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放射線影響予防研究部

実験動物放射線影響研究アーカイブ(J-SHARE)

掲載日:2024年12月9日更新
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J-SHAREの概要

目的

 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (QST)放射線医学研究所 (NIRS)は、放射線被ばくによる寿命の短縮とがんの有病率に関するリスク分析のために大規模な動物実験を実施してきました。また放射線発がんのメカニズムをより深く理解する目的で、放射線誘発腫瘍の遺伝的およびエピジェネティックな変化の解析も行われています。このような大規模な実験を繰り返すことの財政的および実際的な制限、および倫理的な観点から、実験条件と紐付いた病理データと生物試料を将来にわたって利用できるように保存し共有することが重要になります。そこで、歴史的コレクションの有効活用を図ることで放射線影響研究の成果を最大化するため、実験動物放射線影響研究アーカイブ(J-SHARE)を構築しました。
 J-SHAREは、先進的な分子生物学的解析技術、数理モデル解析、量子生命科学のアプローチなどの新しい分析技術を使用することにより、放射線生物学的影響に関する新しい知見を得るための貴重なリソースを提供します。

内容

 J-SHAREは、実験条件等の情報に加え、剖検カルテ (体重、臓器重量、肉眼的所見等)、剖検時や切り出し時の臓器の画像、バーチャルスライドによる病理組織像、保存試料情報、病理解剖報告書などの閲覧が可能なシステムとなっております。利用可能データについては、国内外の研究機関の研究者がインターネットを介してアクセスし、登録情報の検索および閲覧をすることができます。

利用可能データ

 以下の論文のデータを順次、利用可能としていきます。詳しくは下記事務局(利用申し込み方法)までお問い合わせください。

  • Imaoka, Nishimura, Daino et al. Influence of age on the relative biological effectiveness of carbon ion radiation for induction of rat mammary carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2013;85(4):1134-1140 [LINK]
  • Imaoka, Nishimura, Daino et al. Age Modifies the Effect of 2-MeV Fast Neutrons on Rat Mammary Carcinogenesis. Radiat Res 2017;188(4):419-425 [LINK]
  • Imaoka, Nishimura, Daino et al. Prominent Dose-Rate Effect and Its Age Dependence of Rat Mammary Carcinogenesis Induced by Continuous Gamma-Ray Exposure. Radiat Res 2019;191(3):245-254 [LINK]
  • Yamada et al. Effect of Age at Exposure on the Incidence of Lung and Mammary Cancer after Thoracic X-Ray Irradiation in Wistar Rats. Radiat Res 2017;187(2):210-220 [LINK]

 これまでに、マウス及びラットを用いて胎児期・子ども期及び成人期におけるガンマ線、炭素線、中性線の被ばくによる発がんリスクや、寿命短縮などに関する研究を行い、約1万数千匹の動物実験資料を蓄積しています。これらの資料についてもアーカイブ化し、論文化した後、順次利用可能とする計画です。

動物実験一覧

使用マニュアル

 J-SHAREの使用方法を簡単にまとめたマニュアルを用意していますのでご参考ください [LINK]。

利用申し込み方法

 J-SHARE を利用するには、QSTの役職員等かQSTと共同研究契約を締結できる外部機関に所属している共同研究者である事が必要です。詳しくは下記事務局までお問い合わせください(海外機関の場合は検討中)。

J-SHARE事務局

jshare[at]qst.go.jp([at]を@に置き換えて下さい)

参考資料

  • Morioka et al. Establishing the Japan-Store house of animal radiobiology experiments (J-SHARE), a large-scale necropsy and histopathology archive providing international access to important radiobiology data. Int J Radiat Biol 2019;95(10):1372-1377 [LINK]
  • Ishikawa et al. Sharing of data archive of radiation exposure animal experiments in QST and IES. Rad. Pro. Dosi. (in press)

関連リンク先

  • STORDB(国際的な放射線生物学研究者のためのデータとサンプル情報のデータベース)
  • Northwestern University Radiobiology Archives (NURA)(米国内の8つの研究所で、過去に行われた動物照射研究のデータとパラフィン組織サンプルから構成されるアーカイブ)