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プロジェクト「イオンビーム変異誘発研究」

プロジェクトの概要

プロジェクト「イオンビーム変異誘発研究」では、高崎量子応用研究所が保有する先進的量子ビーム施設を活用して、植物及び微生物を対象とした突然変異誘発や有用遺伝資源の創成に関する研究を行っています。

scannning  Arabidopsis  キメラ  yeasts

研究のねらい

量子ビームによる突然変異誘発機構の解析や有用植物・微生物資源の創成を通じて、量子ビーム・バイオサイエンス&テクノロジーを実践し、先進的量子ビームの利用技術の高度化を行うとともに、量子ビームテクノロジーの普及と応用領域の拡大を目指した研究開発を進めます。

研究内容

高崎量子応用研究所は、世界に先駆けてイオンビーム育種技術を確立し、これまでに数多くの新品種を作出してきました。本プロジェクトでは、これをさらに推進し、海外を含む外部研究機関や民間企業と協力して新品種の開発を行うだけでなく、突然変異誘発の特徴を詳しく解析することにより、変異誘発に関する新技術の開発を進めています。

1. イオンビームによる突然変異の特徴解明による新しい変異誘発技術の開発

植物や微生物における突然変異誘発機構を理解するとともに、特定の変異形質を高頻度で得られる新技術の開発を目指し、イオンビームによって得られる突然変異の特徴を詳しく解析しています。また、放射線耐性やDNA修復機構の解明に関する研究も実施しています。

照射サンプル 生物照射用装置の照射エリア拡大写真

・ゲノム解析による突然変異の特徴解析:ガンマ線やイオンビ―ム照射によりどのような変異がどの程度生じるのかゲノム解析により定量的に明らかにすることを試みています。

 特徴

・突然変異生成機構の分子生物学:DNA損傷が起きた後のDNA修復等の過程やそれにかかわる因子を分子生物学的に明らかにして、量子ビームによる変異生成機構を解明することを目指しています。

DNA修復

・放射線抵抗性生物のDNA防御機構:放射線抵抗性細菌やコケ植物など、放射線に強い生き物についてDNA修復機構や放射応答機構を明らかにする研究を実施しています。

放射線抵抗性細菌 放射線抵抗性細菌 Deinococcus Radiodurans

ヒメツリガネゴケ ヒメツリガネゴケ Physcomitrella patens

2. 植物や微生物のイオンビーム育種と突然変異体の解析による有用遺伝資源の創成

変異の誘発率が高く、変異スペクトルが広いというイオンビームの特徴を生かし、様々な新品種の開発を国内外の研究機関や民間企業と協力して実施しています。また、新規突然変異体を取得・解析することにより、有用遺伝子の同定や様々な生物機能の解明を進めています。

・変異体解析による生物機能の解明:変異体と元の品種のDNA配列を比較することにより、変異の原因遺伝子を明らかにできます。例えば、下の写真では、赤色種子の色を失った変異体を解析し、種皮色素蓄積に必要な遺伝子(FTT遺伝子)を同定しました。この遺伝子は、種皮の細胞の中の液胞膜に局在するFFTタンパク質を暗号化しており、このタンパク質の働きで、赤色色素が液胞内へ輸送・蓄積され、種子が色づくことを明らかにできました。

FTT 種皮色素蓄積に必要な液胞膜タンパク質遺伝子の発見

・植物のイオンビ―ム育種:イオンビーム照射によって、これまでにない品種の開発が進められています。下の写真は、愛知県農業総合試験場との共同研究で作出した華麗な花びらを持つ「かがり弁」ギクです。ブライダルなどの祝い事など輪ギクの新しい用途の開拓が期待されています。​

かがり弁 華麗な花びらのキクの開発

・微生物のイオンビ―ム育種:微生物育種でもイオンビ―ムが有効であることがわかってきました。下の写真は、群馬産業技術センターとの共同研究で作出した“甘い香り”を持つ吟醸用清酒酵母です。群馬県オリジナルの酵母として、地酒の醸造に使われています。​

お酒 芳醇な香りの清酒酵母の開発 (QSTテクノロジーマーク1号)

連絡先

〒370-1292 群馬県高崎市綿貫町1233
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
量子ビーム科学部門 高崎量子応用研究所
放射線生物応用研究部
プロジェクト「イオンビーム変異誘発研究」

リーダー 大野豊

Tel:027-346-9540
Fax:027-346-9688

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