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先進プラズマ研究開発

第3回 若手科学者によるプラズマ研究会 | 研究会の概要

掲載日:2018年12月26日更新
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【本研究会は終了いたしました】

主題:プラズマ中の電場形成と役割

平成12年1月31日〜2月2日開催

研究会の概要

第3回若手科学者によるプラズマ研究会を平成12年1月31日から2月2日の日程で開催しました。本研究会では分野を超えた議論を行い各研究の幅を拡大するために,参加者はプラズマ核融合学会誌での一般公募も行い、4件の応募がありました。今回の主題「プラズマ中の電場形成と役割」に関して,各大学・研究機関から様々なプラズマ閉じ込め方式,プロセスプラズマから実験及び理論的アプローチの発表が行われました。研究会の参加者は約20名で,その内訳は大学院生7名,若手の大学の先生・研究機関の研究員8名,原研の若手研究員5名でした。講演は,特別講演が3件,一般講演が12件行われ,磁場閉じ込め方式からはトーラス系のトカマク・ヘリカル・RFPと直線形のミラー,そして半導体プロセスプラズマからの発表がありました。

研究会は,核融合科学研究所の藤澤彰英氏による「トロイダルプラズマにおける電場形成と閉じ込めに関する役割」と題された特別講演で幕を開けました。CHS装置において重イオンビームプローブを用いた詳細な電位分布測定によって発見された自励振動を中心に,輸送障壁周辺の電場構造や揺らぎの変化を紹介され,電場構造の分岐性について遷移間の電場と電流の非線形な関係が新古典理論の予測に近いことを示し,またトカマク装置との関連,及び電場と輸送研究に対する将来の課題について講演されました。また日本原子力研究所の白井浩氏からは特別講演「JT-60Uの閉じ込め改善領域における径電場シアとプラズマ回転の役割」と題して,JT-60Uで実現される負磁気シア放電をはじめとする閉じ込め改善プラズマにおいて径電場シアの増加と熱拡散係数の減少の関連性を示し,箱型の内部輸送障壁におけるExBシア率は微視的不安定性の線形成長率と同程度であり,またトロイダル方向の運動量入射はエネルギー閉じ込め性能及び内部輸送障壁の維持・劣化に影響することを紹介されました。電子技術総合研究所の榊田創氏,小口治久氏からは特別講演「逆磁場ピンチにおける径電場形成」が行われ,逆磁場ピンチプラズマ研究の現状・今後の方向性を紹介され,近年発見された閉じ込め改善のメカニズムについてsawtoothトリガーによる周辺部への熱伝播や磁気レイノルズ応力の発生,特に周辺部に局在化した径電場シア−により中心共鳴のテアリングモード抑制の可能性を挙げ,またTPE-RX装置におけるロックトモード発生機構として渦電流に因るモード回転に対するブレーキング効果が有力であることを示されました。

一般講演12件は,実験7件と理論5件が行われ,それぞれの視点から活発な議論がなされました。ヘリカル関連では,LHDにおける荷電交換分光法による電場計測結果が発表され,また理論的なアプローチから径電場分岐及び輸送障壁形成の可能性が発表されました。トカマク関連では,JT-60U負磁気シア放電における径電場制御に基づいた内部輸送障壁の制御及び輸送障壁の幅や形成位置等の構造の特徴について発表され,JFT-2Mからは重イオンビームプローブを用いたHモード遷移時の空間電位の詳細な測定が発表されました。さらに,半導体プロセスプラズマ中の負イオン密度測定とイオンシースの影響,GAMMA10装置からX線計測に基づいた新しいプラズマ閉じ込め電位計測法の提唱及びペレット入射による軸方向電位分布の変化,TS-3装置におけるプラズマ合体を用いた球状トカマクの急速加熱実験が発表されました。また理論からは,抵抗性インターチェンジモードおよび抵抗性ドリフト波モードの非線形過程からポロイダルシア流形成のシュミレーション,Hモード遷移との関連が指摘されている抵抗性ドリフト-アルヴェン不安定性の線形解析結果,電流拡散バルーニングモードにおける電子の反磁性効果,有理面近傍のプラズマの慣性を導入した境界摂動による強制再結合解析が発表されました。

サマリーセッションでは,各研究発表の目的・ユニークな点,対象プラズマのパラメータ,空間・時間スケール,アプローチ方法等を整理し,各研究の関連性や将来の課題について議論を行いました。特に電場と輸送の観点からは,電場の重要性は理論及び実験結果の解釈・解析において広く認識されるようになったが,電場をHIBPやMSE計測により直接測定した例は少なく,因果関係の検証のためには空間・時間の高分解能計測とともに揺動の波数スペクトルの測定が今後の課題として挙げられました。