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放射線医学研究所

量子科学技術でつくる未来 被ばく防護と医療(連載記事 全9回)

掲載日:2024年3月27日更新
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連載企画「量子科学技術でつくる未来」(第82回ー第90回)について

量子科学技術研究開発機構が進める事業や研究開発を広く一般の方にご紹介するため、2021年5月から日刊工業新聞の「科学技術・大学」面にて毎週木曜日に「量子科学技術でつくる未来」を連載しました。

「被ばく防護と医療」に関する連載(第82回ー第90回)では、科学技術の進歩や社会の変化に伴い多様化している被ばくから、人と環境と社会を守る技術とその開発の最前線を紹介しました。ぜひご覧ください。

※新聞掲載版は各リンク先(日刊工業新聞HP)をご参照ください。

※日刊工業新聞社の承諾を得て掲載しております。
※新聞連載記事とは内容が一部異なる場合があります。

被ばくの防護と医療 第82回
放射線 健康リスクゼロに 人・環境・社会守る技術開発

宇宙の誕生と共に放射線は存在している。人間ははるか昔から、宇宙や大地から放射線を受けているし、呼吸や食事により、自然界の放射性物質を体内に取り込んでいる。しかし1895年にヴィルヘルム・レントゲンがX線を発見し、医学利用を始めて以後、人間と放射線との関わりは大きく変わってきた。今では、自然界からよりも放射線検査からの被ばくの方が多い人も決してまれではない。(続き→

日常生活における被ばく線量の世界平均と日本平均のグラフ

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 副所長 神田 玲子(かんだ・れいこ)

■日刊工業新聞 2023年2月16日(連載第82回)放射線 健康リスクゼロに

被ばくの防護と医療 第83回
放射性核種を高精度分析 環境への放出由来特定

環境放射能水準調査は、大気圏内核実験やビキニ環礁の水爆実験以降に始まり、当時の科学技術庁(現在、原子力規制委員会)が作成したマニュアルをベースに、各都道府県で環境放射能のモニタリングが続いている。その結果、福島第一原子力発電所事故時においても、全国各地のデータとの比較により、その事故の影響を評価することは容易であった。しかし、環境や食品中のストロンチウム(Sr)やプルトニウム(Pu)等の放射性核種の放射能濃度測定には、測定試料の作製・抽出に数キログラムや数百リットル単位の大量の降下物、土壌、堆積物、陸水や海水などを必要とし、実際に計測できるまでに数ヶ月要することが問題であった。(続き→

質量分析装置を用いて放射性核種を測定する方法の説明図

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子医学・医療部門 放射線医学研究所 福島再生支援研究部 グループリーダー 青野 辰雄(あおの・たつお)

■日刊工業新聞 2023年2月23日(連載第83回)放射性核種を高精度分析

被ばくの防護と医療 第84回
予防や治療の根幹:線量評価の最前線(AIによる染色体分析)

放射線の被ばくによってどのような影響が人体に表れるのかは被ばく線量から推定できる。そのため線量評価は被ばく医療や被ばく後の健康管理の根幹と言える。

線量評価の手法の中でも生物学的被ばく線量評価(生物線量評価)は、被ばくの影響の程度を知りたい個々人の生体組織から被ばくの痕跡を定量的に分析する方法である。実際に被ばく患者が発生したときには、生物線量評価だけではなく、放射線測定や化学的・物理学的放射能分析など複数の手法を用い、それらの結果を組み合わせて総合的に評価を行う。(続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構(QST) 放射線医学研究所 計測・線量評価部 主任研究員 高島 良生(たかしま・よしお)

■日刊工業新聞 2023年3月2日(連載第84回)線量評価の最前線(AIによる染色体分析)

被ばくの防護と医療 第85回
体内の放射性核種検出 内部被ばく線量30分で測定

2021年3月に量子科学技術研究開発機構(QST)に新設された高度被ばく医療線量評価棟には、体内に取り込まれた放射性核種を検出できる「統合型体外計測装置」がある。体内の放射性核種による被ばくは「内部被ばく」と呼ばれ、発がんなどの将来の健康影響のリスクを高める恐れがある。本装置は、その内部被ばくの線量評価に用いられる。その評価線量は、体内の放射性核種の排泄を促進する体内除染剤の投与等、特別な被ばく医療処置の実施を判断するための重要な情報となる。(続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 放射線医学研究所 計測・線量評価部 物理線量評価グループ 主任研究員

谷 幸太郎(たに・こうたろう)

■日刊工業新聞 2023年3月9日(連載第85回)体内の放射性核種検出

被ばくの防護と医療 第86回
被ばく 発がんリスク捉える 細胞系譜追跡で起源解明

広島・長崎の原発被爆者の疫学調査などから、被ばくによってがんの発症リスクが高まることが明らかになっている。しかし、被ばくによる発がんメカニズムはよくわかっておらず、特に低線量被ばくの場合は、生体への影響が小さく、統計学的有意差の検出のための十分な集団の確保が難しいため、発がんのリスクを正確に捉えることは現状できていない。(続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 放射線影響研究部 発がん動態研究グループ 研究統括 飯塚 大輔(いいづか・だいすけ)

■日刊工業新聞 2023年3月16日(連載第86回)被ばく発がんリスク捉える

被ばくの防護と医療 第87回
放射線皮膚障害の治療 幹細胞で手術効果高める

過剰な被ばくによる健康影響のうち、特に皮膚に生じる症状のことを放射線皮膚障害、あるいは放射線皮膚炎、放射線潰瘍などと呼ぶ。放射線皮膚障害は、意図せずに放射線を発する物質に触れてしまった場合や、また癌の治療や心臓カテーテル検査などの放射線を利用した特殊な医療行為の局所合併症としても生じる可能性があり、皮膚は放射線を使う現場では注意が必要な臓器の一つである。(続き→

放射線皮膚障害と治療方針の説明図

図:放射線皮膚障害と治療方針

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 被ばく医療部医長。西條 広人(さいじょう・ひろと)

■日刊工業新聞 2023年3月23日(連載第87回)放射線皮膚障害の治療

被ばくの防護と医療 第88回
脳血管内治療患者の眼を守るシャドー・シールド

頭の中にできた病変を直接切開することなく、カテーテルと呼ばれる細かい管の先端をエックス線で透かして見ながら、血管の内側から病変を治療する方法を脳血管内治療と呼ぶ。カテーテルは通常太ももの付け根の血管や、手首、肘の血管から挿入するため、これまでの直接頭を切開する手術法に比べて、組織を傷つける危険性が低く、患者の脳や全身への負担が小さいのが特徴で、今ではスタンダードな治療法として広く普及している。(続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 放射線規制科学研究部 部長 盛武 敬(もりたけ・たかし)

■日刊工業新聞 2023年3月30日(連載第88回)脳血管内治療患者の眼を守るシャドー・シールド

被ばく防護と医療 第89回
複合材料で被ばく線量半減 宇宙長期滞在 健康リスク低減

地球から遠く離れた月や火星などの深宇宙への進出や宇宙旅行が現実味を帯びてきており、宇宙滞在の機会は身近になってきている。宇宙空間には、地球上の自然放射線とは大きく異なる、宇宙放射線という陽子、ヘリウム(He)、鉄(Fe)などのさまざまな荷電粒子が飛び交っている。特にヘリウムより重い鉄などの重粒子線は人体に大きな影響を及ぼすと考えられており、深宇宙は地球近傍よりも過酷な放射線環境になる。(続き→

図・写真

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 計測・線量評価部 放射線計測グループリーダー 小平 聡(こだいら・さとし)

■日刊工業新聞 2023年4月6日(連載第89回)​​複合材で被ばく線量半減

被ばく防護と医療 第90回
カロリー制限でがん予防 被ばく後のリスク低減

放射線は、病気を見つけるためのレントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)検査、がんなどの病気の治療(放射線治療)などの医療分野で活用されている。先進国である日本は、その普及率は世界中でも上位であり、健康長寿社会の実現にも大きく貢献するものと期待されている。(続き→

カロリー制限をした場合と制限無しの場合の放射線誘発消化管腫瘍の発生割合を示したグラフ

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 計測・線量評価部 放射線計測グループリーダー 森岡 孝満(もりおか・たかみつ)

■日刊工業新聞 2023年4月13日(連載第90回)​​カロリー制限でがん予防 被曝後のリスク低減


全ての連載

2021年5月より2023年8月まで、日刊工業新聞にて連載した全ての記事をまとめた冊子です。

量子科学技術でつくる私たちの未来 2021-2023

次のシリーズが掲載されています。

  • フュージョンエネルギー
  • 超省エネスマホ
  • 量子メス
  • 標的アイソトープ治療
  • 全自動インフラ検査
  • 未来のクルマ
  • 人口光合成でCO2を削減
  • 量子スマートセル
  • 認知症の超早期診断
  • 物質の機能を可視化
  • 被ばく防護と医療
  • 光による量子制御
  • 量子デバイスに囲まれる生活
  • 最先端研究を身近に届ける

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