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先進プラズマ研究開発

JT-60電源 | トロイダル磁場コイル電源

掲載日:2018年12月26日更新
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トロイダル磁場コイル電源

特徴
 最大52.1kAの電流を通電してトロイダル磁場コイルを励磁して真空容器中心で最大4テスラの磁場を発生させることができる電源です。
 本電源は、275kVの商用系統から受電する系統電力系電源(系統系)と電気エネルギーを回転エネルギーとしてフライホイールに一時的に蓄え、放電時に放出・発電する電動発電機電力系電源(MG系)から構成されています。

電源構成

  • 系統系
     那珂研究所の中央変電所より275kVの商用電力を受電します。商用系では、電圧の高調波を低減するために、高調波フィルタを、負荷変動が大きいために力率改善コンデンサなどが設置されています。
    那珂研究所中央変電所の写真 電力系統模式図
    那珂研究所 中央変電所
    東京電力275kV系統より直接受電しています。
  • MG系
     放出エネルギー4GJのフライホイール付電動発電機とその駆動・制御を行う19MWのサイリスタ駆動装置及びトロイダル磁場コイル電流のフィードバック制御を行う発電機の励磁装置があります。
    トロイダル磁場コイル電源電動発電機 トロイダル磁場コイル電源電動発電機の写真

     トロイダル磁場コイル電源は、系統系、MG系からの交流電力を、交流-直流変換器(水冷式ダイオード整流器)により直流電力に変換して、トロイダル磁場コイルに供給します。

    ダイオード整流器の写真 ダイオード整流器
     定格電流  53kA
     定格電圧  6.25kV

    系統系は4直列4並列のダイオード整流器で構成され、MG系は4直列2並列のダイオード整流器で構成されており、これらの変換器が直列接続されています。

電源制御系 トロイダル磁場コイル電源の制御システムは、大きく3つに分類されます。

  • 運転管理系
     装置・機器の運転状態を監視します。
  • 放電管理系
     コイル励磁のための装置・機器のシーケンス制御、つまり電動発電機の再加速、等を行います。
  • 保護インターロック系
     装置・機器の安全・保護を行います。
電源制御系模式図 電源制御系模式図

 

 これらの制御システムは、CAMAC(Computer Automated Measurement and Control)規格のクレートで構成されていますが、CAMACクレートの製造中止および上位計算機(全系)におけるVMEbus規格システムの導入に伴い、運転系をVMEbus規格のクレートに置き換えました。今後、放電系もVMEbus規格のクレートに置き換える予定です。

トロイダル磁場コイル運転パターンのグラフ トロイダル磁場コイル電源
運転パターン

 


トロイダル磁場コイル電源電動発電機



 トロイダル磁場コイル電源電動発電機は、4GJのエネルギーを蓄えることができます。4GJという莫大なエネルギーを蓄えるために、電動発電機の回転子の下部に107トンのフライホイール6枚を直結しています。従って、回転体の総重量は、1千百トンに上り、そのはずみ車効果は、16,000ton-m2となります。

 

電動発電機スペック
出力 215,000kVA
電流 6,896A
電圧 18,000V
力率 0.85
回転数 600〜420rpm
周波数 80〜56Hz
はずみ車効果 16,000ton-m2
放出エネルギー 4,020MJ
駆動方式 サイリスタ駆動
駆動装置出力 19,000kW

トロイダル磁場コイル電動発電機

 
フライホイール(1枚) フライホイール(1枚)
直径6.6m、厚さ400mm、重量約107トン