平成24年4月1日
独立行政法人 放射線医学総合研究所
我が国の被ばく医療体制における第3次被ばく医療機関である放射線医学総合研究所(放医研)は、平成23年3月11日の標記原子力災害発生直後から、様々な対応を行っております。平成24年3月までの活動の概要は以下の通りです。
この資料は随時更新していきます。
1.専門家の派遣
- 放医研は、平成23年3月12日から、オフサイトセンター、Jビレッジ等の現地に被ばく医療等の専門家を派遣し、住民のスクリーニング、発電所内の作業従事者の被ばくに対応した医療活動、国・県等の関係機関との連絡調整などを実施しています。
- 5月10日から実施された住民の警戒区域への一時立入に関し、医師、看護師、放射線管理の専門家などの職員を、一時立入の中継地点に派遣し、一時立入が万全な体制で行われるよう、支援しています。
- 政府の原子力災害対策本部、その他政府機関(内閣官房、文部科学省、原子力安全委員会及び下部機関(薬事・食品衛生審議会等))へ専門家を派遣しています。
- これまでに、のべ250人(のべ1,200人日)を超える職員を現地に派遣しました。
2.緊急被ばく医療体制の運用
今後の事態の進展に備え、原子力災害現地対策本部と連携し、仮に高線量の被ばく者が発生した場合においても適切な治療を行うため、放医研が中核となり、49大学、66大学病院と連携して対応する体制を確保しています。
3.従事者等への対応
- これまでに、発電所で作業等を行った合計2,400名以上の方に対し、体表面汚染検査等を実施しました。
- 平成23年3月14日、東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機の水素爆発の際に作業していた自衛隊員1名が、自衛隊ヘリコプターで放医研に搬送されましたが、健康状態に問題はなく、3月17日に退院しました。
- 3月24日、東京電力(株)福島第一原子力発電所3号機で作業中に被ばくした作業員3名を受け入れました。3名は3月28日に退院、4月11日に再受診し、診察・検査の結果、健康状態に問題ないことが確認されました。
- その他、作業中に内部被ばくを受けた可能性のある作業員を受け入れ、精密な被ばく検査を実施しました(5月30日:2名、6月10日:1名、6月20日:1名、6月24日:2名、7月1日:1名)。
4.福島県民の健康管理調査
- 福島県が主体となって平成23年5月から開始された「県民健康管理調査」に協力しています。政府の原子力被災者生活支援チームや福島県立医大とも連携して、福島県における諸活動に技術支援を供する形で進められています。
- 同調査に用いる、被災地域の住民の皆様の外部被ばく線量の評価のためのシステムを開発し、運用しています。
- 6月には、同調査の一環として、福島県内の警戒区域や計画的避難区域から選定された住民に対する内部被ばく線量評価のための手法検討調査を実施しました。
- 6月27日から7月28日にかけて、浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区等の174名の方々に、体表面の汚染検査、甲状腺モニタ及びホールボディカウンタによる計測、尿中のバイオアッセイを実施しました。
- 7月23日、29日、30日及び9月9日~9月11日に開催された、福島県主催の「内部被ばく検査の結果に関する説明会」において、検査を受けた住民の方々に対し、検査結果の見方等のご説明を行うとともに、希望者への個別相談を行いました。
5.電話相談
- 平成19年12月より、放医研では医療・防災関係者向けに、24時間受付可能な緊急被ばく医療ダイヤルを設置していましたが、今回の原子力災害発生以降、一般の皆様からの問い合わせが殺到したため、平成23年3月13日より、別回線による一般の皆様を対象とした電話相談窓口を開設しました。
- 3月17日には、文部科学省「健康相談ホットライン」が開設されたことから、上記の一般電話相談をこの一環として位置づけ、「放射線被ばくの健康相談窓口」として対応しています。
- 電話相談に寄せられたご質問のうち、よくある質問については、適宜取りまとめの上、ホームページに基礎知識等として公開しています。
- これまでに、17,000件(うち、文部科学省「放射線被ばくの健康相談窓口」として15,000件)を超える電話相談を受け付けました。
6.その他
- 放射線量等分布マップ作成:文部科学省の放射線等分布マップ作成の事業に参画しています。平成23年6月3日~13日及び12月12日~23日の間、福島県等において車両に測定機器を積み込んで行う走行サーベイを実施しました。
- 講演等:市民の皆様、地方公共団体の職員の皆様等の放射線被ばくに関するご疑問等に応えるため、さまざまな機会をとらえ、放医研の放射線防護や被ばく医療の専門家が講演、研修等を実施しています。3月までに、のべ466件の講演等を実施しました。
- 国際対応:原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)、経済協力開発機構・原子力機関 放射線防護・公衆衛生委員会(OECD/NEA/CRPPH)において、理事長等が今次の原子力災害の状況及びこれまでの対応について発表・説明を行いました。また、WHO機関間パネル及びUNSCEAR福島原子力災害の環境影響に関する専門家会合に専門家を派遣し、報告書の作成並びに評価作業に貢献しています。
- 国内にあるホールボディカウンタを適切に運用するため、被ばく医療機関・大学など公共機関7施設からの依頼に応じて校正を実施しました。