現在地
Home > 分類でさがす > お知らせ・ご案内 > ニュース > 量研 > > 量研について > 初のクラウドファンディングのサポーター募集を開始/レーザーで空気中のウイルスを検出できるか?

量研について

初のクラウドファンディングのサポーター募集を開始/レーザーで空気中のウイルスを検出できるか?

掲載日:2021年4月7日更新
印刷用ページを表示

QSTは寄付金獲得による研究推進を目的に、日本初の学術系クラウドファンディングサービス「academist」を運営するアカデミスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役CEO:柴藤亮介)と寄付型のクラウドファンディングプロジェクト「レーザーで空気中のウイルスを検出できるか?」についての業務提携契約を締結し、7日からサポーターの募集を開始しました。当機構がクラウドファンディングを行うのは、今回が初めてです。

プロジェクト概要

  • 研究名:   レーザーで空気中のウイルスを検出できるか?
  • 研究者:   コーガ ジェームズ(関西光科学研究所 専門業務員)
  • 実施期間:   2021年4月7日〜2021年5月27日
  • 目標金額:   50万円
  • 「academist」のプロジェクトURL: https://academist-cf.com/projects/213

研究内容

「レーザー誘起破壊分光法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy: LIBS)」で空気中のウイルス検出が可能か、数値シミュレーションによる理論検証を行います。

ウイルス感染症の拡大防止には、迅速なウイルス検出が重要です。空気中のウイルスを直接検出するには空気フィルターで採取したサンプルをPCR分析する方法などがありますが、検出に時問がかかります。リアルタイムに空気中のウイルスを検出するバイオセンサーの場合、広い空間では多くのセンサーが必要という課題があります。

LIBSはさまざまな物質の元素組成を迅速に分析できます。LIBSに用いられる超高出カテラワットレーザーは約100メートルの空間でプラズマを発生させることができるため、広い空間での検出も可能です。

LIBSでは、高出カレーザーを物質に当てて原子レベルにばらばらにします。ばらばらになった原子がイオン化する過程で生成されたプラズマは、イオン化した原子に特徴的な光を発します。その光を分光器で波長成分ごとに分離して得られるスペクトルから、物質の元素組成を決定するという仕組みです。

LIBSによって得られたスペクトルのパターンから、液体に含まれるウイルスは識別できることが明らかになっています。今回のプロジェクトの目的は、LIBSで空気中のウイルスも検出が可能か、ディープラーニングを活用した数値シミュレーションによって理論的に検証することです。理論検証では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を分析例として取り上げます。

レーザー誘起破壊分光法

コーガ ジェームズ 経歴

1959年、米国・カリフォルニア州生まれ。マサチューセッツ工科大学理学部卒、テキサス大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(物理学)。1993年に来日、1997年から関西光科学研究所(当時は日本原子力研究所関西研究所)で研究を始める。専門分野は物理学(相対的レーザー・プラズマ相互作用)。現在、量子ビーム科学部門関西光科学研究所 光量子科学研究部高強度レーザー科学研究グループ所属。

コーガ ジェームズとマックス

コーガ ジェームズ コメント

私は日系三世アメリカ人です。祖父母が約100年前にアメリカに移住し、父はスペイン風邪の大流行直前に生まれました。新型コロナウイルスの感染拡大で家族と自宅で過ごす時間が長くなり、2020年8月から犬を飼っています(名前はマックスです)。海外には空港などで新型コロナウイルスの感染者を嗅ぎ分ける「コロナ探知犬」がいると知りました。犬の安全は十分担保されていると思いますが、マックスにはやらせたくありません。犬に頼らずにウイルスを検出できる方法を見つけたいと思い、クラウドファンディングに挑戦することにしました。

返礼・税制優遇措置について

本プロジェクトをご支援下さったサポーターには、研究者より寄付金額に応じた活動報告レポート等の返礼(リターン)をお送りします。また、当機構より寄付金受領にかかる領収書を発行しますので、日本国内では、税制優遇措置をお受けになることが可能です。