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先進プラズマ研究開発

第5回 若手科学者によるプラズマ研究会 | 質疑応答

掲載日:2018年12月26日更新
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主題:周辺プラズマ及びプラズマ・材料相互作用

平成14年3月4〜6日開催

質疑応答

 発表者:東北大 金子、角山アブストラクト発表VG

Q(大山):プラズマ生成電極の間隔を変化させるとどうなるのか。
A:現在の装置では間隔を変化させることはできないが、もしできたとすればフロー 速度の空間変化率、すなわちシアー強度が変化するので、揺動強度等の特性が変化すると思われる。

Q(坂本):フロー速度の曲率を変化させると密度揺動と電位揺動の位相が反転して揺動が抑制されるという論文があったが、どうなのでしょうか。
A:理論では、フロー速度の曲率で揺動が励起されたり抑制されたりするという報告 はあるが、実験でそのような結果が実際に得られているのかは、詳しく調べていない のでよく分からない。

 発表者:名大 永岡、核融合研 吉村アブストラクト

Q:プラズマホール構造はヘリウム以外でもできるのか。
A:アルゴン等、他のガスでも目視の範囲ではぼんやりしたものはできるが、はっきりとした密度構造はヘリウムでしか観測されていない。

Q:軸方向の流れの向きは何で決まるか。
A:ECR点より下流では下流向きになるのが一般的。しかし、Hole部の流れがどう決まっているかは不明。

Q:軸方向流れのパターンは軸方向どこでも同じか。
A:測っている範囲ではそうである。縦軸流束、横軸径方向とした分布において上下のシフトはおこる。ECR点を境にHole部での流れは向きが逆転することになるが、分布形としては変わらない。

Q:磁場を反転するとどうなるか。
A:θ方向の流れは反転するが、軸方向の流れの向きは変わらない。径方向の流れも変化しない。

Q:軸方向にプラズマの構造の変化はないのか。
A:軸方向流れは軸方向位置によって変わるが(パターンは変わらず)、軸方向には制約条件が少ないので、流れの変化がプラズマ構造を変えることはない。実際密度は 軸方向で変わらない。

発表者:原研 仲野アブストラクト発表VG

Q(吉田):ダイバータ部での電子温度が40eV程度の時にはC2ラインが見えなかったが10eV程度では見えている。両者のダイバータ板温度に違いがあるのではないか。
A:ベーキング温度(300度)+せいぜい50度である。

Q(増崎):JT-60Uで得られたメタンとC2の化学スパッタリング率の比は基礎実験で得られた数字と比べて一致しているのか。
A:イオンビームを炭素タイルに照射するような実験と比較すると、やや高めである(~50%に対して本実験では~80%)。ただし、原子ビームを照射する実験と比較するとかなり近い値になる。また、イオンビームと原子ビームを同時に照射する実験では、イオンと原子の割合によって2*C2Hx/CH4の比は変わりうることが報告されている。トカマクのダイバータ板では、イオンだけでなく、リサイクリング原子にも曝されるのでイオンビーム照射実験と直接比較するのは難しい。

Q(吉田):物理スパッタリングは考慮したのか。
A:本解析では、炭素不純物ソースとしてダイバータ板のみを考えている。一方でダイバータ板以外の真空容器タイルをソースとして考慮すべきであり、その研究も進めている。その上で、コアプラズマに含まれる炭素量とスパッタリングによる炭素発生量を考えれば、より統一的な理解が進むと思われる?

Q(金子):ボロナイゼーション後にショット数とともに酸素量が増えていくのは何故か。
A:現状ではよく分かっていない。

Q(門):ボルツマンプロットでn=6はサハ平衡でフィットが良いか。
A:n=6は測れていない。n=8がややずれているが他のラインがかぶっているためであり、フィットは良い。

Q(門):水素分子がダイバータ板すれすれのところでしか観測されていないということは、デタッチに効いていないのか。
A:まだ、解析は進行中であるが、現状では明確な回答は出来る段階ではない。

Q(吉田):ダイバータ板のどこがスパッタリングが多いのか。
A:ヒットポイント部である。

発表者:東大 梶田、門アブストラクト発表VG

Q:H-イオン密度の見積もりはどうしているのか?振動状態の分子密度はどの様に評価しているのか。
A:MAP-IIにおいては,分光計測から水素分子の振動励起温度が3500~5500K程度と評価されており,その結果から得られる典型的な振動励起準位4以上の振動励起分子密度を計算に用いている。

Q:振動状態の分子密度が評価できるのであれば、それは大きな成果ではないのか。
A:実験的には可視光計測では高励起準位の密度を求めるのができず,精度よく求めるのは困難。

Q:H-イオン密度は何によって変化しているのか。
A:水素の圧力と電子温度である。

Q:H-イオンの密度の評価はどうなったのか。
A:測定上の問題でまだ評価できていない。

Q:プローブで電子を集める体積は、密度を評価するときに必要ないのか。
A:電子シース領域の電子のみを捕集するため,ΔI/Idc=[H-]/neとなり,負イオン密度を求めることが出来るため,体積を考慮する必要はない。

Q:レーザーパワーを上昇させて照射すると、やがて全ての負イオンの電子が取れる。従って、レーザーパワーに対して負イオン密度の図を書くと飽和する曲線になるはずで、そのような飽和現象は見えているか。
A:すでに確認されているが,飽和値の評価に関しては正確な評価には至っていない。

Q:光脱離信号の特性は波長を変えると変化するか。
A:信号強度のレーザー強度依存性は変化するが,光脱離信号の時間的特性は変化しない。

発表者:北大 吉田アブストラクト発表VG

Q(竹永):以前の結果(他の研究結果)と違うのであれば、なぜ違うかを明確にすべきである。
A:カーボンダストを堆積しながら水素吸臓しているので、以前の結果である水素ビー ムを打ち込むやり方とは異なる。

Q(竹永):ガス圧が高くなるにしたがって水素吸臓量が大きくなるとあるが、違っているのは低圧の一点のみで、その他のデータは変化していないのでは?
A:条件の違い等を考慮する必要がある。

Q(竹永):水素吸臓量は基盤温度が上がるにしたがって明らかに増えており、前の図でも基盤 温度にしたがって大きくなるといっていたのに、フィッティング直線は温度依存性を持たないように引いている(水平線)のは どういう意図か?
A:基盤温度が高い方が吸蔵量が多いという理由もないため。

Q(仲野):アーク放電で製作したダストの水素吸蔵量と電子ビーム照射で製作したダストの水素吸蔵量の絶対値の違いは?
A:およそ、0.2に対して、0.06である。

Q(仲野):門さん、金子さんのコメント(既存のデータH/C~0.4と今のデータが違うのはどういう理由によるか?)に対して、ダストであることが重要で炭素タイルの水素吸蔵量と違うのはそのあたりに理由があるのでは?
A:その通りである。

Q(門):ダストの再堆積過程でプラズマとの相互作用が効いているのか、いないのか、という観点から、昇温脱離後にまたアーク容器に戻して、放電させずに重水素雰囲気にさらすだけでは再度昇温脱離をやっても同様な脱離スペクトル得られないのか?
A:その通り、あくまでダストと重水素との同時堆積によるスペクトルである。

Q(増崎):同時堆積の効果について
(1) ダスト生成のためのアーク放電のプラズマパラメータは?
(2) 重水素の吸蔵量は基盤の温度に依存しないことに対して、イオン衝撃による脱離が主として効いているため、と説明しているが、重水素はどの段階でダスト中に吸蔵されるのか?
(3) TDS後にダストを重水素雰囲気中に置くと重水素ガスを吸蔵するか?
A: (1) 計測していない。放電電流は50A。
(2) 基盤上。
(3) ほとんど吸蔵しない。同時に堆積することが重要。

Q(増崎):ディスラプション模擬の場合は取り込まれる重水素は少ないということだが、この場合は膜周辺にイオンはなく重水素ガス雰囲気中であるため、と理解して良いか?
A:その通り。

 発表者:原研 谷口アブストラクト発表VG

Q(大山):ITERでのタイルの損耗率の考慮する時に炭素の再堆積層ができる事を仮定しているが、スパッタされた炭素のうちどれくらいが再堆積するのか。
A:80-90%。
C(仲野):DIII-DのDiMESでは80%。ITERでは安全見て90%として計算。

Q(竹永):スパッタリング収率として10%ということか?実際にJT-60Uの実験結果も同程度の値になっているが。
A:そうである。

Q(竹永):ストライクポイント近傍と周辺というのは実際の位置でどこを指しているのか?
A:ストライクポイント周辺は2cmくらい離れた位置である。同じタイルのから試料は 取り出している。

 発表者:原研 正木アブストラクト発表VG

Q(吉田):ダイバータ内足では再堆積が支配的で、外足では損耗が支配的である理由はなにか。
A:粒子束は内足の方に多く来ており、熱流束は外足の方に多く来ているためと考える。JETやDIII-D等他の装置でも同様である。

Q(吉田):プラズマ側の原因により、内足と外足ではやってくる炭素の量が違うということか。
A:ダイバータへの粒子束には内外非対称性が存在する。ドリフトの効果、ダイバータの形状効果等が考えられる。最近は、プライベート領域を通した粒子の流れがあることが示されており、シミュレーションでも同様な現象が再現されている。

Q(吉田):外足ダイバータへも炭素が来ているのに損耗しているのか。
A:その通り。
C(竹永):来る炭素と損耗のバランスで決まっていると考えられる。

Q(吉田):(粒子束は内足に、熱流束は外足により多く流れており、逆になっているのは何故か。
C(竹永):ExBドリフトによるスクレイプオフ層におけるプラズマの流れ、形状効果が考えられる。ダイバータ板上流側では熱流束は内側、外側どちらも似ているが、内側の方が粒子束がより多く流れて来て圧力が上がる為に放射が大きくなり、結果的にダイバータ板への熱流束が違うと解釈できる。

Q:OFMCの計算で熱化したトリチウムの割合は?
A:今後評価する。

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