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用語解説

用語解説 な行・は行

掲載日:2019年10月4日更新
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バイオデバイス

 微細加工技術によって細胞やバイオ分子を制御したり、機能を解析したりするためのデバイスの総称です。

橋かけ

 ゴムの加硫のように、線状の高分子鎖間に化学結合を生じさせることを橋かけといいます。橋かけの方法として、触媒を加えて加熱する化学法と、放射線を照射する方法があります。放射線法は、固体中で、また低温でもできるという特長があります。橋かけにより網目構造になると分子は動きにくくなり、加熱しても流動性を示さなくなります。架橋ともいいます。

ハーフメタル

 強磁性材料(金属)の内、電子のスピンの向きが一方向に完全に揃っているものを指します。ハーフメタルはスピン注入に適した材料として、金属や半導体と組み合わせたスピンフォトニクスデバイスの研究が盛んに行われています。

飛程

 放射線が物質内でエネルギーを失って止まるまでの距離を示します。飛程は放射線のエネルギーに依存して変わりますが、α線では<100 μm、β線では0.2 ~ 10 mmと言われています。

ブラッグピーク

 陽子線などの粒子線は物質中で止まる直前で大きな線量を物質に与えます。この線量分布のピークをブラッグピークといいます。

ベクレル

 放射能を表す国際単位(SI)です。放射性核種の壊変数が1秒につき1である時の放射能を1ベクレルといいます。

ベータ線

 電子が非常に速いスピードで飛んでいるものです。ベータ線が物質中を通過する際、物質と相互作用し、例えば物質中の分子が持っている電子を弾き飛ばすことで(電離といいます)、物質に対してエネルギーを付与する性質があります。ベータ線は、物質中を散乱しながら通過するため透過率がやや高く、紙一枚では遮蔽できませんが、薄い金属板などで遮蔽することができます。

変異系統

 突然変異によって変化した生物の形や性質等の変異体の形質が、増殖した後にも安定して維持されている集団を変異系統といいます。実用的に価値のある変異系統が新品種として利用されます。

変異体(ミュータント)

 突然変異によりできた、元の個体(または細胞)とは異なる形態や性質を示す個体(または細胞)のことです。

放射光

 光速で直進する電子の進行方向が磁石などによって変えられた際に発生する電磁波です。真空紫外領域からX線にわたる強力な光源であり、固体物理や生体物質構造研究をはじめ、物理・生物・化学・電子工業分野で広く利用されています。

放射性同位元素

 同じ元素で質量数の異なるものを互いに同位体と言い、このうち放射線を出す性質のものを放射性同位元素と言います。ラジオアイソトープ(RI)、放射性同位体、放射性核種とも言います。

放射線

 紫外線よりも波長が短い光や、非常に高速で飛ぶ荷電粒子のことです。

放射線グラフト重合法

 単にグラフト重合ともいいます。素材に放射線を照射した後、試薬と反応させて、接ぎ木(グラフト)のように分子の枝を導入し、素材の特性を改良する技術です。既存の素材にその物理的特性を損なうことなく様々な性質を付与することができるため、高機能材料の開発技術として優れています。例えば平膜や繊維、織布、不織布などの素材にイオン交換基や錯体形成機能を容易に導入することができます。

放射線抵抗性細菌

 放射線に対して耐性を持つ細菌のこと。代表的な菌株であるデイノコッカス・ラジオデュランスは、世界で最も放射線に強い細菌としてギネスブックにも掲載されたことがある。大腸菌の約100倍、ヒトの約1,000倍もの放射線耐性を示す。デイノコッカス・ラジオデュランスの高い放射線耐性は、効率的なDNA修復機構を持つことに起因している。

放射線橋かけ技術

 樹脂やプラスチックなどの高分子材料に放射線を照射すると、高分子の一部が壊れて他の分子と結合しやすい部分が生じます。この部分が、橋かけ点となり糊の役割のように互いにくっつくことにより網目状の構造になります。このような化学反応を利用して、高分子材料の強度や耐熱性などの性質を改善する技術です。

放射能

 放射性同位元素が単位時間あたりに壊変する原子の個数を示すもので、単位はベクレル(Bq)を用います。

ポジトロン(陽電子)

 ポジトロン(陽電子:電子の反粒子で正の電荷を持つ)は物質中の電子と対消滅しガンマ線を放出します。これを利用した分析法は電子状態についての精密な情報を与えてくれるなど、物質の微細な構造を探る精度の高い手段であるため、高温超電導機構の解明や次世代の超LSI開発のための微量な欠陥の分析などの種々の材料研究分野で注目を集めています。

ポジトロンイメージング技術

 ポジトロンから放出される放射線を測定することにより、植物体を傷つけることなく、ビデオカメラのように画像化することにより、植物の生理機能を解析する技術です。

ポジトロン断層撮影法(PET)

 ポジトロンを放出する放射性同位元素を含んだ薬を注射し、ポジトロンから放出される放射線の分布や変化量を体の外から計測することで、病変の位置や機能異常を画像化できる核医学検査の一つです。