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先進プラズマ研究開発

1MAのプラズマ電流

掲載日:2024年1月26日更新
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平衡磁場コイル(EFコイル)と中心ソレノイド(CS)の通電試験を行い、10月には最大3kAの通電を実施できました。更に、各コイルがクエンチ保護回路により±3kAから安全に放電できるとともに、高電圧が加えられた際の各コイルの迅速な応答を確認するための試験も行いました。

次に同時に通電するコイルの数を徐々に増やし、全部で10個あるすべてのEFコイル及びCSをプラズマ運転時と同様に同時に作動させ、トロイダル磁場コイル(TF)にも通電して複合通電試験を行い、その後、トカマクプラズマを生み出すプラズマ運転を開始しました。

電子サイクロトロン共鳴加熱(ECRH)は、プラズマの発生を補助するために使用されます。不必要なリスクを避けるためEFコイル及びCSにかかる電圧を制限してプラズマ運転を始めたため、ECRHによる補助は重要です。少量のヘリウムガスを真空容器に入れ、強力なジャイロトロンによって生成されるギガヘルツ周波数のマイクロ波を入射しガスをイオン化(プラズマ化)させることができます。

最初のトカマクプラズマは10月23日に生成でき、約130kAものプラズマ電流が流れました。以降のプラズマ運転では、プラズマ電流を増加させ、プラズマ電流・形状・位置の制御を最適化するために数多くの試験を行ってきました。

11月初旬にはプラズマをダイバータ配位へ制御することに成功しました。ダイバータ配位は、プラズマの端部の磁力線をXの形にすることで、閉じ込め磁場から逃れた粒子をダイバータと呼ばれる特定の領域に流し込むことができます。これによりプラズマの純度が向上し、より効果的なプラズマの閉じ込めが可能になります。

EFコイル及びCSの電流を5kAに増やすことでプラズマ電流を増やし、その持続時間をさらに長くすることができました。12月1日に開催したJT-60SA 運転開始記念式典では、プラズマ電流1MAのダイバータプラズマの実演が行われました。