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プロジェクト「半導体照射効果研究」

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プロジェクトリーダー 大島 武

 

 私達の生活をより快適・安全・安心にするため、様々な次世代技術、例えば、半導体微細化技術の限界や電力消費の増大から従来のスーパーコンピュータに代わるコンピュータが、情報セキュリティー強化から盗聴不可能な暗号通信技術が、生命科学や新材料の探求から高精度・高感度なセンシング技術が要求されています。これに応えるものとして量子効果を活用した技術、即ち量子コンピューティング、量子暗号通信技術や量子センシングが期待されていますが、これらの実現には、安定、且つ確実に動作する演算子(量子ビット)や量子センサの開発が不可欠です。私たちは、ダイヤモンドや炭化ケイ素(Sic)といったワイドバンドギャップ半導体を母材に選び、イオンや電子ビームを活用することで量子ビットやセンサとして応用可能な結晶欠陥を形成する研究をしています。
 一方で、半導体材料・デバイス中にイオン、電子ビームやガンマ線といった放射線が入射しますと、特性劣化、誤動作や破壊といった現象も発生します。例えば、放射線が多量に存在する宇宙では人工衛星の太陽電池の発電特性が劣化、半導体メモリの記憶反転やパワーデバイスの破壊といった現象が発生します。私たちは、宇宙や原子力・加速器施設といった放射線環境で使用する半導体の長寿命・高信頼性化に貢献するために、太陽電池や半導体デバイスの劣化挙動や誤動作・破壊発生を調べ、そのメカニズムを解明するとともに、耐性強化技術の開発に関する研究を行っています。

研究課題

1.ワイドバンドギャップ半導体の欠陥エンジニアリングに関する研究

 ダイヤモンドや炭化ケイ素(SiC)といったワイドバンドギャプ半導体中には、単一発光源と呼ばれる一つの光子の入力に対し、一つの光子を放出する性質をもった結晶欠陥が存在します。この単一発光源となる結晶欠陥の持つスピンや発光を制御することで、従来の演算能力を遥かに凌ぐ量子コンピューター、ナノレベルでサイズ制御された高輝度な光デバイスや超高感度の量子センサー(磁場や温度など)の実現が可能となります。本研究グループでは、イオンや電子ビームをもちいることで、ダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)センターやSiC中のシリコン空孔(VSi)といった単一光子源を効率的、かつ高位置精度で形成する技術や、形成したNVやVSiを量子センサーとして応用する研究を行っています。更にダイヤモンドやSiCに加えて、窒化ガリウム、窒化ホウ素などの半導体を母材として選び、イオンや電子ビームを活用した新規単一光子源の探索に関する研究を推進しています。

2.超耐放射線性エレクトロニクスに関する研究

 SiCは、従来のシリコン(Si)半導体に比べて高効率、低損失なデバイスへの応用が期待されています。同時に、Siの限界を超える厳しい環境でも安定動作が可能な極限環境半導体としても注目されています。本研究グループでは、この優れた特性を持つSiCを宇宙や原子力施設でも高い信頼性を持って安定に動作する半導体デバイスへ応用することを目的に、耐放射線性SiCデバイスの開発に関する研究を行っています。また、人工衛星や宇宙ステーションで使用される集積回路(LSI)などの半導体デバイスや太陽電池は、宇宙に多量に存在する放射線(重イオン、陽子線、電子線など)により特性劣化、誤動作・破壊が発生します。本研究グループでは、半導体デバイスや太陽電池の放射線耐性を正確に評価するための診断技術の開発と、開発した技術を用いて宇宙用半導体デバイスや太陽電池の放射線劣化、誤動作・破壊のメカニズムの解明、更には耐放射線性の強化技術に関する研究を行っています。。