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六ヶ所フュージョンエネルギー研究所

日本原子力学会 春の年会にて「2020年度日本原子力学会材料部会Best Figure賞」を受賞

掲載日:2021年3月31日更新
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日欧BAにおける原型炉R&D共同研究の成果として、芦川直子(核融合科学研究所)、菊地絃太(茨城大学)、鳥養祐二(茨城大学)、朝倉伸幸(QST、核融合炉システム研究開発部、プラズマ理論シミュレーショングループ)が、令和3年3月17日-19日に開催された日本原子力学会 春の年会にて「2020年度日本原子力学会材料部会Best Figure賞」を受賞いたしました。

 

受賞件名

JET-ILWダストに対する燃焼法による残留トリチウム測定。酸化反応による錫燃焼の瞬間

 

受賞内容

日欧BA研究協定のもと、欧州の大型トカマク実験装置JETの炉内において採集されたトリチウムが蓄積した少量(約0.1g)のダスト試料をQST六ヶ所核融合研究所に輸送し、専用の分析設備内で試料を高温にして燃焼(急激な酸化反応)することにより、少量(約1mg)のダスト粒子の内部にまで蓄積されたトリチウムの正確な定量評価を可能にしました。この分析成果は専門誌(“Determination of retained tritium from ILW dust particles in JET”   N.Ashikawa, et al. , Nuclear Materials and Energy 22(2020)100673)に掲載され、新たな成果が本年5月に開催される第28回IAEA Fusion Energy Conference において鳥養によりタイトル“Tritium retention in dust particles and divertor tiles of JET operated with the ITER-like wall”にて発表されます。

表彰対象はその燃焼時の様子の撮影写真です(参照)。学術的に大変興味深くかつ華麗であり原子力材料の研究と技術開発の発展に貢献する優秀作品として高く評価されました。

本共同研究で得られた金属ダストや真空容器保護タイル試料の一連の分析結果は、ITERの炉内における燃料蓄積量の推定を裏付ける結果となり、ITER及び将来の核融合炉の運転時における蓄積量の管理にも役立つことが期待されます。研究成果はQSTからプレス発表(2020年7月1日)されました。https://www.qst.go.jp/site/press/41989.html 

補足:
日本原子力学会材料部会の下記のサイトに掲示されています。
http://www.aesj.or.jp/~material/

 

受賞者コメント

この度はBest Figure賞をいただき誠に有難うございます。大学の研究室に入り核融合に関する研究に携われたこと、またその中で成果を出せたことを非常に嬉しく思います。本研究では試料数が少なく失敗ができない状態であり、分析を行う際には非常に緊張しましたが、多くの方のご支援をいただき無事に結果を出すことができました。現在、様々なトリチウムの測定法が開発されていますが、この測定法もITERや将来の核融合炉で役に立つことを願っています。

この研究を行うにあたり、様々なご指導やご支援をしていただいた共同研究の先生方や六ヶ所核融合研究所の関係者にこの場を借りて深く感謝申し上げたいと思います。(菊地絃太)

燃焼法によるトリチウム定量評価は、今後ITER、原型炉に向けた開発研究においてとても重要な評価手法です。賞を頂いた該当写真の様子はとても印象強いものですが、残念ながら論文に掲載する図(写真)としては適さず、今回この賞を通じて多くの方々にご紹介できたことは嬉しい限りです。英国カラム研究所、Hydrogen-3 Advanced Technology(H3AT)グループからも測定手法の詳細について問い合わせがあるなど、世界的に着目されつつある評価手法です。本研究を実施するにあたり六ケ所核融合研究所、トリチウムグループ、特に室舘幸広氏、川口義彰氏による技術支援に対しこの場を借りてお礼申し上げます。(芦川直子)

 

2020年度日本原子力学会材料部会Best Figure賞受賞

【受賞者】

芦川直子(核融合科学研究所)、菊地絃太(茨城大学)、鳥養祐二(茨城大学)、朝倉伸幸(QST、核融合炉システム研究開発部、プラズマ理論シミュレーショングループ)

 

2020年度日本原子力学会材料部会Best Figure賞受賞画像

JET-ILWダストを包んだ錫箔燃焼の様子。
(燃焼法による定量トリチウム測定)
今まさにトリチウムが放出されている瞬間です。

炎の中にセラミックボードが見えていますが、その中に錫箔が入っています。