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量子生命科学研究所

構造生物学研究チーム

掲載日:2022年4月1日更新
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量子でひもとく生体分子の

「かたち」と「はたらき」

 

構造生物タンパク質などの生体分子は、大きいものでは数百万を超える原子が特定の形を形成かつ変化させることで、その分子固有の機能を発揮します。私達の研究グループでは、複数の量子技術(放射光X線/中性子回折・散乱など)を量子化学計算やシミュレーションにより組み合わせることで、生体分子を構成するすべての原子情報を含む「高精度」で、その機能を反応のすべてにおいて「連続的」に理解することに取り組んでいます。私達の究極の目標は従来の「原子」構造生物学を超えた「量子」構造生物学の創成です。

メンバー

グループ集合写真玉田 太郎 チームリーダー

栗原 和男 上席研究員

横谷 立子 上席研究員

平野 優 主幹研究員

廣本武史 主幹研究員

松尾 龍人 主幹研究員

河野 史明 研究員

藤原 悟 専門業務員

西久保 開 QSTリサーチアシスタント

小畑 結衣 QSTリサーチアシスタント

片岡 奈緒 業務補助員

 

研究TOPICS

CuNIR 中性子結晶構造解析図​​地球の窒素循環を担う酵素の反応機構を全原子構造決定により解明

地球の窒素循環において、土壌や水域中の窒素化合物は微生物の働きによって窒素分子へと段階的に変換され、大気中へ放出されます。この地球化学的に重要な過程は脱窒とよばれ、様々な酵素によって担われていますが、なかでも亜硝酸イオンを一酸化窒素ガスに変える反応(亜硝酸還元反応)を行う銅含有亜硝酸還元酵素 (CuNIR)は、脱窒過程の鍵酵素と呼ばれています。

水素原子を直接観察できる中性子結晶構造解析という手法を用い、水素原子も含んだCuNIRの全原子構造を高解像度で決定することに成功しました。その結果、酵素の活性中心に存在する銅イオンには、従来のX線を主とした結晶構造解析の結果から考えられていた水分子ではなく、そこからプロトン(水素原子)一個が取り除かれた水酸化物イオンが結合していることを発見しました。また、亜硝酸還元反応に必要な電子の移動を促進するような仕組み(水素結合)が、タンパク質内に存在していることも明らかにしました。こうしたことはミクロの現象を記述する量子力学を用いた理論研究から予想されていましたが、本研究によって世界で初めて実験的に証明されたことになります。中性子結晶構造解析による水素原子の直接観測が、生命現象の本質を量子のレベルから理解しようとする「量子構造生物学」という新しい領域の開拓に寄与することが期待されます。

【もっと詳しく】

プレスリリース https://www.qst.go.jp/site/press/38271.html 

論文情報 https://doi.org/10.1073/pnas.1918125117

 

2021年度の成果

原著論文​

  1. Matsuo, T., De Francesco, A., Peters, J. “Molecular dynamics of lysozyme amyloid polymorphs studied by incoherent neutron scattering” Front. Mol. Biosci. (2021)
  2. Nakagawa, H., Tamada, T. “Hydration and its hydrogen bonding state on a protein surface in the crystalline state as revealed by molecular dynamics simulation” Front. Chem. 9, 738077. (2021)
  3. Matsuo, T., Nakatani, K., Setoguchi, T., Matsuo, K., *Tamada, T., *Suenaga, Y. “Secondary structure of human De Novo evolved gene product NCYM analyzed by vacuum-ultraviolet circular dichroism” Front. Oncol. 11, 688852. (2021)
  4. Matsuo, T. “Viewing SARS-CoV-2 Nucleocapsid Protein in Terms of Molecular Flexibility” Biology 10, 454. (2021)
  5. Matsuo, T. “A theoretical study on the effects of interdomain flexibility on drug encounter rate for coronavirus nucleocapsid-type proteins ” Biophys. Chem. 272, 106574. (2021)
  6. Kono, F., *Tamada, T. “Neutron crystallography for the elucidation of enzyme catalysis” Curr. Opin. Struct. Biol. 71, 36-42. (2021)
  7. Shobu, T., Shiro, A., Kono, F.,  Muramatsu, T., Yamada, T., Naganuma, M., Ozawa, T. “Internal Strain Distribution of Laser Lap Joints in Steel under Loading Studied by High-Energy Synchrotron Radiation X-rays” Quantum Beam Sci. 5, 17. (2021)
  8. #Inoue, Y., #Hanazono, Y., #Noi, K., #Kawamoto, A., Kimatsuka, M., Harada, R., Takeda, K., Kita, R., Iwamasa, N., Shibara, K., Noguchi, K., Shigeta, Y., Namba, K., Ogura, T., Miki, K., Shinohara, K., Yohda, M. “Split conformation of Chaetomium thermophilum Hsp104 disaggregase”, Structure 29, 721-730. (2021)
  9. Hiromoto, T., Nishikawa, K., *Tamada, T., *Higuchi, Y. “The challenge of visualizing the bridging hydride at the active site and proton network of [NiFe]‑hydrogenase by neutron crystallography” Top. Catal. 64, 622-630. (2021)

和文誌

  1. 河野 史明、栗原 和男、玉田 太郎「中性子結晶解析の進展が明らかにする酵素反応機構」生物物理、61, 216-222 (2021)
  2. 中川 洋、松尾 龍人「X線散乱・中性子散乱」実験医学、39, 211-217 (2021)
  3. 栗原 和男、玉田 太郎「生体高分子用単結晶回折装置BIX-3, BIX-4の現状と今後の展望」波紋、31, 33-35 (2021)

2021年度以前の成果

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