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先進プラズマ研究開発

JT-60SA統合試験運転

掲載日:2021年1月14日更新
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JT-60SA統合試験運転の状況(令和3年1月)

令和3年1月13日、平衡磁場コイルの1台(EFコイル-2)に初めて電力を供給し、最大1kAの電流を流すことに成功しました。トロイダル磁場コイル電源は定格まで、平衡磁場コイル電源は定格の50%までを目標として試験を進めています。JT-60SAの超伝導コイル用電源は全部で11系統あるので、各電源を単独で動作させる通電試験から始めています。その後、プラズマ放電時と同様に複数のコイルに同時に通電する複合通電試験を実施する予定です。

JT-60SA統合試験運転の状況(令和2年12月)

超伝導コイルの冷却に続き、真空容器を200℃まで加熱する「ベーキング」を実施しました。真空容器や真空容器内機器の表面から水分やその他の不純物を十分に追い出し、高品質のプラズマ生成に必要な超高真空を得るために重要なプロセスです。不純物が多すぎると、プラズマの確実な生成が妨げられる可能性があります。特に、真空容器内中心支柱の約50%と真空容器上部に設置されているダイバータ部分に設置されている炭素タイルに吸着している水分を「ベーキング」によって取り除くことが重要です。

ステンレス製の真空容器は二重壁構造となっており、内殻と外殻の間にヒーターによって加熱された高温の窒素ガスを通すことによって加熱することができます。真空容器を「ベーキング」している期間は、真空容器からの熱が超伝導コイルに伝わらないようにするために設置してある熱遮蔽体に届く熱が大幅に上昇するため、熱遮蔽体を冷却するために多くの液体窒素を消費します。

JT-60SA統合試験運転の状況(令和2年11月)

那珂核融合研究所では、今年3月末にJT-60SAのクライオスタット上蓋部が設置され、JT-60SA本体の組立が完了しました。その後、超伝導機器の一部や配管等の関連機器の組立てを進めてきました。そして、共通架台、冷媒配管、クライオライン、電子サイクロトロン加熱用導波管などの組立てが完了しました。

関連機器の組立てと並行して、個別部ごとのリーク試験や真空排気装置の試運転などの統合試験運転を進めてきました。2008年にJT-60Uの運転が終了されて以降12年ぶりの本格的なトカマク装置の運転再開になりますので、プラズマを用いた統合試験運転の準備の一環として、各種インターロックの動作試験やプラズマ運転を模擬したシーケンスを流して統括制御設備、本体設備、加熱設備、計測設備などの協調動作を確認する統合リンケージ試験を実施し、各設備間の通信やデータ収集が正常に行えることを確認しました。

そして、真空容器の排気を開始しました(図1)。真空度は順調に下がり、真空容器260ヵ所、断熱容器であるクライオスタット270ヵ所、計530ヵ所のリークテストを実施し、リークがないことを確認しました。また、ヘリウム冷媒系統の配管にもリークがないことを確認しました。

真空容器の排気開始時の中央制御室真空度を表示した大画面モニタ
図1 真空容器の排気開始時の中央制御室(左)と真空度を表示した大画面モニタ(右)

リークテストに引き続き、真空容器を50℃に維持するベーキングを開始しました。超伝導コイルを冷却することに伴い真空容器の温度が低下することを防ぐため、JT-60SAの運転中は真空容器を50℃に維持します。真空容器を50℃に維持するベーキング開始の翌日から超伝導コイルの冷却も進めています。超伝導コイルに温度差が生じると、熱応力によって機器が破損する恐れがありますので、日欧の専門家が各部の温度変化を確認しながら慎重に冷却を進めています。

JT-60SA COOLDOWN
http://www.jt60sa.org/jt60sa_tmon/
クリックすると現在の真空容器の温度と超伝導コイルの温度がご覧いただけます。

コイルの冷却は順調に進み、約18ケルビンで超伝導状態になるニオブ錫導体を用いた中心ソレノイド の抵抗がゼロに低下し、約12時間後、約10ケルビンで超伝導状態になるニオブチタン導体を用いたトロ イダル磁場コイルと平衡磁場コイルの抵抗がゼロに低下しました。これにより、JT-60SAに設置された全ての超伝導コイルが超伝導状態になることを確認するという重要なマイルストーンを達成しました。

引き続き、コロナウイルス感染への対策を取りつつ、日欧で協力して、初プラズマを目指します。