ITER用中心ソレノイド・モデル・コイル(CSMC)パルス通電試験のための電力供給
国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動の1つとして、中心ソレノイド・モデル・コイルの開発が、日本、欧州連合、ロシア及び米国の共同で1992年から開始されました。通電試験のうち、パルス通電試験は、JT-60ポロイダル磁場コイル電源を用いて、核融合工学部超電導磁石研究室を中心とする国際共同実験チームにより行われました。
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中心ソレノイド・モデル・コイル
パルス通電試験には、JT-60ポロイダル磁場コイル電源のF電源とV電源を用いました。通電試験のために、以下のような電源の改良を行いました。
- 電動発電機の長時間運転
F電源を用いたパルス通電試験では、電流±46kA、通電時間80秒が必要となる。プラズマ通電でのMG運転時間は、15秒であるために、80秒間の電動機定格出力運転では、界磁電流のI2t値を超過する。そのため、電動発電機の出力電圧を18kVから11kVに変更した。このことにより、F電源の定格値は以下のようになりました。電源名 定格 Fコイル電源 電流 ±46kA
電圧 ±1.5kV - 接地抵抗器の改良
パルス通電時にコイル側で地絡が発生した場合、コイルの蓄積エネルギー(640MJ)が接地抵抗器で消費され、損壊する恐れがある。そのため、高抵抗の接地抵抗器(10Ω-15MJ)を設置し、パルス通電に対応した。 - 電源保護のためのバイパススイッチの導入
コイル通電時に異常が発生した場合やコイルがクエンチした場合に、保護投入器で主回路を短絡して電源を保護するが、保護投入器だけでは通電容量が足りないため、バイパススイッチを並列に設置した。
バイパススイッチは、核融合や超伝導電力貯蔵コイル(SMES)などのコイル保護用直流遮断器に使用できるように開発しました。 |
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通電結果
2000年5月、7月に行われた中心ソレノイド・モデル・コイルパルス通電試験を無事に遂行することができました。 最大電流 : 46kA 最大磁場 : 13T 蓄積エネルギー : 640MJ dB/dt : 0.4T/s,-1.2T/s |
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