プロジェクトの概要
RI医療応用プロジェクトでは、原子力の平和利用の一環として、研究炉や加速器で発生させた量子ビームを利用し、社会に役立つ、特に医療分野に役立つ新しい放射性同位元素(Radioisotope: RI)の製造法や利用法に関する研究開発を推進しています。
研究のねらい
量子ビームを利用した多様なRI製造技術を基盤として、疾患(特にがん)の診断及び治療に有用な放射性薬剤の開発に資する基盤技術開発を行います。これにより、関連する分野の学術や産業、医療の発展を通じて社会貢献を果たします。
量子ビームを用いたRI製造 RIを利用したがんの診断及び治療のしくみ
研究内容
当プロジェクトでは、がんの診断・治療に有用なRI製造と新規薬剤開発に資する基盤技術として、次の3つに着目して研究を進めています。
●新しいRI製造・分離精製・標識技術 がんの診断及び治療に適した放射線の種類・エネルギー・半減期を有するRIを安全且つ高効率で製造するための技術開発を進めています。また、製造したRIを有効利用するため、高純度精製技術・分離技術等の開発を進めています。更に、RIを体内の疾患部位だけに輸送するため、運搬体に対し体内安定を保持しつつRIを短時間且つ高効率で標識する技術を開発しています。 |
体内安定性に優れたRI標識法の開発 |
●RI標識化合物の薬効分子メカニズム 様々な細胞株や実験動物モデルを用いて、新たに開発したRI標識化合物の有効性を分析すると共に、RI標識化合物による薬効の分子メカニズム解析を進め、治療効果の予測・判断に有用な新しいバイオマーカーや治療効果を高める新しい分子標的の探索を進めています。 |
悪性褐色細胞腫治療薬の開発 |
●線量評価技術 治療効果や副作用を精確に予測・判断し、患者毎に最適な治療を達成するため、体内に投与したRI標識化合物から受ける放射線を身体の部位ごとに精確に見積もる新しい線量評価技術を開発しています。 |
標的アイソトープ治療線量評価研究会 |
連絡先
〒370-1292 群馬県高崎市綿貫町1233
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
量子技術基盤研究部門 高崎量子応用研究所
量子バイオ基盤研究部
RI医療応用プロジェクト
リーダー 石岡典子