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量子センシングプロジェクト

実験装置 - 評価装置

掲載日:2023年1月13日更新
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共焦点レーザー走査型蛍光顕微鏡(CFM)

形成したカラーセンターを観察するためには、共焦点レーザー走査型顕微鏡(Confocal laser scanning Microscope: CFM)を利用します。私たちのプロジェクト研究では、自作した複数台のCFM装置を運用してカラーセンターの計測に使用しています。

CFM観察

532nmのレーザーを用いたCFM観察が可能です。顕微システムの概略図を示します。カラーセンターの励起には532nmのグリーンレーザーを使用しています。シングルモード(Single Mode:SM)ファイバーでビームを理想的なガウス分布に成形した後、高N.A.の対物レンズを通してダイヤモンドにレーザーを照射します。レーザーのスポット直径は回折限界に迫るほど小さく集光しています。カラーセンターからの蛍光は一対の凸レンズの間にピンホールを配置した共焦点光学系を通過し、励起光を除外するフィルタを通過した後、単一光子検出器(Siアバランシェフォトダイオード)へと入射します。対物レンズを1nm程度の位置精度を持つピエゾステージで走査することで、図に示すようなCFM像を得ることができます。単一光子検出器の直前にはハーフミラーを配している理由は、2個の単一光子検出器の強度相関を測定することで、カラーセンターが単一であることを証明するためです。具体例として、図に示すように、Hanbury Brown-Twiss干渉計による2次相関関数の測定(アンチバンチング測定)結果からカラーセンターが単一であることを証明することができます。

CFMの概略図(a)とセットアップの写真
図.CFMの概略図(a)とセットアップの写真(b,c)

CFM像の例の画像
図.CFM像の例

アンチバンチング測定の例の画像
図.アンチバンチング測定の例

NVセンターのスピン制御

ダイヤモンド中の窒素・空孔(NV)センターが単一であれば、NVセンターが持つ単一の電子スピンを観察したり制御したりすることが可能となります。図は、NVセンターの持つ単一の電子スピンがラビ振動している様子を示します。このNVセンターはイオン注入法によって作成したNVセンターです。私たちは、イオン注入条件や熱処理条件を最適化することによって、イオン注入法で作成したNVセンターとしては最長のスピンコヒーレンス時間を持っています。

単一のNVセンターの持つ電子スピンのラビ振動(測定例)の画像
図.単一のNVセンターの持つ電子スピンのラビ振動(測定例)