将来のプラズマ・核融合研究を担うのは、現在の若手科学者です。若手科学者が行っている研究を紹介し合い、将来を見据えた研究の方向性や他分野への広がりについて活発な意見交換や議論を行う場として、量子科学技術研究開発機構では若手科学者の方々による研究会を毎年開催してきました。一昨年、昨年度は新型コロナウイルス感染症に関する状況を鑑みてオンラインで開催しましたが、会合の趣旨と昨今の国内対応の状況を踏まえ、今回は対策に慎重を期した上で現地で開催することとしました。皆様のご参加をお待ちしております。
量子科学技術研究開発機構 量子エネルギー部門 先進プラズマ研究部
井手 俊介
主題:若手研究者による核融合研究の進展 -小型から大型装置までの計測・制御技術の共有-
核融合炉心プラズマでは不純物や加熱量などの様々な要素が相互に影響しあうため、安定なプラズマ維持のためには、各要素に関連した物理量を最低限の機器で正確に計測し、背景にある物理を理解した上で適切なアクチュエータによる制御を行う必要があります。これまで「若手科学者によるプラズマ研究会」では、幅広い研究領域を取り扱い、核融合炉の実現を志 す若手科学者が集まって研究分野を超えた議論を行う場を提供して参りました。核融合炉を構成する各要素において、核融 合炉実現に向けた個々の目標を達成するために、これまでに多くの計測・制御技術が開発されてきました。その一方で原型 炉ではITERを超える過酷な放射線環境下で炉心プラズマの立ち上げ、燃焼、維持を行うための計測・制御を実現する必要があり、既存の技術では解決できない技術課題が多く残されています。このような技術課題の解決のためにはこれまで大学や研究所などの様々な規模、サイズの装置で蓄積されてきた知見を共有し、機器の放射線耐性の評価をはじめとした地道で泥臭い開発とこれまでの常識を破る独創的な発想を車の両輪として技術を発展させていくことが不可欠です。
そこで、今回の研究会では「若手研究者による核融合研究の進展 -小型から大型装置までの計測・制御技術の共有-」を主題として、各要素での研究領域における現状や課題を共有し、核融合炉の実現に向けた道筋をつけることを目指した研究発表と議論を行います。一般講演に加えて、計測・制御の研究領域から次期装置に向けた研究の招待講演を行います。各自の研究領域に留まるだけでは掴めない核融合研究の全体像を把握し、次期装置を担う若手研究者の皆様が核融合炉実現に向けた研究を遂行する一助となればと考えています。
参加を希望される方は、下記ホームページより参加申込みフォームをダウンロードしていただき、必要事項をご記入のうえ 令和5年2月3日(金)迄に電子メールで下記連絡先へ送付願います。ご不明な点につきましては下記までお問い合わせください。旅費につきましては、財源が限られているためご希望に添えない場合もありますのであらかじめご了承ください。 なお、研究会では幅広く知見を共有するための口頭発表と、より詳細な議論のためのポスター発表を合わせてお願いして います。研究歴の浅い学部学生の方などは修士・博士課程の方と2人1組で参加し、ポスター発表のみを行うことも可能です。
開催日時 | 令和5年3月1日(水)~ 3月3日(金) |
---|---|
開催場所 | 量子科学技術研究開発機構 那珂研究所(茨城県那珂市向山801-1) |
ホームページ | |
連絡先 |
〒311-0193 茨城県那珂市向山801-1 |
参加申込みフォーム | 参加申込みフォーム2023 [Excelファイル/25KB] |
申込み〆切 | 令和5年2月3日(金) |
予稿〆切 | 令和5年2月20日(月) |
研究会プログラム
講演予稿
招待講演者リスト
- 「小型装置から原型炉までの幅広い領域での計測」
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 江尻 晶 - 「GAMMA 10/PDXおよびPilot GAMMA PDX-SCにおける計測と制御」
筑波大学 プラズマ研究センター 吉川 正志 - 「流体の画像計測手法と核融合プラズマへの応用」
広島大学大学院 先進理工系科学研究科 鈴木 康浩 - 「順方向シミュレータにより実現可能なモデル予測制御」
筑波大学 伊達 央 - 「QUESTの長時間運転における計測と制御」
九州大学 応用力学研究所 長谷川 真 - 「JT-60SA 計測器開発の概要」
量子科学技術研究開発機構 仲野 友英 - 「ITER計測装置の開発と挑戦」
量子科学技術研究開発機構 波多江 仰紀