様式のアレンジ
基準書は各施設で作成する書類であり、その中の様式はその施設で使用しやすい形式にカスタマイズすることが理想です。
しかし、入手した文例集の様式をそのまま踏襲し、記入しにくいと思いながら使い続けている施設も多いのではないでしょうか。
そこで、量研機構で使用している様式の例を一部ご紹介しますので、各施設で使いやすい様式にアレンジする際の参考にして下さい。
また、皆様の方で、「このように変更したほうが更に使いやすい」というご意見がありましたら、ぜひお知らせ下さい。
例1)空中浮遊微粒子測定記録書の例
文例集
- (1)測定場所が複数ある時は、1箇所につき様式を1枚作成しなければならないため、紙が増えてしまいます。
- (2)測定毎に1行記載する形式。1日に複数回記載する時は、同日で複数行記載が発生してしまいます。
量研機構様式例
- (1)機器が複数登録されている場合、使用しないものを斜線で消します。
- (2)採取箇所のグレードと基準値を記載し、適切に判定できるようにします。
- (3)採取箇所を横並びにする事で、同日に複数箇所測定する場合でも、用紙を増やす必要がありません。
- (4)同日に同じ場所を複数回測定する場合でも、最大4回分まで記載できます。
- (5)測定時間を記載します。
- (6)測定毎に適合・不適合を判定します。
例2)表面付着菌測定記録書の例
文例集
- (1)左右の測定記録を上下に記載するため、誤記(左右の記載を間違える)が発生しやすくなる可能性があります。
- (2)測定場所1箇所につき、1回分しか測定結果を記載することができません。
量研機構様式例
- (1)採取箇所を横並びにする事で、複数箇所の測定結果が確認しやすくなります。
- (2)同日に同じ場所を複数回測定する場合でも、最大4回分まで記載できます。
- (3)左右の測定記録が視覚的に記載しやすくなり、判定結果も確認しやすくなります。
- (4)いつ測定を行ったのかが明確になります。
例3)Thermo Recorder(おんどとり)使用時点検記録書の例
文例集
- (1)複数の機器が登録されていても、様式1枚につき1台分しか記載できません。
- (2)空欄が多く発生するため、斜線が増えて見にくくなってしまいます。
量研機構様式例
- (1)機器の設置場所が記載してあると、点検の際確認しやすくなります。
- (2)設置場所毎に温度の設定範囲が異なるので、様式に基準範囲の記載があると逸脱しているかすぐ確認できます。
- (3)使用頻度の高い機器の様式については、「年」の記載欄を分けることで使用時は「月日」を記載するだけで良くなります。
- (4)1枚の様式内で、複数の機器の記録が可能となります。
例4)天秤使用時点検記録書の例
文例集
- (1)基準値の記載がないため、実測値が逸脱しているのかがわかりにくくなっています。
- (2)どの欄が記号記載で、どの欄が実測値記載なのかがわかりにくくなっています。
量研機構様式例
- (1)基準値が明記されているため、実測値が逸脱しているかすぐ確認できます。
- (2)実測値を記載する欄が明記されてわかりやすく、判定結果もすぐ確認できます。
例5)ストップウォッチのキャリブレーション記録書の例
量研機構例
- (1)自施設でキャリブレーションが実施可能なものについては、機器SOPにキャリブレーションの手順を記載しています。
- (2)機器SOP中に使用時点検記録表、定期点検/保守修理記録表とは別に、キャリブレーションの測定結果を記録する様式を作成しています。
- (3)次回校正予定年月日を忘れないよう、記載欄を設けています。
例6)バリデーション/ベリフィケーションとキャリブレーションの年間計画書の例
文例集
- (1)バリデーション/ベリフィケーションとキャリブレーションの年間計画書を別々に記載しなければなりません。
量研機構様式例
- (1)製造工程・試験法のバリデーションと設備機器のバリデーションの様式を分け、設備機器についてはバリデーション/点検/キャリブレーションの様式を統合し、使用機器のメンテナンス時期が一目でわかるようにしています。
- (2)製造管理基準書、衛生管理基準書、品質管理基準書それぞれの登録機器について年間計画書を作成しています。
- (3)OQ/点検とキャリブレーションでは、実施時に提出が必要な様式の種類が異なるため、どの様式の提出が必要か記載しています。 定期点検が不要な機器についても、備考欄に機器番号を記載しています。
2015年掲載