クリスタルバイアル
PET薬剤は通常注射剤として製造され、無菌であることが求められます。PET薬剤はろ過滅菌された後、直接製品容器に充填されますが、充填後にPET薬剤を容器ごと滅菌することはできません。そのため、PET薬剤を充填する製品容器の無菌性は大変重要であり、無菌性保証の観点から、密栓したバイアルを滅菌した最終滅菌バイアルがおすすめです。一方、注射剤は日本薬局方の中で、不溶性異物の混入を確認できるよう無色透明の容器であることが求められています。これらのことから、最終滅菌と無色透明の2つの性質を両立したバイアルを使用すればいいということになりますが、実はそういうバイアルの入手は案外難しく、PET薬剤の製品容器でよく使用されるガラス製バイアルでは、最終滅菌のためにγ線で滅菌を行うと茶褐色に変色し無色透明でなくなり、逆にガラスバイアルを外観検査に適した無色透明にしようとすると、最終滅菌法による滅菌は出来ないということになります。
今回紹介しますベルギーのAceptic Technologies社が製造している「クリスタルバイアル」は、ガラスではなくγ線による最終滅菌後も無色透明を保つことが可能でかつ壊れにくい素材の樹脂を使用して作られたバイアルです。樹脂はFDAにより安全性が認められたものを使用し、最終滅菌による無菌性保証もされていますので、安心してPET薬剤製造施設でお使いいただけます。
サイズも様々ありますが、日本では2mL、10mL、20mLの3種類の製品を、環境衛生薬品(株)が販売しています。
2015年掲載