寄附のご報告
量研(QST)では、皆様よりご寄附いただいた寄附金等を「QST未来基金」にて、管理、運用いたしております。
令和2年度は29件、合計10,699,000円のご寄附を賜り、令和元年度以前からの継続を含め21件の研究開発事業等で有効に活用させていただきました。
皆様の温かいお気持ちに、あらためて深く御礼申し上げます。
令和3年4月以降にご寄附いただいた寄附金等につきましても、ご寄附の趣旨を十分尊重し、量研の研究開発に役立てるための準備を進めております。
引き続き、量研の活動にご理解、ご協力、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
基金による活動の成果
令和2年度にQST未来基金で実施した事業等のうち、3件についてその概要をご紹介いたします。
1.量子線がん治療装置(量子メス)の研究開発に向けた臨床研究等
実施部署
量子生命・医学部門 物理工学部
概要
次世代重粒子線がん治療装置である量子線がん治療装置(量子メス)の開発に向けた臨床研究を進め、より安全で効果の高いがん治療装置の開発を進めています。本事業では平成29年度以降、各年度で必要となる開発に寄附金を活用させていただいております。令和2年度では、重粒子線がん治療装置の小型化のために実施している超伝導電磁石の開発に必要となる磁場測定装置の購入に寄附金を活用いたしました。
担当者からのお礼の言葉
量子線がん治療装置(量子メス)の開発へのご支援、ありがとうございました。我々は、もっと多くの方が身近で重粒子線がん治療を受けていただけるように、各地の病院に設置できる重粒子線がん治療装置の開発を進めております。今年度はそのキーテクノロジーの一つである超伝導シンクロトロンの実用化に一歩近づくことができました。これらはご寄附の賜物であり感謝申し上げます。
量子線がん治療装置(量子メス)の模式図
2.JT-60SA 計画における若手研究者等の育成事業
実施部署
核融合エネルギー部門 那珂核融合研究所ITERプロジェクト部
概要
核融合エネルギーは、安全で地球にやさしい未来のエネルギー源と言われています。
その核融合エネルギーの中核装置のJT-60SA 計画において、将来を担う若手研究者・技術者等の研究開発を推進する事業にて寄附金を活用しています。
担当者からのお礼の言葉
JT-60SA計画の推進へのご支援、ありがとうございました。ご寄付により、装置本体組立てに必要な知見・見分が得られ、JT-60SA計画を推進することができました。また、コロナ禍のためオンライン形式ではあるものの、将来の核融合研究を支える若手研究員・技術員の積極的な学会参加も可能になりました。これらはご寄付の賜物であり感謝申し上げます。今後とも引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
3.レジスト材料の創成に関する研究
実施部署
量子ビーム科学部門 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部
概要
現在の携帯電話は薄く、軽く、小型ですが、画像編集、音声認識等様々な機能を備えています。これは、普段は見ることのない携帯電話内部の半導体に、非常に小さい集積回路を密集して配置することにより高機能化を実現しているためです。半導体の高性能化には、集積回路の微細化の進展が不可欠であり、私たちはこの微細化を担っているレジスト材料の研究を行っています。一般的には高分子のレジスト材料が使用されていますが、私たちは金属を含んだレジスト材料開発を進めており、寄附金はこれを評価する装置の整備や材料の購入などに活用させていただきました。量子ビームを活用したレジスト材料の創製に関する材料開発、普及を通してSociety5.0やカーボンニュートラルに貢献したいと考えています。
担当者からのお礼の言葉
量子ビームを活用したレジスト材料の創製に関する研究へのご支援、ありがとうございました。ご寄附により、還元剤を使用することなく、金属イオンを含有したポリマー薄膜に電子線を照射した後に加熱するだけで、金属ナノ粒子を含有した微細パターンを直接的に形成可能であることを明らかにすることができ、レジスト材料の研究を進めることができました。これらはご寄附の賜物であり、感謝申し上げます。
図. 電子線照射および加熱で作製した金属ナノ粒子を含有したポリマーの微細パターンの顕微鏡画像(右図)
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