12月4日、5日の2日間にわたり、奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~にて第3回QST国際シンポジウム「Quantum Life Science」を開催しました。国内外から多分野にわたる研究者が集い、最先端の研究成果が発表されました。
開会挨拶
平野理事長による開会挨拶に始まり、文部科学省より梶原 将科学技術・学術政策局担当審議官にご挨拶をいただきました。
Keynote Lecture
UC BarkleyのLuke Lee博士より「量子トンネル効果を可視化するアプリケーション」について、NIHのMurali Krishna Cherukuri博士より「腫瘍微小環境の分子イメージング」について、それぞれ講演が行われました。
Session
いずれのセッションでも、大変活発な議論行われました。それぞれ専門が異なる研究者同士が知識を共有し、新たなアイデアが生まれる良い機会となったようです。セッション後、参加者と講演者が熱心に意見交換をする様子が見受けられました。
Session1 生物における量子現象
動物の磁気受容タンパク質や生物の様々な階層において観察される量子コヒーレンス、電子伝達など、最新の知見について講演が行われました。
Session2 タンパク質の構造解析
量子技術を用いた構造解析や、近年のトピックとなっている生体分子による非膜構造体の形成過程の詳細について講演が行われました。
Session3 量子認知情報学
意思決定のモデルに量子力学の数学的枠組みが良く当てはまることについて2名の演者に講演いただきました。
Session 4 量子イメージング
個体や組織の透明化技術を駆使した一細胞レベルでのイメージング技術や、X線を利用した生体イメージング技術についての知見を講演いただきました。
Session 5 ナノ量子センサ
ナノダイヤモンドによる生体ナノ量子センシング技術やその応用についての講演が行われました。
ポスター発表
58題のポスター発表が行われました。ポスター会場においても、参加者同士が専門分野の垣根を越え、活発な議論が行われていました。シンポジウム参加者の投票により、全ポスターの中から最優秀賞2件と優秀賞4件が選ばれ、懇親会で表彰式が執り行われました。
Performance
開催地である奈良が発祥とされる能の金春流のシテ方能楽師であり、重要無形文化財である佐藤俊之氏を講師に迎え、能の成り立ちや所作についての解説と体験を組み合わせたパフォーマンスが披露されました。本格的な能舞台を有する本会場ならではのイベントとなり、海外からの参加者はもとより、国内からの参加者からも大変好評を得ました。国内外の参加者に日本の伝統文化である能の世界を知っていただく機会となり、研究者同士のコミュニケーションも促す良いきっかけとなりました。
クロージング
馬場領域長による全体総括、須原副領域長による閉会挨拶で2日間にわたるシンポジウムは閉幕しました。
本国際シンポジウムは200名以上の研究者が参加し、いずれの講演に対しても活発な議論が交わされ、その議論は休憩時間や懇親会の場まで続きました。量子生命科学という非常に学際的な新しい学術領域が、今、幅広い分野の研究者の注目を集めていることを強く感じた2日間でした。
ご来場いただいた皆さん、ありがとうございました。