学会製造基準準拠のQ&A
1.GMP製造について
質問一覧
Q1:学会製造基準とGMPの違いは何ですか?
Q2:なぜGMPが必要なのでしょうか?
Q3:PET薬剤は医師の責任の下で製造すれば、わざわざ管理体制を作る必要はないのではないでしょうか?
Q4:何から手を付けてよいかわからないのですが、どうすれば良いでしょうか?
Q5:学会基準を準拠するにあたり、導入予算はどのくらい必要なのでしょうか?
Q6:維持費はどのくらいかかるのでしょうか?
Q7:環境検査や、試験検査の機器の校正はなぜ必要なのでしょうか?
Q8:試験検査や清掃を委託する場合には業者はどこがよいでしょうか?業者を決める時に見なければならないポイントは何かありますか?
Q9:相談するにはいくら必要となりますか?
Q10:最低必要なのはどの書類ですか?
Q11:手順書と様式があれば、基準書は必要ないですか?
Q12:基準書や手順書は文例集の通りでなければならないのでしょうか?省略できるところはないですか?
Q13:基準書や手順書作成を外注できないですか?
Q&A
A1:GMPとは、医薬品や医薬部外品の製造管理と品質管理を目的とした省令として、厚生労働省が施行したものです。院内製造PET薬剤も医薬品と同様の製造管理の下、製造するのが妥当と思われますが(日本メジフィジックス社のFDGはGMP製造)、GMPを遵守するためには大掛かりな管理体制・施設設備を要するため、病院等の医療機関で実現することは容易ではありません。学会製造基準では、品質と安全性を担保するために必要最小限の項目に限定し、医療機関でも実現可能なレベルの製造管理を規定しています。
A2:人の記憶はあやふやで、思い込みなどから間違いや錯覚を起こします。また、慣れてくると省略や手抜きもしますし、情報の伝達や指示は、本人が思っているほど相手に伝わっていません。
PET薬剤を製造する際にこれらの間違いが生じないように、文書による指示や報告、記録が必要となります。また、定められた手順で作業を正確に行うこと、作業内容を定期的に確認することが品質保証、引いては患者さんの安全につながります。それらを規定しているのがGMPであり、院内製造PET薬剤については、学会製造基準となります。
Q3:PET薬剤は医師の責任の下で製造すれば、わざわざ管理体制を作る必要はないのではないでしょうか?
A3:昨今の医療ニーズの変化に伴って院内製剤のあり方も変容しており、一般社団法人 日本病院薬剤師会「院内製剤の調製及び使用に関する指針」(Version 1.0 平成24年7月31日)において、院内製剤は医療法の下で医療機関の責任下で調製・使用する物であり、薬事関係法規や製造物責任法(PL法)を踏まえ日本薬局方の製剤総則に準拠することが求められる、とされています。院内PET薬剤製造は、試薬や薬事法未承認成分を原料として調製した製剤を治療・診断目的で使用するため、院内製剤のクラス分類でクラスIに相当しますので、医師個人ではなく医療機関の責任の下で製造されるのが適切と思われます。
Q4:何から手を付けてよいかわからないのですが、どうすれば良いでしょうか?
A4:量子科学技術研究開発機構では、学会製造基準の理解と施設の基準準拠整備の方法を解説するための研修等を行っていますので、是非ご参加ください。構造設備の改修または新築等のご相談については、個別にご相談に応じますので、量子科学技術研究開発機構 信頼性保証・監査室
petkansa (at) qst.go.jpへご連絡ください。
Q5:学会基準を準拠するにあたり、導入予算はどのくらい必要なのでしょうか?
A5:既存の構造設備の改修または新築、合成装置の購入については、各施設で費用が大きく異なります。設備機器の購入・校正や衛生管理に必要な維持経費については、「学会製造基準に準拠するための費用」をご参照ください。
Q7:環境検査や、試験検査の機器の校正はなぜ必要なのでしょうか?
A7:測定機器が問題なく稼働していても、表示されている数値が本当に正しいのかどうかは、校正を行わないと保証することができません。機器の校正は、1年に1回以上実施することが求められます。
Q8:試験検査や清掃を委託する場合には業者はどこがよいでしょうか?業者を決める時に見なければならないポイントは何かありますか?
A8:個別の業者を特定してどこが良いか、ということは紹介しておりません。他のPET薬剤製造施設での実績等を鑑みて検討してください。依頼する前には、事前に計画書を提出してもらい、手順に問題がないか、実施項目に抜けがないか、基準値の設定が適切か等の事項を確認しましょう。
A11:基準書とは業務を行う目的や判断が必要となる項目の根拠を記載する文書なので、設置することが望ましいですが、作成する時間や人手が足りないという場合には、判定基準等をきちんと記載してある手順書と様式があれば、運用上問題ないでしょう。
Q12:基準書や手順書は文例集の通りでなければならないのでしょうか?省略できるところはないですか?
A12:文例集の内容は、各施設の状況に応じて修正が必要です。そのままでは使用できません。自施設の製造管理体制に合わない部分は省略する事も可能ですが、学会製造基準で要求されている事項を最低限満たしている事を確認してください。
A13:外注することも可能です。ただし、施設固有の情報である管理体制や施設設備に左右される手順に関しては、外注では作成できない部分となりますので、各施設で決めなければなりません。