数百MeV級イオンマイクロビーム形成システム
生物細胞の核、細胞質、細胞膜などの細胞内の特定の器官にイオンビームをヒットさせた場合の効果を研究するために、高エネルギーマイクロビーム形成システムの開発・改良を行っています。 高エネルギーマイクロビーム形成システムは、図1の四連四重極磁気 レンズと、その上流にビームスキャナを備えており、1μmレベルの高分解能で細胞に照射することを可能にしています。
図1 高エネルギーイオンビームを1μmまで集束するための四連四重極磁気レンズ
ビームサイズ
銅グリッド(1000ライン/インチ) を標準試料として用いて、図2に示す二次電子マッピングによって、ビームサイズを計測しました。260MeVのネオンビームにおいて、 半値幅でX方向は0.65μm、Y方向は0.67μmという、数百MeV級イオンビームでは世界最小のビームサイズを達成しました。
図2 260MeVのネオンマイクロビームを銅グリッドに走査して得られた二次電子強度分布の代表例
ビームのばらつき
厚さ100μmのCR-39板を用いて、図3のように格子状にシングルイオン照射を行い、照準精度を評価した結果、半値幅でX方向は0.79μm、Y方向は0.64μmという結果が得られました。
図3 CR-39板に5×5の格子状のシングルイオンヒットを行いエッチングして得た、光学顕微鏡写真。点線の交点がビーム走査により照準した位置を示す。