Magnetic Circular Dichroism: XMCD)やAPPLE-IIベース分割アンジュレータ等により、偏光制御の自由度を活かした強磁性体、反強磁性体、二次元系物質、トポロジカル絶縁体等の微細磁気構造や磁気ダイナミクスを測定します。

 X線吸収分光は、物質に照射されたX線がどれだけ吸収されるかを測定することで、物質中の電子の状態を調べる手法です。入射X線の偏光(光が持つ電場の偏り)を制御して測定することで、電子の磁性に関わる情報を得ることができます。

 これにより、航続距離の長い電気自動車のモーター、エネルギー効率の高い変圧器、大容量データストレージの記憶媒体等の用途に応じた高性能な磁石の開発や、不均一試料からナノサイズの極小磁石を見つけ、その性質や制御の仕方を解明し、新しいデバイス材料開発に利用することができます。

ビームライン構成イメージ図

BL13U

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