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先進プラズマ研究開発

第2回 若手科学者によるプラズマ研究会 | 研究会の概要

掲載日:2018年12月26日更新
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【本研究会は終了いたしました】

主題:プラズマ中の揺動と不安定性

平成11年2月15〜17日開催

研究会の概要

第2回若手科学者によるプラズマ研究会を平成11年2月15日から17日の日程で開催し、今回の主題「プラズマ中の揺動と不安定性」のもとに議論を行いました。昨年の第1回研究会(主題:プラズマ粒子制御)では初回ということもあり参加大学・研究機関をプラズマ核融合学会からの推薦も含めて原研側で予め決めていましたが、今回の第2回研究会では本学会誌の折り込みにより一般公募でも参加者を募りました。これに対して一件の応募がありました。

今回の主題の「プラズマ中の揺動と不安定性」に関して、各大学・研究機関より様々な閉込め方式、実験及び理論的アプローチからの発表が行われました。研究会の参加者は約30名であり、その内訳は大学院生が10名、若手の大学の先生及び大学の研究員が10名、原研の若手研究者が10名でした。このことからも当研究会の雰囲気がおわかりいただけると思います。講演の内訳は、特別講演が3件、一般講演が12件あり、磁場閉込めからはト−ラス系のトカマク・ヘリカル・RFPと直線系のミラー、そして慣性核融合からの発表がありました。研究会は核融合科学研究所の山田弘司氏による「トロイダルプラズマの包括的理解に向けて」と題された特別講演で幕を開けました。昨年から稼動し始めた大型ヘリカル装置LHDにおける最新の実験成果の紹介を含めて、ヘリカル装置とトカマク装置両者で共通する物理がおおいにあり両装置の比較により有益な包括的理解を促進できることを、幾つかのトピックスを通して紹介されました。また日本原子力研究所の諫山明彦氏からは特別講演「JT-60U高性能放電におけるMHD不安定性」と題して、JT-60Uの定常高βp Hモード放電及び臨界プラズマ条件を達成した負磁気シア放電においてその到達性能および定常維持を制限している不安定性の特性とその回避の方法が紹介されました。慣性核融合では大阪大学の砂原淳氏から特別講演「レーザー核融合における流体不安定性」が行われ、レーザー核融合で最も重要な課題の一つである爆縮時の流体不安定性の物理的理解・制御に向けた実験・理論シミュレーションの両面からの研究成果が紹介されました。

一般講演は実験7件、理論5件と、前回に比べて理論の件数が増え、実験と理論との交流がより活発に行われました。磁気リコネクション関連では、ト−ラスプラズマ合体やコンパクトトロイドのト−ラスプラズマへの入射に関する実験、理論シミュレーションの発表が行われました。トカマク関連では、実験からはWT-3でのECCD(電子サイクロトロン電流駆動)による鋸歯状振動制御、TRIAM-1Mでのプラズマ位置制御に対するニュ−ラルネットワークの応用、理論からはm=1内部崩壊での自己生成径電場のシミュレーション、負磁気シア配位でのITG(イオン温度勾配)モードと交換型不安定性のシミュレーションが発表されました。ヘリカル系では、LHDでのNBI長時間加熱実験、低シアのヘリカル配位であらわれる非共鳴モードのシミュレーション結果が紹介されました。さらに、RFP配位の形成・維持の制御を目的とした波動励起実験、GAMMA10でのAIC(アルフヴェンイオンサイクロトロン)不安定性とその軸方向閉込めへの影響、実験で観測されている熱パルス伝播の速い応答を説明するために熱流束の長距離相関を導入した非局所モデルの研究発表も行われました。

このように多岐にわたる発表があり、口頭発表に先立って行われた初日のポスターセッションでは、各研究の背景・動機から実験あるいは理論的手法、結果の詳細についての議論が活発に行われました。ここでの討論が2日目からの口頭発表において有意義かつ円滑な議論に役立っていたようです。若手研究者とくに学生の方にとっては、40分間の口頭発表での様々な側面からの議論は有意義なものであったことと思います。

サマリーセッションでは、各研究の現状における課題やその解決に向けた実験・理論的アプローチをキーワードに、各研究の物理機構、計算手法等の関連付けを試みました。実験と理論の研究者同士での互いの研究の交流・フィードバックのための本音の意見交換も行われ、研究会の目的をある程度達成できたのではないかと思います。