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先進プラズマ研究開発

第5回 若手科学者によるプラズマ研究会 |​ 研究会の概要

掲載日:2018年12月26日更新
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主題:周辺プラズマ及びプラズマ・材料相互作用

平成14年3月4〜6日開催

研究会の概要

特別講演2件を含め全12件の発表が行われた。

特別講演として「LHDにおける周辺・ダイバータプラズマ,及びプラズマ・対向壁間相互作用研究」(核融合研 増崎)と「JT-60Uにおける不純物,熱粒子制御」(原研 仲野)の2件が熱粒子制御や不純物制御に関する成果として報告された。LHDではヘリカルダイバータ配位の複雑な磁場構造とプラズマ特性との関係の研究が進展している。ダイバータ板での粒子デポジション分布は磁力線追跡計算結果と定性的に一致し,磁力線構造が熱・粒子の輸送に大きく影響していることが示された。JT-60Uからは、化学スパッタリング率の壁温依存性を従来の手法のCDバンド光だけでなく低温高密度化により重要となるC2バンド光を同時に測定して詳細に調べ,化学スパッタリングによる炭素発生量が低壁温運転によって抑制できることが報告された。

一般講演10件は,周辺プラズマ6件とプラズマ材料相互作用4件が行われた。QT-U装置(Qマシン)ではプラズマ中のフローシアの役割を解明するため,磁力線平行・垂直フローシアを独立に制御し,フローシアと不安定性との関係を定量的に研究している(東北大 金子・角山)。JFT-2MからはL/H遷移時の周辺プラズマにおける浮遊電位の構造が報告された(東大 永島・山田)。Hyper-I装置では,磁化プラズマ中にプラズマホール(密度空洞)の形成を観測し,それが散逸性渦(Burgers渦)であることを見い出した(名大 永岡・核融合研 吉村)。

HYPER-II装置で観測されたプラズマホールのイメージ

ヘリオトロンJからは周辺磁場構造の効果と不純物入射実験が報告された(京大 洪・川染)。MAP-II装置からは,非接触プラズマ中での体積再結合の素過程において注目されている負イオン密度の測定法が紹介された(東大 梶田・門)。ITER関連では,ダイバータ条件における同時堆積カーボンダストと模擬ディスラプションで作製したカーボンダスト中の重水素保持特性(北大 吉田)とITERのアーマ材表面に形成される可能性のあるカーボン・タングステン混合材の損耗特性が議論された(原研 谷口・江里)。JT-60Uの第一壁に使用したカーボンタイル表面のSEM観察結果から,堆積膜厚分布やトリチウムインベントリのポロイダル分布が報告された(原研 正木)。また,ダイバータプラズマにおけるダストとシース構造の議論(八戸工大 日渡・谷口),ペブルダイバータ概念やその排気特性,及びペブル材の選択による粒子種の選択排気の可能性が示された(阪大 奥井・北原)。

サマリーセッション(座長:門(東大), 金子(東北大))では,(1)各研究の関連性や共通する物理,(2)相補的研究展開の可能性,等について議論を行った。(1)では,まず各発表を物性的観点から,プラズマ相(無衝突な集団運動が支配),気相(原子・分子の衝突過程が支配),固相(固体壁とプラズマの相互作用)に分類し,相互関係の議論を行った。また閉じ込め改善プラズマとの両立性も重要であると議論された。(2)では,閉じ込め装置の研究と基礎研究との相互関係について議論を行った。両者の成果を直接結び付けることは難しいが,基礎研究における理想的な実験条件下での詳細な計測から導かれる本質的な物理法則は,閉じ込め装置での複雑な現象の理解を促進し,一方で閉じ込め装置からの課題提供が基礎研究の動機付けになるとの議論がなされた。また基礎研究は大型装置への適用よりも,純粋に物理的に面白い現象を探究することが重要との議論もあった。固相側の研究はプラズマ条件を固定し,一方プラズマ側は壁の性質を固定して考えており,成果の進展の整合性をとりながら研究を進めれば効率的との議論がなされた。詳しくはサマリーセッションを参照。

研究会2日には、研究会で発表のあった東大のMAP-II装置の見学も行われた。