超伝導コイルの温度を-193℃(80K)から、目標値の-268.5℃(4.5K)へ冷却するために7月10日に冷凍機タービンの稼働を開始しました。また、JT-60SAのプラズマを閉じ込める本体の真空容器の温度も50℃から200℃に加熱しています。
この真空容器の200℃への加熱はベーキングと呼ばれ、JT-60SAのプラズマを混じり気のないきれいな状態にするために必須です。真空容器を200℃にすると真空容器内壁から不用な水分やその他の不純物を事前に追い出すことができ、プラズマへの流入を防げます。トカマクプラズマを得るのに真空容器内の高い真空度(低い圧力)は重要です。ベーキング実施中は、真空容器内の圧力は一時的に上昇していますが、ベーキング終了後には圧力はより低下し真空容器内壁がきれいになります。
ベーキング中でも、超伝導コイルの冷却を継続しています。超伝導コイルは、-193℃(80K)に冷却された二重壁構造を持つ薄いステンレスの熱遮蔽体で断熱され、ベーキングの熱の影響を最小限にしています。ただ、どうしても熱の影響をゼロにできないので、冷却スピードを維持するために、毎日トラック8台分もの冷却用液体窒素を使っています。