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量子エネルギー研究分野

量子科学技術でつくる未来 核融合発電

掲載日:2024年4月18日更新
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連載企画「量子科学技術でつくる未来」について

量子科学技術研究開発機構が進める事業や研究開発を広く一般の方にご紹介するため、2021年5月から日刊工業新聞の「科学技術・大学」面にて毎週木曜日に「量子科学技術でつくる未来」を連載しています。

量子エネルギー研究分野に関する記事では、核融合研究の最新の状況や核融合発電に向けた様々な技術開発を解説しています。記事内容を掲載しますので、ぜひご覧ください。

※新聞掲載版は各リンク先(日刊工業新聞HP)をご参照ください。

※日刊工業新聞社の承諾を得て掲載しております。
※新聞連載記事とは内容が一部異なる場合があります。

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核融合発電 第20回
加速器で中性子環境 模擬
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核融合発電 第20回 サムネ

 核融合炉の構造材料は、反応で生成された大量の高速中性子にさらされても、一定の耐久性を持つことが安全上の絶対条件だ。中性子が材料に当たると、脆化など、強度が劣化することが知られており、材料の交換時期を適切に規定するには、核融合炉内環境と同等の中性子照射下で材料の特性変化を調べる必要がある。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子エネルギー部門核融合炉材料研究開発部IFMIF加速器施設開発グループリーダー 近藤恵太郎(こんどう・けいたろう)

■日刊工業新聞 2021年10月28日(連載第21回) 加速器で中性子環境を模擬

核融合発電 第19回
高速中性子に耐える材料開発
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核融合発電 第19回 サムネ

 プラズマ中で起こる核融合反応で生じたエネルギーは、光速の約6分の1という高速中性子の形で取り出される。核融合炉の材料は、このような中性子照射に対しても、優れた耐性を持つことが必要だ。原型炉実現に向け、中性子によって長い半減期の放射性核種が生成しないように成分調整した高クロム耐熱鋼(「低放射化フェライト鋼」と呼ぶ)の開発が進む。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 量子エネルギー部門核融合炉材料研究開発部核融合炉構造材料開発グループリーダー 野澤貴史(のざわ・たかし)

■日刊工業新聞 2021年10月21日(連載第20回) 高速中性子に耐える材料開発

核融合発電 第18回
イーターのプラズマ スパコンで事前予測
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核融合発電 第18回 サムネ

 核融合発電炉では、ドーナツ状のプラズマ中を周回して流れる高プラズマ電流が、定常に維持されていることが必要だ。生成されたプラズマ中では、内部の圧力が過剰になったり、局所的に抵抗が増えるなどの不安定性が発生することがある。この不安定性に起因する、電流の急減とともにプラズマの保有するエネルギーが急放出される現象、「ディスラプション」が定常運転を阻む最大の課題だ。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合炉システム研究開発部 プラズマ理論シミュレーショングループ 主幹研究員 松山 顕之(まつやま・あきのぶ)

■日刊工業新聞 2021年10月14日(連載第19回) イーターのプラズマをスパコンで事前予測

核融合発電 第17回
原型炉設計 条件整う
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核融合発電 第17回 サムネ

 核融合発電の実現に、トカマク型プラズマ磁場閉じ込め方式が最速であることは世界の共通認識だ。今、原型炉設計に必要な物理的、技術的条件が整いつつある。
 難問だったプラズマ性能の向上は、建設中の核融合実験炉イーターで、エネルギー増倍率(Q=出力パワー/入力パワー)10以上のプラズマを400秒以上持続して実現する。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合炉システム研究開発部 核融合炉システム研究グループリーダー 坂本 宜照(さかもと・よしのぶ)

■日刊工業新聞 2021年10月7日(連載第18回) 原型炉設計の条件整う

核融合発電 第16回
原型炉実現へ急加速
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核融合発電 第16回 サムネ

 半世紀にわたる核融合発電に向けた世界中の研究開発による最大の成果は、核融合が発電所となるのに必要な炉心規模の知見を得たことだ。この性能と装置規模との関係(「スケーリング則」と呼ぶ)に基づき、核融合実験炉イーターは50万キロワットの熱出力を想定している。初めて本格発電する原型炉も、同スケーリング則に基づき構想され、その概念設計段階から、商用電力系統への投入に必要な発電プラントとしての完備性が重要な課題だ。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 先進プラズマ研究部 核融合炉システム研究開発部 次長 石井 康友(いしい・やすとも)

■日刊工業新聞 2021年9月23日(連載第17回) 核融合発電、原型炉実現へ急加速

核融合発電 第15回
AIで高速・高精度化
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核融合発電 第15回 サムネ

 核融合炉が生み出すエネルギー量はプラズマの密度・温度で決まるため、その予測はプラズマの性能評価に不可欠だ。巨大なドーナツ状のプラズマ中では、電磁場の影響などを受けて、電荷を帯びた多数の粒子の向きや速度が時々刻々変化する。これにより、粒子・熱の流れ、すなわちプラズマ中に「輸送」が生じ、密度・温度の分布が形成される。この輸送の物理機構がわかれば、予測は原理的に可能だ。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 先進プラズマ研究部 先進プラズマモデリンググループ 主任研究員 成田 絵美(なりた・えみ)

■日刊工業新聞 2021年9月16日(連載第16回) AIで高速・高精度化

核融合発電 第14回
JT-60SAプラズマ 効率生成
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核融合発電 第14回 サムネ

 核融合エネルギーを生み出す源である数億度の超高温・高圧力プラズマ。JT-60SAプラズマは、外周約25メートルのドーナツ型、体積約140立方メートルと巨大である。この超高温・高圧力で巨大なプラズマをいかに効率良く生成・制御するかが、我々の挑戦である。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 先進プラズマ研究部 先進プラズマ実験グループリーダー 吉田 麻衣子(よしだ・まいこ)

■日刊工業新聞 2021年9月9日(連載第15回) JT-60SAプラズマ効率生成

核融合発電 第13回
JT-60SA高機能電源 高精度で制御
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核融合発電 第13回 サムネ

 核融合反応を起こすプラズマを閉じ込める強磁場は、超伝導コイルに高電圧を印加し大電流を流して作る。1億度以上の超高温プラズマは、粒子や高周波の入射加熱装置に大電力を投入して生成する。この高電圧・大電流・大電力を安全に発生させ、高精度制御し、何らかの異常時には装置を保護するのが、JT-60SAの基幹設備である高機能電源だ。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 トカマクシステム技術開発部 JT-60電源・制御開発グループ 上席技術員 島田 勝弘(しまだ・かつひろ)

■日刊工業新聞 2021年9月2日(連載第14回) JT-60SAの高機能電源

核融合発電 第12回
超伝導コイル 高精度配置
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核融合発電 第12回 サムネ

 1億度を超える高温プラズマを100秒間閉じ込めることがJT-60SAの要求仕様だ。それには、290立方メートルものドーナツ状の空間に最大2.25テスラの磁場を発生させる巨大な電磁石「トロイダル磁場(TF)コイル」が18個必要だ。普通の銅線では発熱により消費電力が大きくなるので、電気抵抗がゼロの超伝導線を用いて電流2.57万アンペアを定常的に流し、高温プラズマを閉じ込める。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 トカマクシステム技術開発部 超伝導極低温機器開発グループリーダー 濱田 一弥(はまだ・かずや)

■日刊工業新聞 2021年8月19日(連載第13回) 超伝導コイルを高精度配置

核融合発電 第11回
JT-60SA主要機器 高精度で設置
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核融合発電 第11回 サムネ

 JT-60SAは2020年3月末に主要機器の組み立てを完遂した。構成機器は、超高真空を維持し超高温プラズマを閉じ込めるドーナツ状の真空容器、プラズマを生成し閉じ込める磁場を発生する3種類合計28個の超伝導コイル、マイナス269℃に冷却された超伝導コイルへ熱を侵入させない真空断熱用クライオスタット容器と熱遮蔽体など、いずれも大きさ十数メートル、重さ数トン~百トン超と巨大だ。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 トカマクシステム技術開発部 JT-60本体開発グループリーダー 松永 剛(まつなが・ごう)

■日刊工業新聞 2021年8月12日(連載第12回) JT-60SA

核融合発電 第10回
JT-60SA、原型炉の経済性高める
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核融合発電 第10回 サムネ

 核融合実験炉イーターの運転とその次の原型炉の設計の方向性を決め、核融合エネルギーの実現を加速するプロジェクトが、JT-60SAだ。量子科学技術研究開発機構(QST)那珂研究所で2008年まで稼働し、様々な炉心プラズマ性能の世界記録を樹立したJT-60の本体部分を日本と欧州が共同で改修して進めている。​→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 先進プラズマ研究部 先進プラズマ計画調整グループリーダー 鈴木 隆博(すずき・たかひろ)

■日刊工業新聞 2021年8月5日(連載第11回) JT-60SA、原型炉の経済性高める

核融合発電 第09回
ベリリウム精製
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核融合発電 第09回 サムネ

 核融合炉の燃料である三重水素は、反応で発生した中性子をリチウムに当てて自己増殖させる。この増殖のカギが、中性子を倍に増やす中性子増倍材「ベリリウム」原子番号4だ。このレアメタル(希少金属)であるベリリウム、今では身近な金属である。銅に2%程度添加するだけで、導電性を維持したまま、強度がステンレス並みになり、スマホや電気自動車の電子部品や第5世代通信(5G)通信アンテナに使用されるなど、大変有用である。→続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 ブランケット研究開発部 増殖機能材料開発グループリーダー 中道 勝(なかみち・まさる)

■日刊工業新聞 2021年7月29日(連載第10回) ベリリウム精製

核融合発電 第08回
リチウム、海水・電池から回収
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核融合発電 第08回 サムネ

 核融合炉の燃料の一つである重水素は海水に無尽蔵に存在するが、もう一つの三重水素は自然界にほとんど存在しない。そのため、核融合反応で発生する中性子を炉心近くに置いたリチウムと反応させ、三重水素を自己生産する必要がある。陸地で採取できるリチウムには量的に限りがあるが、豊富に含まれる海水中から採取できれば、核融合炉の燃料は実質無尽蔵だ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 ブランケット研究開発部 増殖機能材料開発グループ 上席研究員 星野 毅(ほしの・つよし)

■日刊工業新聞 2021年7月15日(連載第9回) リチウム、海水・電池から回収

核融合発電 第07回
「ブランケット」熱エネ変換
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核融合発電 第07回 サムネ

 我々が目指す「地上の太陽」では、超高温プラズマの中で重水素と三重水素が核融合反応することで膨大なエネルギーを得る。発生するエネルギーの殆どは高速で運動する中性子として放出される。これを受け止め、発電機を回す熱エネルギーとして取り出す変換器が「ブランケット(Blanket)」だ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 ブランケット研究開発部 次長 谷川 博康(たにがわ・ひろやす)

■日刊工業新聞 2021年7月8日(連載第8回) 「ブランケット」熱エネ変換

核融合発電 第06回 ​ 
超高温プラズマ、レーザで内部測定

核融合発電 第06回 サムネ

 核融合実験炉イーターの1億度を超えるプラズマを安定に維持するには、内部の磁場構造を正確に把握する必要がある。計測器は挿入できないので、レーザを使って非接触で測定し、一種のコンピュータ断層撮影(CT)を行う。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 計測開発グループ 主幹研究員 今澤 良太(いまざわ・りょうた)

■日刊工業新聞 2021年7月1日(連載第7回) 超高温プラズマ、レーザーで内部測定

核融合発電 第05回
太陽をつくる最強「電子レンジ」

核融合発電 第05回 サムネ

 「地上の太陽」をつくるには、最初に着火した数千万度のプラズマを加熱して1億度以上にしなければならない。この加熱方法の一つが、強力な電子レンジでプラズマ中の電子にパワーを注入するやり方だ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 RF加熱開発グループ 主幹研究員 池田 亮介(いけだ・りょうすけ)

■日刊工業新聞 2021年6月24日(連載第6回) 太陽作る最強「電子レンジ」

核融合発電 第04回
史上最強のビーム加速 挑戦
 

核融合発電 第04回 サムネ

 「地上の太陽」核融合発電では、磁力線のカゴにプラズマを閉じ込めるが、それだけではまだ太陽にはなれない。閉じ込めたプラズマに粒子ビームや電磁波を入射するとプラズマの温度が上昇して核融合反応が始まり、初めてエネルギーを生み出す太陽となるのだ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 ITERプロジェクト部 NB加熱開発グループ 上席研究員 小島 有志(こじま・あつし)

■日刊工業新聞 2021年6月17日(連載第5回) 史上最強のビーム加速に挑戦 

核融合発電 第03回
巨大超伝導コイル、高精度製作

核融合発電 第03回 サムネ

 核融合実験炉イーターの高温プラズマを閉じ込める磁場を作るのが、トロイダル磁場(TF)コイルだ。この主要機器は高さ約16m、幅9m、重さ310トンという巨大な超伝導電磁石で、6.8万アンペアもの大電流を流し、TFコイル18基を放射状に並べたドーナツ状の空間に発生する磁場は、11.8テスラと強力だ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 ITERプロジェクト部 超伝導磁石開発グループ 主任技術員 中本 美緒(なかもと・みお)

■日刊工業新聞 2021年6月10日(連載第4回) 巨大超伝導コイル、高精度製作

核融合発電 第02回
実験炉イーター「人類の夢」実現挑む

核融合発電 第02回 サムネ

 核融合発電の実現を目指して、世界の英知を結集し、開発を進めているのが核融合実験炉「イーター」プロジェクトだ。世界的にも類を見ない規模で進めるこのプロジェクトは、1985年に米ソ首脳で核融合に関する国際協力が話し合われたのがきっかけだ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 那珂核融合研究所 ITERプロジェクト部 ITER連携戦略グループリーダー 正木 圭(まさき・けい)

■日刊工業新聞 2021年6月3日(連載第3回) 実験炉イーター「人類の夢」実現挑む ​ 

核融合発電 第01回
“地上の太陽”​脱炭素貢献​​ 

核融合発電 第01回 サムネ​ カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現が不可避とされる2050年頃をターゲットに、QSTは、太陽が輝く源である核融合を地上で起こす研究開発にも精力的に取り組む。石炭、石油、原子力などの従来エネルギー源に比べ、核融合は、燃料が地球に無尽蔵にあり、CO2排出がなく地球環境に優しく、高レベル放射性廃棄物を出さず、反応を容易に停止できる優れた安全性を有し、実現が期待されるエネルギー源だ。 →続き

執筆者:量子科学技術研究開発機構 核融合エネルギー部門 研究企画部長 東島 智(ひがしじま・さとる)

■日刊工業新聞 2021年5月27日(連載第2回) “地上の太陽” 脱炭素貢献