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関西光科学研究所 | 第11回KPSIセミナー ポリインとヨウ素から成る分子錯体の研究

掲載日:2019年1月18日更新
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関西光科学研究所 >> KPSIセミナー >> ポリインとヨウ素から成る分子錯体の研究

 

セミナー

第11回KPSIセミナー

ポリインとヨウ素から成る分子錯体の研究

 

講演者 和田 資子
(関西光科学研究所 光量子科学研究部 超高速光物性研究グループ)
職位 博士研究員
場所 関西光科学研究所 ITBL棟 G201号室
日時 9月30日(金曜日)11時00分~
使用言語 日本語
要旨 [PDFファイル/267KB]

ポリインとヨウ素から成る分子錯体の研究

和田 資子
(関西光科学研究所 光量子科学研究部 超高速光物性研究グループ)

要旨

ポリインとはsp混成炭素の末端が水素やアルキル基等によって終端された1次元の直線分子の総称である。水素終端されたポリイン分子H(C≡C)nHは、ポリイン分子の中で最も基本的な構造を有するモデル分子であり、直線構造のπ電子系を支えるための最小限の骨格を持ちつつ、実験室雰囲気下において十分に安定に取り扱える分子である。一方、ヨウ素溶液は溶媒によって様々な色を呈することが知られている。ヨウ素の安定な形態は実験条件に依存しており、ヘキサンのような無極性溶媒中ではI2分子の形、水のような極性溶媒中ではI-やI3-のようなヨウ化物イオン、またはこれらとI2が混在する形で存在すると考えられている。

発表者は、無極性溶媒中においてポリインとヨウ素が光誘起反応によって分子錯体を生成することを、ヨウ素添加によるポリインの吸収スペクトルの変化から見出した[1,2]。これまでに、ポリイン-ヨウ素錯体の組成をポリインの吸収スペクトル変化のヨウ素添加濃度依性の解析によって、ポリイン分子:ヨウ素分子=1:3と決定した。ポリイン-ヨウ素錯体C2nH2I6(n=5-9)の分子構造を明らかにするため核磁気共鳴分光、分子軌道計算[1]、赤外分光[3]を行った結果、錯体中のヨウ素が2個の三ヨウ化物I3構造をとることが示唆されたが、分子構造の決定には至っていない。

ポリイン-ヨウ素錯体は無極性溶媒中において生成するため、錯体中のヨウ素が三ヨウ化物I3構造をとることを実験的に示すことができれば、無極性溶媒中における三ヨウ化物構造を示した最初の報告となる。ポリイン-ヨウ素錯体は溶液中においてのみ安定に存在するため、X線結晶構造解析など既存の分子構造同定法を用いてその分子構造を明らかにすることができない。そこで、現在はポリイン-ヨウ素錯体のような溶液中においてのみ安定に存在できる準安定物質に対して適用できる新規な分子構造解析法として、高強度・超高速レーザーを用いたクーロン爆発を利用した分子構造解析法の開発に取り組んでいる。

本セミナーでは、ポリイン-ヨウ素錯体についてこれまでに行った分光学的研究および現在取り組んでいる新規な分子構造解析法の開発について紹介する。

 

参照:

[1] Yoriko Wada et. al., J. Phys. Chem. B, 115 (2011), 8439.

[2] Yoriko Wada et. al., Eur. Phys. J. D, 66 (2012), 322 ( 6 pages).

[3] Yoriko Wada et. al., Chem. Phys. Lett. 541(2012), 54.

 

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