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定期清掃(お役立ち情報)

掲載日:2024年9月26日更新
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定期清掃

PET薬剤製造施設ではPET薬剤を製造する各作業所、作業室を必要な清浄度レベルにより、無菌操作区域、清浄管理区域、一般清浄区域に分け衛生管理します。日本薬局方では、これらの区域はグレード分けされ、グレードごとに塵埃数と環境菌数の基準値が規定されています。(表1)。

表1清浄区域の分類

グレード
(清浄区域)

許容空中浮遊粒子数(個/m3) 空中微生物
(作業時)
表面付着微生物
(作業時)
非作業時 作業時 浮遊菌 落下菌 コンタクトプレート 手袋
≧0.5µm ≧5µm ≧0.5µm ≧5µm CFU/m3 CFU/プレート CFU/24~30cm2 CFU/5指
A (重要区域) 3,520 20 3,520 20 <1 <1 <1 <1
B (直接支援区域) 3,520 29 352,000 2,900 10 5 5 5
C (その他の支援区域) 352,000 2,900 3,520,000 29,000 100 50 25
D (その他の支援区域) 3,520,000 29,000 200 100 50

 

今回はこのような区域の衛生管理の一つとして、定期清掃についてご紹介します。

まず清掃は以下に示すように大きく4つに分類され、定期的に実施するものが定期清掃となります。

  • 日常清掃・・・毎日の作業前後及びシフトごとに実施。2週に1度程度も含む。
  • 定期清掃・・・一定期間に実施(年次、月次)。
  • 臨時清掃・・・装置搬入時、汚染事故等の通常運転時とは異なった場合に実施。
  • 初発清掃・・・新築・改築後の施設使用前に実施。

一般的に清掃と言えば日常清掃を思い浮かべますが、日常清掃は前日又は当日に発生した塵埃を除去することが目的で、机や作業台を消毒用エタノール等で湿らせた不織布で清拭します。しかし天井、照明器具や壁面など日常清掃では対応できない箇所が生じてきます。定期清掃はこのように日常清掃では対応できない箇所も含めて掃除するために実施されます。定期清掃に用いられる消毒剤はいくつかありますが、除去したい対象菌によって使用する消毒剤が変わってきます(表2)。主に用いられる消毒剤は、日常清掃と同様で消毒用エタノールと過酢酸です。また清掃で使用される道具は表3に示すものが主に用いられています。

表2. 主な消毒剤及び抗菌スペクトル(一例)
水準 薬品名

グラム

陽性菌

グラム

陰性菌

結核菌 真菌 芽胞 ウイルス
HBV ノロ
高度 過酢酸(アクトリル等)
中度 次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール(76.9~81.4%) × ×
低度 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン(テゴ-51等) × × × ×
グルコン酸クロルヘキシジン(ヒビテン等) × × × × ×
塩化ベンザルコニウム(オスバン等) × × × × ×

 

表3.清掃に使用する道具について(一例)
道具名 備考
高性能排気フィルター付真空掃除機
除塵用クロス ディスポ
壁面用モップ
床面用フラットモップ
機器清拭用ワイパー ディスポ

 

定期清掃は各施設で実施することも可能ですが、作業範囲が広くて大変だという場合には、GMP準拠施設等の定期清掃を行なっている外部の専門業者へ依頼すると良いでしょう。定期清掃完了後には表1で示した環境検査を実施して、清掃状況の確認を行いましょう。


2015年7月掲載