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放射線医学研究所

放射線規制科学研究部

掲載日:2024年3月27日更新
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研究テーマ

・放射線医科学分野の研究情報や医療被ばくや職業被ばくのデータを収集する
・国際的専門組織に我が国の放射線医科学の研究成果や実態データを提供する
・社会からのニーズに応えて、放射線被ばくに関する正確な情報を発信する
・放射線による影響把握やリスク低減に必要な調査・解析を実施する
・被ばく後の除染や被ばく治療技術の高度化を進める
・放射線障害の分子機構から、細胞・生体応答を解明し、制御する、等

国際的な動向調査分析による放射線規制科学研究

​毎年世界中から放射線の線源や影響、防護に関する研究が多数発表されます。こうした放射線影響の研究成果や放射線防護の考え方が日本の法令や規則に取り入れられるまでには、多くの国際機関や組織が関連し、相互に情報交換を行います。当研究部では、最新の放射線防護に関する国際動向の調査分析を行いステークホルダーに提供するとともに、我が国の放射線医科学に関する研究成果や被ばくに関するデータを取りまとめ、国際的専門組織に提供することで、我が国の国際社会におけるプレゼンス向上に貢献しています。

国際的な動向調査分析による放射線規制科学研究

放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能

東電福島第一原発事故対応を契機に、放射線の影響に対する社会的な関心が高まりました。当研究部は、人と環境に対する放射線の影響や科学的根拠に立脚した放射線防護体系に関する正確な情報を、国、地方自治体、市民、専門家等、様々なステークホルダーに提供する役割を担っています。その一環として、放射線の現行規制や管理に関する諸制度と国際的な放射線防護等に関する知見等の関係を包括的に収録した「放射線影響・放射線防護ナレッジベース」を構築しています。このナレッジベースはウェブベースシステムとして公開し、今後の放射線防護の基準の作成等に活用されることも視野に入れ、放射線に関する理解増進や安心醸成に役立てるよう内容を充実させていきます。

放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能1

放射線防護における科学的知見と社会を結ぶインターフェース機能2

放射線影響・放射線防護ナレッジベースSirabeへのリンク

https://sirabe.nirs.qst.go.jp/sirabe/

放射線防護に資するデータや技術の情報化

産業の発展に伴い、天然資源が様々な場面で利用されています。天然資源には、自然由来のウラン、トリウムが比較的多く含まれている場合があり、その利用によって放射線に被ばくする場合があります。一般の人々がそれらの物質を安心して安全に取り扱えるように、ウラン、トリウムを含む天然資源の放射能濃度などをデータベース化して公開しています。また、ウラン、トリウムを含む天然資源の利用によって高いレベルで被ばくするようなケースに対応するために、その放射線量の評価技術や低減方法を研究しています。

放射線防護に資するデータや技術の情報化

医療放射線による患者の被ばく線量評価

現在の医療において放射線は診断・治療に欠かせないものとなっており、世界的に医療放射線の利用が多くなっています。特に日本は人口当たりのCT装置の保有台数が非常に多く、その被ばく線量が多いことが知られています。そこで、医療放射線の適切な利用とその被ばく線量の実態把握のために、国内の多くの医療施設からCT撮影条件や線量データを収集し、解析・評価を行っています。また、個々の患者の被ばく線量を評価するための研究を行い、その成果をウェブ上のシステムとして公開しています。

CT撮影による被ばく線量を評価する~

                                                         URL:https://waza-ari.nirs.qst.go.jp/

 

内部被ばく診断・治療に向けた基礎研究

アクチニドをはじめとした放射性核種による内部被ばくの線量低減を目的として、まず放射性核種の体内動態や分布、代謝を調べます。このことにより、より適切な線量評価のための知見を得ると同時に、バイオドジメトリー技術の高度化を進めます。さらに、内部被ばく核種の生体内化学形情報に基づき、既存医薬品を含め、効果的に体外排出させるための薬剤効果を定量的に評価することにより、内部被ばくの体内除染治療などに有用な情報を提供します。

内部被ばく診断・治療に向けた基礎研究

放射線障害克服のための新しい治療法開発に関する研究

高線量被ばく事故における放射線障害及び放射線治療による毛根、皮膚、消化器などの正常組織で生じる有害事象に対する予防・治療法の開発を行っています。薬剤、幹細胞、糖鎖、液性因子など、放射線障害治療に有効な治療ツールを探索・開発し、放射線障害モデルを用いて有効性を評価し、治療効果の作用機序を解明します。さらに、探索・開発した新規治療ツールのヒトへの適用の可能性についても検証し、新しい放射線障害治療法確立のための基盤構築を目指しています。

放射線障害克服のための新しい治療法開発に関する研究

被ばく医療への再生医療応用に向けた基礎研究

高線量放射線障害による血球減少など、組織幹細胞の障害には、幹細胞等の細胞移植、それも大量・頻回の移植を必要としますが、ドナー細胞の入手は困難なためiPS細胞等を利用した再生医療が期待されています。そこで我々は、より免疫原性・腫瘍原性の低い高品質iPS細胞樹立法の研究を実施します。

被ばく医療への再生医療応用に向けた基礎研究

化学反応から生物学的応答へと結びつく反応過程を探索する研究

放射線によって水中や油脂中で生じる活性分子種の初期生成局所濃度は、引き続く化学反応の道筋を決定しうる重要な因子と考えられています。なぜなら活性分子種同士あるいは活性分子種とその標的となる分子との距離が、反応の可否を決めているためです。それらの活性分子種が引き金となって生じる連鎖的酸化還元(レドックス)反応の過程を解析することにより、細胞・生体応答へ続く反応の道筋を模索します。活性分子種の同定と定量、および初期生成密度の解析、それらにより誘導される反応の可能性に基づいて、線質効果の機構解明を目指すとともに、放射線障害の分子機構を探ります。活性分子種の化学的消去と、細胞や生体応答へつながる化学反応の抑止を試み、放射線生物影響の制御を図ります。

放射線による水分子の分解で生じる活性酸素種の反応

活性分子種の局所生成濃度と反応の違い

医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)

医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)は、医療被ばく研究情報を収集・共有し、国際機関への対応を協議・実践していくためのハブとして活動することを目的として設立されました。

放射線規制科学研究部ではJ-RIMEの事務局を務めています。

<J-RIME HP>

https://j-rime.qst.go.jp/

<参考資料>

日本の診断参考レベル(2020年版)    

日本の診断参考レベル(2020年版)用語集

日本の診断参考レベル(2020年版)英語版
 National Diagnostic Reference Levels in Japan (2020) - Japan DRLs 2020-

最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定 説明資料

<J-RIME事務局 連絡先>

E-mail: ml-j-rime-inquiry@qst.go.jp

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