JT-60で、ITERの連続運転方式を実証
− 連続運転用電流発生方式と高密度・高閉じ込めを同時に実現 −
平成12年12月5日
日本原子力研究所
日本原子力研究所(理事長 村上健一)は、臨界プラズマ試験装置(JT-60)において、世界で初めて、国際熱核融合実験炉(ITER)の連続運転に必要な高密度・高閉じ込めと連続運転用電流駆動を同時に達成した。
ITERは、トランスの原理で電流を流す運転方式(電磁誘導方式)と連続して電流を流す運転方式(連続運転方式)の二つの運転方式を持つ。連続運転方式では、高密度と高い閉じ込め性能を同時に実現することが求められていた。
原研は、JT-60で開発した自発電流の割合の高い運転方式(負磁気シアプラズマ方式)に中性粒子ビーム入射装置と高周波入射装置を組み合わせて、トカマク型装置の連続運転方式の改善に関する研究開発を進めてきた。
このほど、(1)プラズマの断面の三角度を高めることによって密度の高い領域でのプラズマ閉じ込め性能を大幅に改善するとともに、(2)プラズマと高周波用アンテナとの距離を一定に保つ高速・高精度のプラズマ制御法を開発して、高閉じ込め性能、高密度の状態を維持したまま連続運転の方式でプラズマ電流を流すことに成功した。
今回の研究成果は、ITERで目標としている高性能プラズマの連続運転をほぼ実証し、ITERにおける連続運転を実現できる見通しを得たものであり、世界の核融合研究開発へ大きく貢献する。
尚、今回の成果は、第11回国際土岐コンファレンス(12月5日〜12月8日)において発表する予定である。