QSTのビームライン
BL11XU: QST極限量子ダイナミクス 1 ビームライン
BL11XU担当 |
正 QST 磁性科学研究グループ 主任研究員 藤原孝将 副 QST 先進分光研究グループ GL 石井賢司 |
最寄の出入口 | 蓄積リング棟B1 |
光源 | 真空封止アンジュレータ |
光エネルギー | 6–70 keV |
分光器 | 液体窒素冷却二結晶分光器 |
特徴 | 高輝度で広いエネルギー範囲のX線を取り出すために、分光器にマルチ結晶交換システムを用いて真空中で2つの結晶面Si(111), Si(311)が切り替え可能となっており、 効率的にビームタイムを利用できます。 |
研究分野 | 核共鳴散乱実験、X線非弾性散乱実験、結晶成長のその場観察、ブラッグコヒーレント回折イメージングなど |
登録実験装置 |
放射光メスバウアー分光装置 (QST) 共鳴非弾性X線散乱装置 (QST) 表面X線回折計 (QST) コヒーレントX線回折イメージング装置(QST) |
BL14B1: QST極限量子ダイナミクス 2 ビームライン
BL14B1担当 |
正 QST 水素材料科学研究グループ GL 齋藤寛之 副 QST 水素材料科学研究グループ 主任研究員 城鮎美 |
最寄の出入口 | 蓄積リング棟B2 |
光源 | 偏向電磁石 |
光エネルギー | 5–90 keV(単色)、5–150 keV(白色) |
分光器 | 水冷二結晶分光器(結晶ベンダー付き) |
特徴 | 分光結晶を光軸上から退避させることで連続スペクトルの放射光(白色X線)が取り出せます。 通常のXAFS実験や角度分散型回折実験では単色X線を、局所構造変化のその場観察に用いるエネルギー分散型XAFS (DXAFS) や超高圧実験におけるエネルギー分散型回折実験では白色X線をといった使い分けが可能です。 また単色X線ではミラーや分光結晶ベントによる集光が可能で、高調波のない高強度の光が利用できます。 ミラーは白色X線に対しても挿入できるため不要な高エネルギー成分のない連続スペクトルX線が利用可能で、DXAFS実験などでは大変有効です。 |
研究分野 | 高圧科学、構造物性、表面科学、触媒反応のその場観察、XAFS構造解析など |
登録実験装置 |
高温高圧プレス装置 (QST) エネルギー分散型XAFS装置 (JAEA) |
QSTの装置
放射光メスバウアー分光装置 (BL11XU/装置ID:QST-111)
- 放射光から超高輝度14.4keVのγ線を発生する核共鳴分光装置を用いて、物質・材料の磁気相互作用、電子状態やスピン配列を局所的に調べることができる。
- 集光したメスバウアーγ線を用いて、試料の微小部の顕微分析や試料空間が10μm程度に限定される超高圧下の物質状態の研究を実施できる。
- 回折法を用いた結晶サイト選択的な磁気構造解析や斜入射配置のメスバウアー分光法を用いて機能性磁性薄膜を局所磁性探査できる。
- 鉄以外にニッケルを対象元素とした観察が可能。それ以外の元素については要相談。
利用例: 超高圧下の地球関連物質の化学状態分析、金属薄膜の表面界面の局所磁性探査等。
共鳴非弾性X線散乱装置 (BL11XU/装置ID:QST-112)

- 入射X線、散乱(発光)X線の双方のエネルギーを0.1 eV程度のエネルギー分解能でX線分光実験が可能な装置。
- 通常のXAFSよりも高エネルギー分解能のXAFS(HERFD-XAFS)やX線発光分光(XES)により、触媒等の詳細な電子状態のその場観察実験が可能。
- 4軸回折計配置で共鳴非弾性X線散乱(RIXS)により、強相関電子系物質等の電子励起の運動量依存性が測定できる。
- 試料温度は10 Kから800 Kまで。
利用例:遷移金属化合物における電荷・スピン・軌道励起の観測、触媒や電池電極材料のオペランド電子状態解析。
表面X線回折計 (BL11XU/装置ID:QST-113)

- 半導体ヘテロ構造や多層膜、半導体量子ドット結晶やナノワイヤなどの成長過程について、原子が一層ずつ積み上がってゆく様子を、表面X線回折法によってリアルタイム観察できる装置。
- 原子状窒素を利用する分子線エピタキシー法により、GaNやInNなどの窒化物半導体の成長を行うことができる。
- 良質な電子材料の作成をサポート。
利用例:半導体量子ドット、半導体多層膜の成長過程のリアルタイム解析。
「バーチャルラボツアー」 (YouTube)
コヒーレントX線回折イメージング装置 (BL11XU/装置ID:QST-114)

- 微小結晶粒(粒径:数十nm~数μm)を対象に、形状だけでなく、電子顕微鏡では観察が困難な内部構造(歪分布や欠陥、空洞、ドメイン等)を非破壊で3次元可視化できる装置。
- 硬X線領域のブラッグ反射を用いたコヒーレントX線回折イメージング法を利用する。
- 各種ナノ材料の評価をサポート。
- 試料温度は室温~1100℃の範囲で設定可能。その他の試料環境制御は要相談。
利用例:100~500 nm級チタン酸バリウムナノ結晶粒子一粒の3次元可視化、40 nm級パラジウムナノ結晶粒子一粒の3次元可視化。
高温高圧プレス装置 (BL14B1/装置ID:QST-141)

- 高圧高温下での材料の状態変化や反応の進行を、白色X線を用いたエネルギー分散型X線回折法によって観察できる装置。
- 圧力10万気圧まで、温度2000℃程度までの発生が可能。
- 材料の高温高圧合成をサポート。
- 10万気圧、1000℃程度までの超高圧高温の水素雰囲気発生もでき、高温高圧下の金属水素化反応のその場観察による新規水素貯蔵材料の探査に活用されている。
利用例:高圧下での金属水素化物形成過程のその場観察。
高速2体分布関数計測装置 (BL22XU/装置ID:QST-222/ダイヤモンドアンビルセル用X線回折計)
- 結晶の平均構造からのずれや局所構造を評価できる原子2体分布関数(PDF)の導出に必要な測定を高速に行う装置。
- 最高70 keVの高エネルギーX線の利用により、最大Q = 27 Å-1までのX線全散乱測定が可能であり、約100 Åまでの距離相関のPDFが導出可能。
- 窒素吹付冷凍機を用いた低温測定、および、1 MPa未満の水素と窒素ガス雰囲気でのその場観察が可能。
- 計測一点につき数秒~数分で実施できる。
利用例:水素貯蔵合金、負の熱膨張材料など。