被ばく医療部とは
被ばく医療部は、放射線被ばく事故や原子力災害の万が一の発生に備え、被ばく医療や原子力防災に関する体制整備、教育研修、調査、事故対応、専門家派遣などを含めた、緊急被ばく医療に係わる活動全般を業務内容としています。
教育研修では、初動対応機関、医療機関などと合同で研修、訓練等を行なっています。
<組織構成>
・被ばく医療グループ
・放射線防護グループ
・線量評価グループ
被ばく医療部の業務内容
被ばく医療グループ
被ばく医療グループは、放射線テロ、放射線事故、原子力災害等の緊急時においてQST病院や被ばく線量評価、放射線管理・防護関連の部署などと協力し、診療を行います。被ばく医療グループは緊急時におけるQSTの被ばく医療対応の中心として機能します。
また、平時においては、行政機関、医療機関、その他放射線を扱う事業所等からの被ばく医療に関する相談・問い合わせにも対応しており、放射線の安全利用、国民の安全・安心の一助となる活動にも取り組んでいます。
放射線防護グループ
放射線防護グループは、放射線被ばく事故や原子力災害等において、放射線防護や放射線管理の専門家として現地に赴き、放射線防護や管理を支援したり、自ら実施します。
線量評価グループ
線量評価グループは、放射線被ばく事故や原子力災害等において、放射線計測、被ばく線量評価の専門家として現地に赴き、放射線計測、被ばく線量評価を支援したり、自ら実施します。
緊急被ばく医療支援チームREMAT(Radiation Emergency Medical Assistance Team)
緊急被ばく医療支援チームREMAT(Radiation Emergency Medical Assistance Team)は、放射線事故、放射線テロ、原子力災害等の放射線緊急事態における国内外への現地派遣等に関する活動を行います。
これまでQSTは、放射線被ばくを伴う事故や放射性物質による汚染事故などに備え、発災現場に赴き初期医療を支援するREMATを配備し、国内外の緊急時への対応体制を整備してきました。
被ばく医療では、放射性物質の特定や被ばく線量評価などの情報をもとに治療が行われるため、 被ばく医療の専門医師、線量評価や放射線防護の専門家が緊密に連携して活動する必要があります。 そのため支援チームは、被ばく医療、線量評価、放射線防護といった各分野の専門知識・技術・経験を有する職員で構成され、国内外の放射線被ばく事故、放射性物質による汚染事故などに対応します。
災害現場への人員派遣体制
QSTは、国内外の放射線事故に24時間365日、いつでも対応します。国内については、国や地方公共団体などからの要請によって、また、海外については、国際機関や外国政府等からの要請によって、派遣が決定されます。この機動性、即応性が、被ばく医療部をはじめとするQSTの対応体制の特徴で、約50名の職員が指定されています。
REMATは派遣先で様々な活動が可能となるように、放射線測定器、防護装備、養生用資機材、医療機材等を準備しています。また、これらの機材を運搬するための特殊車両もあります。
2011年東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所事故では、REMATに指定されている職員を中心に対応を行いました。
さまざまな機関、組織との合同訓練・研修
REMATは「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)」における指定公共機関としての役割を踏まえ、放射線災害・テロ、原子力災害災害への対処の実効性向上のため、初動対応機関、医療機関等と連携強化の研修や訓練を行なっています。
List of Papers
- H. Tatsuzaki, R. Kishimoto, O. Kurihara, T. Tominaga, S. Yamashita: No evidence of thyroid consequences in seven nuclear workers at the Tokyo Electric Power Company Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident: 10-year follow-up results of thyroid status. Journal of Radiation Research, 64(2), 294 - 299, 2023-01, DOI:10.1093/jrr/rrac092
- T. Tominaga , M. Akashi , S. Shimomura , S. Tanosaki , N. Kobayashi, et al.: Effects of the chelating agent DTPA on naturally accumulating metals in the body. Toxicology Letters, 350, 283 - 291, 2021-10, DOI:10.1016/j.toxlet.2021.08.001
- H. Tatsuzaki, T. Tominaga, E. Kim, S. Watanabe, Y. Tsutsumi, et al.: An accident of internal contamination with plutonium and americium at a nuclear facility in japan: a preliminary report and the possibility of DTPA administration adding to the diagnosis. Radiation Protection Dosimetry, 182(1), 98 - 103, 2018-12, DOI:10.1093/rpd/ncy145
- S. Kobayashi, T. Shinomiya, H. Kitamura, T. Ishikawa, H. Imaseki, et al.; Radioactive contamination mapping of northeastern and eastern Japan by a car-borne survey system, Radi-Probe. J Environ Radioact. 2015. Jan;139:281-293. doi: 10.1016/j.jenvrad.2014.07.026. Epub 2014 Sep 2. PMID: 25189817
- T. Tominaga, M. Hachiya and M. Akashi; Lessons Learned from Response to the Accident at the TEPCO Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant: from the Viewpoint of Radiation Emergency Medicine and Combined Disaster. Radiation Emergency Medicine, Vol.1, No.1-2, 56 – 61, 2012
- T. Tominaga, M. Hachiya, H. Tatsuzaki, M. Akashi; The accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant in 2011. Health Physics, 106(6), 630 - 637, 2014-06